日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

フリーになって欲しいこと

バリアフリーは随分と一般化してきた。自分がもし家を建てるのならバリアフリーにするだろう。つまらない事でも高齢者は足が引っかかる。カーペット一枚の有無が転倒リスクを左右する。ましてや部屋と部屋の間の扉周りの建具で段差があるとやはり危ない。それは高齢者が住む家なら誰もが直面する話だ。階段や玄関のステップは初めから段差ありきなので手摺がつく事もあるし歩く方も心して歩くだろう。そんなことで障害を避けるような工夫が家やショッピングセンター、駅などでは進んでいる。

もう一つ、進んで欲しいなと思う事がある。それはレストランやカフェ、宿泊施設などでの犬連れの話だ。宿泊施設など犬宿泊OKという宿が増えてきた。が、まだまだだろう。レストランやカフェは場合によっては戸外のデッキなら良いというケースもちらほらとする。ありがたいのだが、暑い夏や寒い冬は下界で料理を食べお茶をすると言うのも辛いものだ。忌むべき蚊、たまらない直射日光と湿度。そして凍てつく北風と力の弱い日光。残念ながらここはカリフォルニアでもないのだ。戸外で飲食を楽しむ季節が短かすぎる。そんなに室内でも楽しみたいのなら犬など家に置いて外出すれば良いだろうという意見は真っ当なものだ。しかし人が異空間を楽しむように犬も同じではないか。

ドイツのとある住宅街のレストランだった。家から歩いて五分程度の森の中にその店はあった。そこはブラウハウスと呼ばれる自家製ビール醸造所だった。レストランが併設されており気取らないがこ洒落た料理を出していた。シンケンのサラダ、ヴゥルストとザワークラウト盛り合わせ、グラーシュズッペ、シュバインハクセ・・。春にはシュパーゲルのクリームソースがけもあった。テーブルの下にはペタリと伏せている犬がいる。それも一頭でもなく多くのテーブル下には犬が大人しく座っている。そんな風景はまたパリの街でも当たり前だった。カフェや気取らぬビストロでワインを手にバゲットをちぎって足元の犬に上げている。

当時自分はまだ犬を飼っていなかったが犬がレストランに普通に居るとは印象的な風景だった。ドイツの犬のしつけは厳しい。大小、犬種問わずに歩き方から人の指図への対応など厳密に訓練をしている。森の中などでしつけ教室が良くある。見ているとゲルマン魂を犬の体に植え付けているようにも思える。それがあっての犬の市民権なのだろうか。

犬の何がいけないのか。匂い?排泄?吠え声?噛む事?・・・。しかし犬を飼っているとわかる。匂いは難しいが、習慣づけられた犬は室内では排泄しない。怖いのならマナーベルトを巻けばよい。吠える事や噛むことなどには原因がありその対応は飼い主なら知っている。実害などどれほどあるのだろう。犬に触っていると心が柔らかくなる。彼らの飼い主を信じるまなざしはこちらの心も満たしてくれる。幸せの果て無き相互作用だ。しかし世にも犬嫌いは居るだろう。うまくきり分ける事は出来ないのだろうか。義務付けられるのならマナーベルトは必須でも良いだろうに。

ドイツとまで行かずとももう少し犬に市民権があると良いと思う。犬が入れるという事で店舗は差別化が図れぬだろうか?マーケティングで言うところのセグメンテーションとターゲティングの明確化だろう。潜在需要は大きいと思う。店側の努力はミニマムで済むのだが。

先日羽田空港の近くでサイクリングの途上、犬の同伴が許されるレストランを知った。空港に近い真新しいホテルの一階だ。気に入ったので続けて訪れている。そこは犬連れとサイクリストにターゲティングを明確に絞っている。新しいライフスタイルの提唱だろうか。サイクルラックが入り口にありサイクルショップがある。週末はレーサージャージの客が多かった。空港ホテルのレストランでもあるので外国人のお客様も来る。平日の昼下がりを狙うとアメリ東海岸風な造りの店内には何組もの客が食事を楽しんでいる。風が強くウッドデッキは閉鎖されていたが、彼らの足元にはアキタイヌも、レトリバーもポメラニアンも、トイプードルもいる。我が家のシーズーも何事もなく床に伏せて尻尾を揺らした。運ばれてきた食事はお洒落で手抜きなく調理されていた。思わずワインを飲みたくなるものだった。

犬フリー。こんな光景が一般的になるといいな、と思うのだった。夢の、また夢だろうか。

その真新しいカフェは犬フリーを実現していた。お陰で店内でゆったりとした時間を過ごした。車で来なかったなら冷えたロゼでも飲めたろうに。それは高望みだった。

週末になるとサイクルラックにはずらりと自転車が掛かり、サイクリストたちがクリートの音を響かせながら室内やウッドデッキを歩いている。ターゲティングを二つに絞り込んでいるのでどちらも好きな自分にはもってこいだった。

店舗情報 https://www.trex.style/kawasaki/

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