日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

寄り切りの軍配

坂道の途中の変速は好きではない。特にフロントの三枚。ダブルレバーを触るときに少し緊張する。チェーンがインナーに落ちるタイミングと足を動かすタイミングに僅かな隙間があるのだろうか。チェーンが脱落してしまう。ペダルは空回りになるがそれは良い方…

かがやく道

音楽に気軽に接することが出来る、手軽に静かに本が手に取れる。そんな街に憧れている。それにはもちろん、東京や横浜が良いのだろう。世界屈指のオーケストラが、ソリストが来日するし音楽会など毎日どこかで行われている。ドームには大物バンドも来日する…

晴耕雨製・ラジオ作り

新しく住み始めた高原の天気のサイクルはなかなか読めない。晴れる時は思い切り晴れるが降る時はしっかり降る。風が強い日もあれば弱い日もある。海抜九百メートルの地では雲は目線より少しだけ高いだけだ。三千メートル級山岳に南北を挟まれている。南には3…

森のカフェ

アカマツがゆっくり風に揺れている。僕はそれを飽くことなく見ている。どのくらい時間が経ったのか、それも定かではない。 高さは三十メートルあるだろうか。真直ぐに伸びてその頭部に葉がある。巨人の使う歯間ブラシに見えなくもない。ムーミン谷に住むニョ…

僕達のベーグル

ベーグル。調べてみると東欧が発祥らしい。しかし初めてそれを知ったのは間違えなく米国だった。ゲート周りに漂うキャラメルポップコーンとシナモンロールの甘い匂いとそれはセットになっていた。シカゴ・オヘアかサンフランシスコ。そのあたりの空港だろう…

父と娘

長女が学生の頃は毎年正月休みに二人でスキーに行っていた。運転が面倒くさいので日帰りバスツアーで長野は菅平方面のスキー場だった。気楽なもので娘と二人で帰りのバスの中ではずっとビールを飲んでいた。プッシュプッシュと蓋が開きするめや貝ひもを食べ…

朱の花びら 甲斐からの山・三方分山

余りに可憐なものを目の前にするとどんな思いがするのだろう。落ちたものなら良いだろう。僕はそれを無意識に拾っていた。そして手帳の間に挟んだ。 さらに等高線を稼いだ。ブナの新緑は見事だ。空気が緑色だ。そしてそれは自分を透過していく。血液は喜び自…

ルーズな奴ら

高原の地に移り住んでから車に乗り走る距離が格段に増えた。都会の住宅地では十分も歩けばコンビニもスーパーもあった。この地では車で三分、歩いて二十分だろうか、小さいが必要なものは何でも揃う店がある。しかし自身の病院や犬の病院、色々な食品、衣料…

分水嶺

甲府から自宅へ帰る途中だった。駿河湾に流れ出る富士川はこの地に遡るまで幾つにも分かれる。本流は釜無川と呼ばれる。それに沿った道だった。甲府には修理のために自転車を車に載せて店に訪ねて行った。プロの手によりそれは直ぐに治った。自分はサイクリ…

私のベーグル

友から手作りしたベーグルを頂いた。とても美味しい。簡単だよ、と友は言う。トライしないわけにはいかない。 ネットには様々なレシピがある。最も楽そうなレシピを選んだ。生地作り、一次発酵、形作り、二次発酵、茹で上げ、焼き上げ。そんなステップと知っ…

図書の旅40 マイ・ブラームス

●マイ・ブラームス 舟木元 文芸社2006年 この1600字の文章の題を考える時に僕にはこう浮かんだ。「美男子なのに得をしない」と。普通に考えるとハンサムは得をする。醜男は眉目秀麗な男子を見てため息をつくだろう。羨ましい、と。ではその得とは一体何だろ…

やる気スイッチ・スープカレー

北杜夫氏は自分の好きな作家だが、彼を人気作家にのし上げた1965年の書「どくとるマンボウ航海記」はいったい何度読んだのか。水産庁の調査船の船医として彼は船に乗り込み航海に出た。彼にとり初めての海外だ。スリランカのコロンボに立ち寄った時の話…

二台の車

全く不思議だと思う。自分と妻の間に生まれた子供は半分自分で半分は妻。しかしそれは受精卵の話であとは自らが細胞分裂を続け十ケ月後に「オギャア」と世に出てくる。そこからその子は母と父を最も重要な影響を与える因子として成長していく。ある時は母に…

ご主人のベーグル・奥様のジャム

友人の家までは車で三分だろうか。しかしそれは都会の距離感ではない。渋滞も信号も無いのだから距離にすれば二キロだろう。彼から借りたものがありそれを返しに行った。白砂利のアプローチの奥に車があった。あ、ご在宅だな、と嬉しくなる。 簡単な挨拶だけ…

幸せの小道具

大学生の頃、憧れの女性が居た。少しだけアンニュイな空気、そんな女性だった。キャンパスですれ違うと軽いめまいを覚えた。胸が高まるが口下手な自分は話しかけるのに勇気を必要とした。幸いに友人を介していつか仲良しグループが出来た。その中心に彼女は…

