日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ひとごろし

テレビをつける。ドラマをやっている。ほぼ必ず人が殺される。犯人は誰かと謎とき。その背景にある人間関係と彩を探る。犯人が捕まる場合も、犯人もまた死ぬ場合があるだろう。大河ドラマでも死ぬだろう。こちらは景気よく大量死するだろう。武将の生涯を描…

山里の恵み

ハイキングでも良い。里山散策でも良い。長閑な風景の中を歩いてみよう。するとよく目にする。籠と料金箱だけを置いた「無人野菜販売」コーナー。多くは畑の一角であり、高台に位置する農家への入り口にあるだろう。プラスチックのコンテナであり手製の篭で…

仲間と愉しむこと

ムジィチーレン。そんな言葉はいつ覚えたのだろう。ドイツ語は詳しくないがクラシック音楽を聞いて関連書籍を読んでいるといずれ触れる単語だろう。自分は吉田秀和の著作あたりで知ったのだろう。ムジィチーレンとは「音楽をする」という意味と理解していた…

ガソリンスタンドでのお正月

もうすぐお正月がやってくる。「お正月くらいは家に帰って来なさい」。そんな言葉があった。大学生になり初めての一人住まいだった。夏休みに帰省したばかりなのに母はそう言うのだった。「お正月くらい」とは何だろう。正月はそんなに大切なのだろうか?確…

図書の旅35 山とスキーとジャングルと 本多勝一

●山とスキーとジャングルと 本多勝一 山と渓谷社 1987年 本多勝一の単行本を初めてどこで目にしたのかを一生懸命思い出そうとしていた。しかし記憶は曖昧としている。確かあれは学生時代だった。僕は友人と二人で女友達の引っ越しを手伝ったのだったように思…

ラチェットの唄

ラチェットが心地よく鳴る道は心地よい。その音をオノマトペで再現を試みるが良い表現もない。低速はカタカタカタ?チリチリチリ?中速以上はザー、ジー、ジャーッ?どれも違う。 それがよく響く道とは何処だろう。サイクリストなら問うまでもなくそれを知っ…

元気が無いのだった

シートン動物記とファーブル昆虫記。どちらも子供の頃に読んだが内容は全く覚えていない。犬が好きだった。昆虫は小学生の頃はクワガタが好きだった。造成地に残るクヌギ林は彼らの宝庫だった。が家には姉が居て昆虫をひどく怖がることもあり自分の昆虫体験…

好奇心は罪作り

雛鳥が初めてみた鳥を親鳥と思う。本当か?しかしよく聞く話だ。今後の音楽観が決まるという意味では初めて聴いた音楽がそれに当たるだろうか?自分は小学生の頃バッハのフランス組曲で音楽に惹き込まれた。あの学習教材の赤いソノシートには感謝している。…

竹竿使い

♪たけやぁ竿だけぇ 拡声器から聞こえるその呼び声はかつてはよく町の中で聞いていた。最近は聞かなくなったように思う。 そもそも竹竿は何に使うのか、今の生活ではあまり用途も浮かばないだろう。布団や洗濯物を干すために使うのだが、今はベランダで干すこ…

白い建物

別に離婚の調停をしているわけでもない。もめごとがあったわけでもない。重たい雰囲気のその建物は実に約四十年振りだった。白い建物と思っていたが記憶違いだったのか。薄茶色だった。建物を出て海を間近にする公園まで歩いた事を覚えている。 玄関の扉を開…

弁慶の七つ道具

街行く人はただ思うだろう。これは何なのだろう。空に喧嘩でも売っているのかと。そして風が吹いても倒れないようにしてほしいものだと。パイプの骨が為す役割に多少なりとも想像がつく人は更に思うだろう。何かを傍受しているのだろうかと。被害妄想の傾向…

図書の旅34 ホテルカイザリン 近藤史恵

●ホテルカイザリン 近藤史恵 光文社 2023年 普段あまり本を読まない妻が「この本を読みたい」というのも珍しい事だった。図書館に申し込んだら数日で電話が掛かってきた。前回の閲覧が終わり返本されたという。奥付の履歴スタンプを見ると今年の十月に納品さ…

怒る人

「おりゃー何やってんだ。今すぐ窓を開けて飛び降りろ。」そんな怒号が聞こえる。ああまたか、と思う。赤鬼のような小太りの管理職が激しく怒っている。そこは異なる事業部の国内営業部のエリアだった。自社商品以外も、なんでも売ってしまうというその事業…

勘違い

K銀行のATMだった。そこで見慣れないカードを入れてメモした暗証番号を打ち込んだ。送金は無事に終わった。さて通帳に記帳しようとATMに開いて差し込んでもすぐに戻ってくる。三度トライした。「磁気カードエラーで読み取れません」と表示される。舌打ちをし…

七回目のワクチン

行政から案内が送られてくるたびに律儀に接種している。コロナワクチンだ。もう今回で七度めだった。 コロナワクチン第一回目接種の時はある種のパニックだったと思う。テレビでおなじみの方々も罹患し逝去され秘密裏のうちに火葬される。罹患すると隔絶され…

