日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

旅の風景・廃線跡にて

自転車を降りて手で押しながら歩いている。足元の錆びついたレールが目に留まる。 細いレールだ。間違えなくそれは一日数本しか走らない支線のレールだったろうし、それが使われなくなり半世紀は近いのではないだろうか。 枕木は割れ、レールは赤く錆びてい…

革サドルの唄

随分とお世話になったものだ。これに跨り走った距離はどれほどか。 ライン川沿いを下り国境を越えてドイツからオランダに出たのもこのサドルだった。シャンパーニュやブルゴーニュそして古城が美しいロアール川沿いを走ったのもこのサドルだった。日本に帰国…

追憶の百名山を描く(9)・大朝日岳

●始めに: 日本百名山。深田久弥氏が選んだ百の名峰。山岳文学としても素晴らしい書だが、著者の意とは反して、このハントがブームになって久しいようだ。自分は特に完登は目指していない。技術的にも気力的にも出来ない山があると知っている。ただ良い指標…

寄席が街へやって来た

ドンドン、チコシャンシャン…。 出囃子の音を正しく表すだけのオノマトペの語彙が自分には無い。はっきりしていているのはそれがとても陽気で、ワクワクさせてくれる類の音楽であるという事だろうか。 日本人でありながらも恥ずかしながら「寄席」をしっかり…

旅の風景・分岐線

ゆっくりとランドナーを走らせる。目的地の港町は近いのか潮の香りがする。一時停止、踏切だ。 それは目を奪う風景だった。単線のレールがまっすぐに伸びていく。そしてそこから一本の単線レールが頼りなさそうに分岐していくのだった。 単線とはいえ前者の…

「入力>出力」な人の中期計画

湯船でも台所のシンクでも良い。栓を抜くと湯船の水は抜ける。詰まらない限りシンクに水は滞らずに流れっぱなしだ。排水を止めたり、排水能力を超える水が流入すると水は溜まってくる。 毎日お世話になっているPC,。マルチタスク能力に甘えてソフトを沢山動…

秋の尾根道・行道山(足利市)

「あそ」と言えば「阿蘇」、九州か。雄大な阿蘇山の草千里は行ってみたい。憧憬の地でもある。しかしもう一つ同じ呼び名の地があった。「安蘇」だ。 安蘇という地名を知っている方は多くは無いだろう。今は消滅してしまったのだから。安蘇は栃木県にかつて存…

根なし草の作るお好み焼きは広島です

「あなたのお国は何処ですか?」と問われると返答に窮する。出身地か、どこで長く暮らしたか?という意味か。何処に住んだことがあるのか?どこで過ごしたことがあるのか?。TPOに応じて、次の会話のピンポンが長く続くように答えを選ぶ。自分の中では全てが…

待ちわびた君 JB64

待てば海路の日和あり。そんな気分で過ごした一年もようやく340日辺りを迎えた。 ディーラからの一報で矢も楯もたまらずにかけつけると、待ちわびた君は2階の車庫で待っていた。今朝に静岡の工場からトレーラーに載せられ着いたという。 車を買うのも、まし…

秘すれば花 と言うけれど

若き頃。憧れた女性。どんな所に住んでいるのだろう。どんな街で生まれたのだろう。そんな風に好奇心が湧いてくるのは、憧れが好意に変わって膨らんでいくのと裏表だった。彼女自身は目に前に居る。しかし彼女のそれ以上は分からない。 気になり始めたきっか…

ゴマの威力 手ごねハンバーグ

テレビ番組で放送していた。手ごねハンバーグを美味しく作るコツを紹介していたのだ。ハンバーグについてはこちらもそれなりにトライして、自分の中のベストレシピは持っているつもりだ。あくまで「リタイアお父さんの趣味料理」の域は出ないが。 合い挽きに…

シーフードミックスを使おう

冷凍の袋詰め。袋を開けるだけだから気楽な食材。しかしざっとフライパンにあけて炒めると、何と水気が出てくる。具から出た白い汁が満ちてくる。 ああ水出てきた。火力不足なのか。もっと強火で長く炒めれば水気も飛ばぬか。そうやっても水分は大して飛ばな…

飛燕の伝統、ここにあり

友人が言っていた。川崎重工業(株)に出張にいくとまずは同社のプレゼンから始まると。そこで必ず技術の歴史として紹介されるのが「飛燕」という。 飛燕。好い名前だ。ツバメは放っておいても飛ぶのだがそこに「飛」という漢字を加えるところに気概と期待が…

天空の赤い珠

幼い頃に見た絵本。そのイラストには余りにもインパクトがあり今もその1ページが忘れられない。 それは夜の街の天空を巨大な青白い珠が長い尾を引いて流れていく姿を書いたもので、人々は激突せぬかと恐怖に逃げ回っているのだった。「ハレー彗星に驚いて逃…

♪ドナドナドーナ

♪ある晴れた昼下がり。何処かへ続く道。荷馬車がゴトゴト ワンコを載せてゆく♪ ♪ドナドナドーナ、ドーナ 売られていくよ 思わず出てきた替え歌を手で払いのけた。童謡として広く知られたこの歌は寂しい。元唄は市場へ続く道で載せられたのは子牛だが、何故売…

元気ですかぁ!

元気があれば、何でもできる。行くぞぉ、イチニイサン。ダァーッ!! 首には赤い闘魂タオル。ダァーがパフォーマンス性を帯びてきたのは彼が議員になる前くらいだろうか。その前は純粋に試合での勝利の雄叫びだったと記憶する。 自分の父は昭和一桁。もう、…

弁慶の七つ道具

戦国武将にきっとあるのではないか。「壮絶な戦死」という図式。矢が体に刺さりまくり,太刀で体中を斬られ、憤怒の形相で立ったまま絶命する。 実際にそんな武将が居たのかは知らないが、大河ドラマや時代絵巻物などでは描かれそうな光景だ。「弁慶の立ち往…

素敵な一日 - 無理をせぬこと

久しぶりにジムで汗をかいた。少し遠ざかっていたのは何故だろう。メニューがきつかったのだろうか。会社員時代は週2回、1時間のコース。筋トレから初めて有酸素。単調な会社生活の中で格好のストレス解消だった。会社を辞めてからも、週に1回は行く事にして…

手のひらの魔法

だらりとしていた両手をさっと上げる。全楽器が音を出すポジションに着く。この一瞬は緊張感と期待が重なる時間。すでに開演ベルの前まで楽屋裏で気ままになっていた幾多の旋律で期待が渦巻いているのだから、ここで自分も緊張は頂点に達する。 緩く、柔らか…

旅のカバン

旅が好きな方ならば、だれしもがお気に入りの旅行鞄を持っているだろう。ヨーロッパの空港などで無造作にルイ・ヴィトンの大きなトランクケースがターンテーブルを回ってくるのを見ると、ああ、鞄冥利に尽きるのだろうな、と思う。そう、まさに旅の数だけ傷…

山上の至福 鍋焼きうどん・鍋割山

転勤で静岡県東部の街にある事務所に通っていた頃の話だ。職場には「昼礼」という慣例があり、事務所の社員が持ち回りで、ちょっとした話をしたり、連絡事項の共有をしたりしていた。 ある時、入社2,3年目の自転車大好きな社員の番だった。「山の上で名物の…

本当にやるのか

小学生のころからいったい幾つ作ったのかわからないモノ。プラモデルだ。 25歳ころまでは作っていたと思う。丹念に塗装もして棚に置いておいた。しかしいつの間にか部屋から捨てられていた。間もなく結婚して家から出て行くだろうと、母親が勝手に捨てたのだ…