日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

病院風景点描

入力 - 出力 ≦ ゼロ

子供のころから肥満体だった。結婚後数年間にかけてはさらに膨張した。流石にヤバイ、と甘い清涼飲料やスナックを控えたら少しは減った。しかし概ねBMIは27あたりだった。BMI25が正常体と肥満体のしきいとなる。自分の場合それは体重68.5キロになる。 BMI24…

別離

長くお世話になった人とお別れするのは寂しい。哀しくもある。友人と別れるのもなかなか再会できない相手なら寂しい。別離という言葉は寂しさと哀しさに飾られているだろう。断捨離で身の回りの物を整理する。思い出のある品でももう使わないなら、別れよう…

耐えずに、免れる

病院のある街の通りを歩いていた。通院治療も終えた自分は毎月の血液検査のフォローアップがあり、二年近く毎月通ううちにそのクリニックのある街のつくりはすぐに把握した。商店街の外れに安い駐車場も見つけた。そこはつい半年前までは駐車場だった。格安…

感謝の〆

12月を一年の終わりとするならば、今日で無事に今年は終わった、と感じた。 入院していた病院のある街にはこのあたりではなかなか気の利いた商店街がある。自転車も多く行きかい大学の附属高校もある。活気があるのだ。今日は年末らしくいつにもまして人が多…

弁慶の七つ道具

戦国武将にきっとあるのではないか。「壮絶な戦死」という図式。矢が体に刺さりまくり,太刀で体中を斬られ、憤怒の形相で立ったまま絶命する。 実際にそんな武将が居たのかは知らないが、大河ドラマや時代絵巻物などでは描かれそうな光景だ。「弁慶の立ち往…

医者との付き合い 悪性リンパ腫その後

良い医者とは何だろう。症状に合わせた治療をしてくれる医師か。自分の納得のいく説明をしてくれる医師か。安心感を与えてくれる医師だろうか。 最初のポイントが最も大切だろうが、後者2点も重要だ。余り説明を受けぬままとにかく治療を受けて治癒。それは…

紙風船の男性

四人部屋でも常に入れ替わる病室のメンツ。ベッドのテーブルにうつ伏せていびきばかりかいていた斜め前の彼も、ある夜にスタッフの緊張感と共に処置室にベッドごと搬送された。彼が戻ることはもうなく、翌朝は他の方により私物は綺麗に片付けられた。 間を置…

弘法も筆の誤り

点滴、注射、血液検査、輸血、この手の事が連なる自分のような病だと、いずれ腕の血管に「はて、どこに針を刺そうか」と看護師さんは思うようだ。幸いにして自分は腕と血管の太さは密かに自慢だった。特に右腕はぐっと親指を握りしめると明瞭に2本、浮き出て…

脳の不思議・・食べ物と幸せな記憶

人間だれしも、好きな食べ物は何?お勧めの店は何処? と聞かれると、まぁ5分くらいは話が出来るのではないだろうか?自分もご多分に漏れない。しかし好きな食べ物としてお寿司や懐石料理、フレンチやイタリアンがすぐには出てこないところが情けない。まず…

脳の不思議 ・・音楽の持つスピリチュアルな力

脳腫瘍の開頭手術をし、追って化学治療を終え退院しほぼ1年、経過観察モードに入って10カ月。そんな時の経過を持っても未だに謎な事がある。少しそんな不思議な事を振り返り思い出したいと思う。それは脳の不思議。音楽を巡るスピリチュアルな経験だった。 …

娘からの挑戦状

入院中の話・・。 「父親よ、あーた入院で頭ボケてんじゃないの?活性化せよ。」と言わんばかりに長女から挑戦状が来た。 この娘とは、自分が山登りをしつけた?おかげか、山登りは苦にせず、これまでも百名山を含むいくつかの山に一緒に登ったし、登りたい…

バッハの作り上げた世界感

頭のリハビリの手段の一環(高次脳機能の回復)として行動療法士さんから与えられている課題です。それは、日経新聞のコラム(春秋)を読んで中身を理解して、紙に書き写す、という、一種の写経のようなものと思います。横書きのコラムは縦書きに、縦書きの…

病院に居た菩薩様

病院にいた菩薩様 それは二の腕から心臓まで届くカテーテル(PICC)を挿入するときだった。翌日から本格的に始まる抗がん剤による化学治療のためにはこれが必要だった。都度都度の針の挿入では済まない、長期戦の治療だから、患者の負担の少ない個所から入れ…

病院で会った人々 ウルトラヒーロを味方につけて

転院して私が入院した部屋は四人部屋だった。 ヒロ君と呼ばれていた彼は、40歳も後半だろうか。彼のベッドの前を通り過ぎた所が自分のベッドだった。彼が自分の病室で初めて会った同室の方だったのだ。 ヒロ君のベッドサイトの机の上にずらりと並ぶビニール…

栄養ドリンクマニア

病院に着いて、長い待ち合いに舌打ちする。 退院してからまだ日が浅い。通いの化学治療、楽ではない。雨の日というのもあるのか、まだ体に力が入らない。だから売店で買ってしまう。カロリーが気になるからライト系にした。 ねえ、そういうの効く? 路上教習…

そしていつか 

「いきますよぉ。」 掛け声とともに苦しそうな吸引音とむせび音。 カーテン越しの向かいのベッド、辛そうだ。あぁサクションか。あれはきついな。自分自身が数か月前脳腫瘍を摘出した直後の集中治療室で何度も味わった苦痛。それを生々しく思い出す。 隣のベ…

冴え返る朝

冴え返る朝 病室の窓。そこからの風景は余り季節感はない。しかし眼下の梅の樹木と遠景の山でそれを想う。 曇った丹沢と、萎んだままの眼下の梅、今朝は 「冴え返りの朝」 を感ず。 この数か月、いや、一年。退職も,入院もあった。嬉しいこともあった。そう…