2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧
職場に来るお客様。この施設を見学することが目的で来日したというのだから驚いた。お二人だった。女性は日本人だった。男性は僅かに日本語が話せたのだが英語だとありがたい、そんな風に言うのだった。国際結婚は増えたが目の前の二人がミスター&ミセスと…
もうこの十年だろうか。街中で自転車を見かけることが多い。買い物用軽快車や電動アシスト付き軽快車の話ではなく、スポーツサイクルの話だ。その多く多分99%はロードバイクだ。荷物は持たないのだろうか。サイクルジャージの背中ポケットに、シートの下に…
社会人現役の頃、自分はカラスの行水を地でいっていた。まずシャワーを浴びて体を洗い頭を洗ってすべて流す。ここまで二分半。そして湯船に入る。さらに三十秒。まことにカップラーメンのような男だった。なぜそこまで急いだのか?湯上がりのビールを少しで…
この世から別れたときにどんな音楽が流れたら自分は嬉しいのだろう。そんなことを考えるのは今自分がこうして入院をしているからだろう。それは重篤な病ではなく、酒席でひどく酔い道路で倒れて頭を打った、そんな笑い話にならぬ、なんともお粗末な顛末だっ…
高原の町に引っ越してきた翌日に転居の手続きをした。住民票登録、国民健康保険、マイナンバーカード、運転免許証、一通り変更が必要だった。 自分の住む市は二十年ほど前に周辺の町や村が合併して出来たものだ。烏合の衆と言っては失礼だがそんな小さな集団…
身を取り巻くもの。自分を豊かにするものにも罪がある。しかし罪ばかり書いても仕方ない。功もあろう。功罪とはセットだから。 * * * ネットの楽しみ方の一つに趣味の情報を得ることがある。年齢を問わず好きなこと興味のあることはこんな脳みそでも真新…
入院したおかげで再び病院食を味わうようになった。味は悪く無い。そして量も丁度よい。強いて言えばご飯が多い。普段の二倍は出る。メインにはメンチカツも生姜焼きも煮魚も出てくる。そして生野菜が多いということもない。多くは煮物でありおひたしや酢の…
●旧約聖書を知っていますか 阿刀田高 新潮文庫 1994年 スパイ大作戦、またはミッションインポシブル。人によっては、格好良すぎるトム・クルーズ演ずるイーサン・ハントの嘘のようなアクション映画を思い出すだろうし、あるいは渋いピーターグレイヴス演ずる…
お、気づいた?え、どちら様? そう言ったそうだ。僕はその飲み会を楽しみにしていた。新しい社会で新たに作った人間関係。お酒を飲みたいと思う相手が居るとする。そしてそんな時が来る。そんな飲み会は酒は進む。齢六十を過ぎているのだから酒との付き合い…
会社員時代のオフィスは東京都内は山手線の中にあり時に外にもあった。安い家賃を求めて流浪したのかもしれない。品川区にあったオフィスはひどく臭いどぶ川とそれに沿って咲く桜並木と言う不思議な組み合わせの街にあった。一昔二昔前は低層階の建物や工場…
自分は読めると思っていた。山登りをするのだから地図が読めないとは登山の資格がないと言っても良いだろう。当然カーナビ画面もノースアップだろう。画面上が北を示す訳だ。それを頭の中の地形図に重ね合わせてゆくのだ。そんな一連の行為は知らない場所を…
「どうもこの持ち主は俺を上手く使ってくれないな。」そんな不満が聞こえてくる。それはそうだろう、中々火が燃えぬとやたらに扉を開けるのだから。すると火勢は強くなるが同時にモワッと煙が出てくる。香付けチップは無いもののいつか部屋の中は燻製づくり…
コロネ―ション・アンセムという曲がある。高揚感漂う壮麗な曲。単語を直訳すれば「戴冠式賛歌」となろうか。戴冠式とは王の即位を祝う式。あらためてこの曲を調べてみれば作品番号にして四つに及ぶ曲と知った。自分はCDに入っていたままを通して聴いていた…
身を取り巻くもの。自分を豊かにするものにも罪がある。しかし罪ばかり書いても仕方ない。功もあろう。功罪とはセットだから。 * * * コンビニのレジに並んでいた。会計中の先客は八十歳に近い女性だった。この高原台地に住む高齢者はだれもが元気に見え…
本屋の縮小、撤退が相次いでいる。確かに文庫などはキンドルなどの電子書籍で読む方が多いのか。実は自分はよく分からない。便利そうに見えるのだが文庫本でも新書本でも雑誌でも、まず本を開き印刷と紙の匂いを嗅がなくては気が済まない。流石に古本はかび…
