日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

犬のいる風景

闇深き巡業

そこに居るはずだった。行ってみるとショーケースには居なかった。店員さんに聞くと「今朝お店を移りました」と言われたのだった。そんな話は以前もあった。そこは隣県のあるホームセンターだった。そこで偶然見かけた。元気もあり可愛かった。数か月後にそ…

犬が食べないもの

子犬から飼い始め虹の橋を渡ってしまったその十二年の間、我が家の犬は何でも食べていた。犬は味音痴だが食いしん坊。食べ物はあればあるだけ、口にできるものは出来るだけ見境なく食べると聞いていたがまさにその通りだった。ある日帰宅すると向こうからシ…

ショルダーバッグ

「縫えたよ、これでいいでしょ。」 そう言いながら妻はとても嬉しそうだった。実際このショルダーバッグをこれまで一番使っていたのは彼女だった。グレーのコットン生地のそれはバッグというよりサコッシュ、いや、頭陀袋だった。深さはあまりなく前後の幅は…

山の犬

奥秩父の甲武信岳に知人が登山したという知らせがメーリングリストに届いた。甲州(山梨)、武州(埼玉)、信州(長野)の三州の境に立つからそう名がついた。安易とは言えるかもしれないが「こぶし」とは良い名前だと思う。彼は甲州側から登られたと言うが…

ケーキのような化粧箱

こんなことで家族四人が顔を合わせるのも皮肉だった。顔を合わせた誰もが目に涙を浮かべていた。気落ちしないようにと娘はケーキの箱を持ってきた。苺のケーキが入っていた。その箱を見て妻は涙ぐんだ。ああ、我が家に来たときもこんな箱だったな、と。そこ…

違いがわかるヤツ

犬を飼っているのなら彼らが水を飲む姿が好きなのではないかと思う。我が家は餌台をつかいそこに水のボウルと餌のボウルを置いている。犬の食欲は限りないように思える。可愛いからと人間の食べ物も含めて好き放題にあげるとしっぺ返しが待っている。彼も肝…

イヌフグリ

今思うとそれは生物の授業だったのか古文だったのか覚えていない。普通なら生物の授業だろうが古文の授業か?と思った訳は教わった植物の名前が古式ゆかしく趣のある日本語に感じられたからだった。ウチダ先生の授業だったような気がする。するとやはり生物…

施設の犬

新聞を読んでいたら胸を打つ記事があった。犬が支える入院生活、とでもいう記事だった。 そういう働きをする犬がいる事は聞いていたがファシリティドッグという名前は知らなかった。ファシリティは施設だからそのまま訳すと施設犬になってしまう。しかしそれ…

ダルマさんが転んだ

犬を手元に呼び寄せる時もっとも有効的な兵器は「餌」だろう。餌を出せば幼犬なら放っておいても駆け寄ってくるし、成犬もしかり。しかし高齢犬になってくると違うのだ。 シニア犬といわれるようになった我が家の犬は、年齢なりに病も増え、投薬が増えた。シ…

創作・白い光に満ちた部屋

室内が明るいのは好い事だな、と俊介はいつも思っている。 さまざまな症状と、我が子を思いやる気持ちがさして大きくない部屋を満たしている。そこは苦しみと心配、そして慈愛が交錯している部屋とも言えた。部屋が白く塗られて明るい事が救いだった。それで…

夜間情動不安症

どれがいいのかね、うちの子は6キロ未満だからね。新生児用ではキツそうだし、Sサイズは大きいね・・・。そんな話をホームセンターのオムツコーナーでしていた。傍目には祖父祖母が孫用のオムツを選んでいるのか、と思われたかもしれない。人間用は通気性が…

膝の上の幸福

愛犬が激しいけいれんを起こし、4日間の入院を経て自宅に戻ってきてから2週間強経った。脳疾患と言う。毎日シリンジを使い経口でステロイドと抗痙攣剤を与えている。奏功してか、目下痙攣の再発はない。しかし病前の習慣や本能的なものは全て忘れたかのよう…