冷えたワイン

青空の下で飲むビール。美味いなぁ、と思ったのはテキサスだっただろうか。ドライカウンティが多いテキサス州だが自分が良く行った街は酒が許されていた。空港から仕事先には当然レンタカーを借りる事になる。早く仕事が終わったならば少し早い夕方にテック…

旅の途中

高原の駅で各駅停車を降りた。そこは終着駅だった。僕は北東からの上り列車に乗っていた。その駅は新宿まで続く幹線路線の駅で、特急も止まる。そして信濃へ向かう数両編成の高原列車の始発駅でもある。水が良いのでウィスキー醸造工場がある。天然水とよば…

清里、いま・むかし

清里に始めてきたのは何時だろう。1985年頃だっただろうか。オートバイのツーリングだった。そこは八が岳山麓の海抜1200mあたりの高原で、長閑なローカル線の駅があった。その記憶は薄いがその数年後、なぜそこが脚光を浴びたのだろうか、広くない駅前通りに…

体を馴らせばよい

愛車の注文の際は色々と悩むものだ。タイヤの幅はどうしよう。ブレーキは何にするか。ギア比は1:1欲しいな・・。しかし一番の関門はサイズかもしれない。510か520かずっと悩んだ。510ではちょっと小さいか。勿論それ迄に乗っていた車のサイズも参考になる…

怒涛の練習

高原の地に転居して初めて練習場へ行ってみた。この練習場は高速道路のパーキングエリアのすぐ裏にあるので前から気になっていた。まずは下見をした。赤松の林にドライビングレンジがまっすぐ伸びていた。全部芝だ。二百四十ヤードのレンジはパースリーの本…

一冊の出会い

えー、懐かしいな。彼は嬉しそうに手に取り奥付を見た。これ、初版だね。1992年。第一作の初版か。良く持ってましたね・・。 ハイキング、縦走、テント泊、テレマークスキーでの登山、サイクリング・・・。これらの趣味をひとくくりにするのは容易ではないが…

限りない物

中学の友人 A君宅は帰り道に立ち寄るには丁度良い場所にあった。路面電車の郊外線で四駅乗って通学していた。専用軌道とはいえ路面電車の延長だから四駅とて歩くことも可能だった。学校から歩き、三駅目に彼の家はあった。 A君は今で言えば少し早熟でかつ…

ようこそメゾン・ド・フォレへ

高原の地には友人がいる。もう二十年来か、いやそれ以上のつきあいだ。とある山の会で知り合った。その頃彼は埼玉県住まいだったはずだがいつからだろう、この高原にご夫婦で移住されていた。信州や甲州の山の帰りに僕は時折立ち寄った。山のついでだったの…

良いとは思ったが

彼は自費出版の良いカモだな。そう出版社は思ったのだろう。忘れた頃に原稿の進み具合はどうですか?と連絡を送ってくる。何かをまとめたい。形にしたいという思いはあるが何も具体化していない。それに高額な自費出版が良いかもわからない。辛うじていくつ…

線路内にて

- 只今蒲田川崎間にて線路内で不審な立ち入りがあり電車は緊急停止を行います。 - 先ほど大井町駅にて人身接触がありましたので当駅にて運転を見合わせております。お急ぎの方は京浜急行への振替乗車を行っております。 そんな放送が流れるたびにいつもイラ…

露天風呂の気球

温泉といえば草津、別府、登別だろうか。がそこは火山国日本、無名でも温泉には事欠かない。引っ越した高原の地が属する市のサイトによると市内には九つの温泉があると書かれている。 僕たちはそれを片っ端から潰していこうと言う計画を持っている。どこもサ…

フキの小径 甲斐からの山・小楢山

緩い登りは優しく続く。小さな峰に登りついても小径は先へ伸びていく。登山靴の靴紐がほどけかけていた。ザックを降ろして紐を締め直した。膝に手を突き立ち上がりザックを背負うと僕は一瞬ぐらりと揺れた。天と地が入れ替わったように思えた。しかし僕は焦…

とうとう来たか

あれれ分からない。広大な駐車場を十五分は歩いた。 地方都市の若者に取り最大の楽しみの一つはショッピングモールだと聞いたことがある。デートに買い物にと。そんなモールは郊外にあることが多い。駅から直通バスが出ていることも多い。そこは広い敷地に航…

こうして覚醒するのか

好きではない、むしろ苦手だな。そんな思いはないだろうか。 それは国民楽派と呼ばれる音楽だった。19世紀中ごろから20世紀にかけてのヨーロッパではドイツ・ロマン派の影響を受けながらも自民族に継承されていた音楽や伝説を反映させた民族主義的な音楽が出…

新しい日々

高原の地に引っ越すと病院もまた変わることになる。自分の診療科は血液の病を診療する科であり「血液内科」と呼ばれている。一昔前ならば内科といえば総合的なもの以外は呼吸器科、循環器科、消化器科程度、加え神経内科あたりしか細分化されていなかったと…