ファンフォン・・警笛ではなくそれはタイフォンだ。すると彼は一瞬身を低くする。車影が視界の一部に飛び込む遥かその前から彼は臨戦態勢だがそれを僕が抑えている。視界に飛び込んでくると同時にリードを緩める。彼はすぐさま走り出しウサギの様に飛翔する…
前線が停滞したのだろうか、海抜九百メートルの高原に飽きるほどに雨が降っている。雨音に気付いて遅くおきた日。まだベットの中でもう少し眠りたい。十一月の雨か。荒井由実の歌は一カ月後だったか、と苦笑する。今日は晴耕雨読だ。こんな日は庭仕事も取り…
朝日を左手に浴びながら職場に向かっていた。ハンドルを切ると陽の光は目の前から射す。眩しい。右目がおかしい。危うくハンドル操作を誤りそうだった。とうとう再発したか、とショックだった。 高齢になったからか若くてもそうなのか分からない。紫外線が目…
バジルを庭に植えたのは六月だっただろうか。しっかり育ってくれた。嫌になるほど多くの葉に成長し、その横を歩くだけで香りで足が止まるのだった。何度も摘んでパスタに入れたりしていた。十一月の声を聴いたころ生き生きとしていた葉も緑色から黒ずんでき…
聴きたいんだけど、何故デュッセルドルフにはあんなに日本人が多いのかな? そう聞かれてしまった。確かに商社からメーカーまで多くの日本の会社のドイツ法人なり欧州本部がその街にあるのだった。 職場には一体一日何人の来場者があるのだろう。ざっといっ…
学生時代の友人は今も言う。お前は猫が嫌いだったなと。履いていたサンダルをそのまま「ロケット弾じゃ」と言いながら猫に飛ばしていたよね…。そう、自分は猫が苦手なのだ。なによりも円形ではなく縦型の瞳孔が不気味だ。山羊の四角い瞳孔もかなり不気味だが…
760円だった。この位良いではないか・・・。 毎週金曜日は胸が弾む。週に一度の贅沢日だから・・・。煙たなびく屋台。それは焼き鳥屋だった。 焼き鳥を初めて食べたのはいつどこでだろう。小学生の頃何処かのス―パーか、あるいはバス停近くの埃っぽい道路沿…
山歩きで手袋は必須だろう。自分はルート上の岩場や急な下り坂に手がかり足がかりがあればそれらをよく握り手を突くほうだ。何も掴まずにひょいひょい歩くことは出来ない。加齢とともにまずは恐怖心が先に来るのだから。前回の山歩きで手袋を持参せずに手に…
● 図書の旅44 深い川 遠藤周作 講談社 1993年 遠藤周作は自分にとっては、北杜夫がどくとるマンボウであったように、狐狸庵先生であり軽妙洒脱なエッセイストだった。しかし北杜夫が繊細な感性を持った作家であったように遠藤周作もまたキリスト教徒として人…
自分の様な軍用機ファン、それは決して戦争肯定論者ではないが・・メカとしての飛行機にたまらない魅力を感じる人間にとり第二次世界大戦のプロペラ機を中心とし朝鮮戦争やベトナム戦争、そして今日の軍用機へと、銀翼には憧れが尽きない。 米軍機も戦後はジ…
東ヨーロッパ諸国と呼ばれていた社会主義国家群が消滅したのは1980年代のベルリンの壁崩壊と前後していた。独裁政権は崩壊しルーマニアではそれまでの国家指導者が捕らえられ犯罪者として処された。それはまさに激動の時間でリアルタイムに映像を見ていると…
パリにはいくつものターミナルがある。ピカルディ地方やその先国境を越えてイギリス、ベルギーに向かうのならノルド駅。アルザス、ロレーヌからドイツ・オーストリア方面ならばエスト駅。ノルマンディなどの北西に行くのならサン・ラザール駅。マルセイユな…
バンザーイ!これを三回繰り返し都度両手を上げる。これを表の拍とする。一人は万歳の裏拍で腰を折る。万歳とお辞儀はセットなのだろうか。 三十年以上も昔。学生時代の友人の結婚式に出た。奴とは四年間いつも一緒だった。彼は僕のアパートに来て寝泊まりし…
文字の起こりはなんだろう。間違えなく象形文字だろうか。昔の壁画にもそれを見ることができるだろう。今見ても意味はわからぬ形だがそのようなものを用いて人間は意思疎通を行い何かを後世に残した。 頭の癌を取り除いたあと脳外科のベッドの上で自分が残し…
ああ、今日から三連勤か。そうやや重い心で僕はコーヒーを飲んでいる。出勤時にコンビニで昼食を買うついでにコーヒーを買いタイムカードを押せる時間になるまでは車の中で待機する。ここ最近はコンビニの珈琲も美味しいもので街中のカフェに負けていない。…