日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

美味しいと唸る店

グルメレポートは今のテレビ番組でも欠かせないだろう。グルメも情報番組としての放送か、作り手の人生へ焦点を当てたものか、いろいろなアプローチがあるようだ。そこに旅行や、街歩きなどの要素を絡めた番組も多いように思う。旅先で出会ったおいしいグルメもあれは街角にあった地元のためのグルメもあるだろう。

ここ、美味しいね、そう言いながら食べていた。清潔で部屋に満ちる日の光。レストランからの眺めが素晴らしい。山々に囲まれた湖が窓の外に広がるのだった。その奥に常念岳、そして穂高連峰のシルエットが確認できる。湖と北アルプスの展望が楽しめるレストランなど、そうはない。

ポークソテー定食とガパオライスだった。値段は700円から900円か。もしこの店がこの値段で神田神保町あたりにあったら、間違いなく行列だよね、そんな話をしていた。あのB級グルメの聖地ともいえる街で屈指の人気店になるだろう。しかし僕は思う。あまりこのレストランには来たくはないなと。

癌の治療は終了したけれど、自分の癌の場合は五年間経過をもって寛解と呼ぶらしい。だから今も執行猶予のようだった。ここのところ体調が思わしくないのだった。頭の浮遊感や痺れは脳腫瘍を取ってからずっと続いている。これは治らないのだな、と友達になるつもりで接していた。しかし最近その症状が強くなったように思えた。再び脳に悪性腫瘍ができていたらたまったものではない。またあの苦しみのコースか。

小さな心配は大きな不安を呼ぶ。予約日を前倒しして病院に来たのだった。予定せずに入れた画像診断なのだから待ち時間は長い。昼食は病院内のレストランに行った。

そこが展望も良く安くて美味しい店だった。美味しいと、唸った。しかしそれは不安を消すことにはならなく、自分はこれから撮影するであろう頭の画像のことが心配だった。

病の執行猶予が終わったら、もうここに来ることもなくなる。その時に初めて、安くて美味しく眺めの良いレストランに、それだけの目的で来て、美味いなぁと唸りたい。。

旅行グルメもいいけれど病院グルメの番組はどうですか?そうテレビ局に提案しても良いかもしれぬ。ここはトップ5には入るに違いない。もう自分には縁が無いから、番組のあとに混んでも構わない。