スキーと白河ラーメン

一杯のラーメンを目にしていた。その店は間違えなく二回目だった。そしてそれは三十年以上前の話だった。 あの頃毎冬が楽しみだった。行くと思うと胸が踊った。スキーだった。原田知世主演の映画のヒットもありスキー全盛期だった。男同士のスキーは技術的向…

食は力なり

「今日も明るく元気にやって行きましょう!」そんなポジティブなメッセージを書かれるブロガーさんがいらっしゃる。僕はいつも楽しみに読んでいる。彼女のブログにはいつもページの最後に一家の食卓の皿が写真でアップされている。手の込んだ料理は如何にも…

日本家屋

近所の谷戸に古民家がある。それは何処からか移設されたものだが当時の状態で保存されている。その回りもまた花木園と称して谷戸地形の自然が残っている。散歩がてらに妻と歩いてみた。 秋というのに暖かい。二人は共に露出した腕や足首を蚊に刺されていた。…

曇り空

ここしばらく続いていた暖かい日。それは「秋」という単語を暖気が何処かに蹴とばしてしまったのだろう。そう思うしかないものだった。午後遅くにウォーキングをすれば汗ばむほどだった。Tシャツに短パンで歩くとなんと蚊にも刺されてしまった。「霜月」と美…

図書の旅33 金閣寺 三島由紀夫

●金閣寺 三島由紀夫 新潮社1990年 怖かった。書棚に近づけなかった。いつも見ないふりをして通り過ぎていた。それでいいのか、という声がしたが無視していた。これを読んだら自分も肉体改造にいそしみ、結社を作り、日本刀を片手に何処かに殴り込むのではな…

友の作ったソバ

学生時代など仲間内は渾名で呼び合うことが多かった。中にはあだ名しか知らずに本名は何だっけ?という困った例もある。 子供番組ピンポンパン。あれに出ていた河童のキャラクターがいる。その名前で呼ばれていた友人がいる。やや人見知りの気があるのだろう…

広場の孤独

そこは谷戸の地形を利用していた大きな公園だった。谷戸なので沢筋が丘陵地迄深く浸食している。そこには当然水の流れがある。そこに三つの池を作った県立公園だった。幼稚園の頃よくそこで遊んだ。当時住んでいた社宅から徒歩十五分だった。家族でピクニッ…

季節外れの北帰行

北関東へ向かう列車だからだろうか?列車に乗り込み自転車の入った輪行袋を固定して椅子に座って気づいた。椅子にスチームが通っていた。いやそれでは昔の客車列車だ。今はヒーターだろう。 朝6時半の長距離列車だった。新幹線も通っているが各駅停車で行け…

落ち葉とタヌキ

月めくりのカレンダーはあと二枚だというのに不思議な天気が続いている。冬至迄はあとひと月か。確かに日は日増しに短くなる。しかし肝心の空気には気迫が足りなかった。時折肌を刺すが昼間などはTシャツ一枚でも過ごせる。なんだか誰かに騙されたような気も…

枚挙にいとまなし

トランクス。ボクサーが履いているやや緩めの半パンだがショート丈だと男性の下着でもある。足の捌きが良いのだろうか。風通しが良いので蒸れないだろう。 小学生の頃は下着は白ブリーフと相場は決まっていた。中高でもそうだった。何故あそこまで純白なのか…

そば部長

いつも飽きもせずに「もりそば」ばかりよく食べるなあ。 当時自分は電子機器の海外営業部に属していた。商品を海外の会社にOEM販売していた。そのお方の肩書は部長さんだが営業ではなく技術部門ご出身で技術アドバイザーでいらした。茶色が彼の好みなのだろ…

抜けた空気

ゴムで出来たタイヤを持つ乗り物で一番最初に乗るものは自転車だろう。初めは補助輪をつけていたがそれが片側になる。初めてバランスを取れた時は嬉しかった。そしてオートバイ。原付で始まって中型バイク。そして自動車。 自転車は子供時代をさておくとMTB…

耳に心地よく

香川県のとある市の役所に電話をした。他界した姉の戸籍を手繰り寄せる必要があった。姉の一家は横浜に住んでいたが調べてみるとその本籍地は香川県と知った。結婚相手が香川の人だったのだからそれを機会に横浜からそこに戸籍を移したのだろう。 市役所の戸…

前線の通過

子供のころから天気図が好きだった。日本地図の上に何本もの線が引かれている。密なところもあれば疎の箇所もある。この線は何か?特に気に入ったのは前線の表記だった。たいていは東西に延びた線に白い半丸と黒の三角が旗のように互い違いに配置されている…

諦めるか、どうするか

20 2 120 120。 1と2、0が並ぶ数字だがこれはなんだろう。暗号でも呪文でもない。 この大きな部屋に来るのは久しぶりだった。大丈夫かな、と思うのだ。 ここしばらくあまり体に力が入らない。むしろだるいというべきだった。もう11月というのに日中の寒暖差…