腕の中の重さ

「ガターン」。大きな音とともに横の机の椅子がひっくり返った。黒い学生服のM君が椅子のまま仰向けにひっくり返ったのだった。彼は硬直して歯を食いしばっている。口からは泡を吹いた。隣席のN君は慣れた調子で口にハンケチを突っ込んだ。しばし小刻みに震…

楽爪苦髪?シーズー犬カット

もう10年、彼と過ごしている。目を盗んで禁断の食べ物を食べてしまう、腎臓に石が出来る、捻挫してしまう。色々あるが目下健康そのものだ。 ある年から犬の年齢を人間のそれに換算することは止めてしまった。あまり楽しい計算でもない。まぁしかし概ね自分と…

抜け駆けはゆるさない

退職金の一部に旅行券がついていた。なんと気前の良い制度、そう思っていたが、旅行券の額面も又課税対象だった。何のことはない、単に退職金の一部が現金等価物にて支給されただけの話だった。 某旅行代理店の発行するこの旅行券、JRのチケットに使えると思…

犬の仕草

犬と毎日過ごす。いつも一緒にいると体調は手に取るようにわかるし、彼の機嫌も日によって異なる。帰宅した時は扉の前で待っている。外出しようとすると空気を察して近づいてきて伸びあがって、連れて行けという。家に置いておくと彼はゴキゲンななめだろう…

♪ドナドナドーナ

♪ある晴れた昼下がり。何処かへ続く道。荷馬車がゴトゴト ワンコを載せてゆく♪ ♪ドナドナドーナ、ドーナ 売られていくよ 思わず出てきた替え歌を手で払いのけた。童謡として広く知られたこの歌は寂しい。元唄は市場へ続く道で載せられたのは子牛だが、何故売…

「旅がらす」の想い

何かに熱中していて、ふと我に返る。「あれ、なぜ自分は今こんなことをやっているのだろう?」と自問自答が湧いてくる。そんなことが無いだろうか? 好きなことに取り組んでいるはずでもその思いは時々不意に顔を出す。取り組んでいることが肉体的に厳しけれ…

一歩前 しずく 落とすな 松茸の笠

散歩の際に愛犬の放尿が細く長なり、結果的に所要時間も伸びてきたことに気づいていた。彼の歳は人の年齢にすれば自分と同じくらいだ。 サクサクと軽快に歩き、お好みの電柱を見つけると左後ろ足をひょいと上げて一気に放出。どうもそれが衰えつつなのか。こ…

じっと我慢の子であった

犬を散歩に連れ出そう。目的は運動と排泄だ。しつけが悪かったのかたまたまだったのか、我が家の駄犬は外に出さないと排泄をしない。外に出されるまでは「じっと我慢の子」なのだ。しかしそこは生理現象。どうしようもない時もある。その時彼は「吠える」。…

寒い朝

躊躇するものです。せめて空気が緩んでから、陽射しに力が入ってから、外に出たいものです。それが「寒い朝」。 しかしちょっと我慢して、着こんでから外に出ます。鼻腔に寒気が入り込み気道を通じ体の中に一本芯が通ります。中から冷えると人間は弱い。だか…

本を読む少女

本を読む少女 散歩をしていた犬の足がふと止まった。テンションのかかっていたリードが緩む。 「前方注意」、そうでも言いたそうに彼は僕を振り返る。 僕はいつも通りに好きな音楽をスマホで聞きながら歩いているので気づくのが遅れた。 この時間帯は小中学…

等しい歳月

ワンコを散歩させているとご近所さんに知り合いが増える。いわゆる犬仲間という奴だろうか。それは、買い主の名前も知らないけどワンコを中心としたファミリー構成はいつしか頭に入っているという謎のソサエティかもしれない。 ご近所さんにはご夫婦で俳優活…

さっぱりしました!

今日は我が家の駄犬君が3ヶ月ぶりのトリマーさんから帰ってきました! シーズーは毛は全く抜けませんが、ひたすらボウボウ毛が伸びます。だから毎月一回程度のカットは必須で、これまでは自分がずっとカットしてます。しかし毎回自己流カットで続けていくと…