日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

追憶の百名山を描く(9)・大朝日岳

●始めに: 

日本百名山深田久弥氏が選んだ百の名峰。山岳文学としても素晴らしい書だが、著者の意とは反して、このハントがブームになって久しいようだ。自分は特に完登は目指していない。技術的にも気力的にも出来ない山があると知っている。ただ良い指標になるので自分で登れる範囲で登っている。可能であればテレマークスキーも使う。この深田百名山、無理なく登れる範囲をどこかで終えたら、あとは自分の好きな山を加えて自分の中での百名山にしたい、その程度に思っている。

自分が登った懐かしい百名山を絵に描いて振り返ってみたい、そんな風に思う。いずれの山も、素晴らしい登頂の記憶が残っている。時間をかけて筆を動かす事で、その山行での苦しみや歓び、感動を、まるで絵を書くようにゆっくりと思い出すのではないか、そんな気がする。そうして時間を越えて追憶の山との再会を果たすという訳だ。

大朝日岳 (1671m 山形県西村山郡朝日町、大江町、西川町)

心地よい秋晴れに恵まれた。二人の友と歩く紅葉迫るブナの山。重たいザックも、長い行程となった翌日も、長き憧れの峰の為だった。稜線の小ピークに立ち遠望する主峰・大朝日岳は立派な姿で、さすがに朝日連峰の盟主という風格に満ちたものだった。

ヤッホーと思わず叫んだのは万感からか。そして下山の途で、ここでこの山の姿ともさようなら、という段になり、何度も何度も振り返ったのだった。登りで見たように、大きな峰は揺るぐことなくしっかりと秋空の下に立っていた。忘れられぬ姿だ。

 

朝日岳から朝日岳を遠望する。近いようでここから二時間ではとても着かなかった。朝日連峰はまことに大きい。主峰大朝日岳の風格は、その中でも王者のものだった。

この山行の風景はこちら https://shirane3193.hatenablog.com/entry/2022/10/22/221417