日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

鼻ぺちゃ天国・福之記9

港の見える市営公園だった。そこはクジラの背の様な丘の上を園地にしたものでドッグランやバーベキュー施設もある。一月の港を吹く風は冷たい。戸外で遊ぶにはまだ早いのかもしれない。しかし犬連れの散歩者が多かった。多くの犬種に会える。秋田犬やサモエド、レトリーバなどの大型犬は存在感がある。彼らは一見近寄りがたいがとても大人しく、レトリーバに至っては大変フレンドリーだ。

公園の犬はやはり小型犬が多い。ダントツ人気はトイプードル。そしてチワワ、ポメラニアンあたりが三役だろう。パピヨンマルチーズミニチュアダックス、ビションフリーゼも見る。中型だとシバやビーグルか。こんなに犬種がするする出てくるのは犬が好きだからだ。この一派を忘れてはいけない。一定数のファンがいる。パグ、フレンチブルドック、ボストンテリア、ベキニーズ、そして我が家の犬シーズー。共通項がある。誰もがペチャンコの鼻だ。親指でボクンと押し潰されたような鼻は気の毒というよりはユーモラスで可愛い。強く押しつぶされた鼻の反動なのか眼球がデカく露出している。言ってみればゲテモノとも言えるが何故か間抜けで愛おしくなる。彼らは「鼻ベチャ犬」と呼ばれている。いびきも大きい。魅力の塊だ。何の匂いでもクンクン嗅ぐのは犬の習性だが、鼻が短いと苦労する。必然的に顔は対象物に近くなるが、その分草や小枝で大きな目玉を傷つける可能性が増える。飼い主は最新の注意が求められるのだった。

類は友を呼んだのか、散歩をしていると鼻ぺちゃが集まっていた。我が家の犬もそこに混じった。なかなか壮観だった。

「ああこれは鼻ぺちゃ天国だな」と思う。仮にそのすべてがシーズーだとしてサークルの中でリードを外されて入り乱れたとする。果たしてそこから我が子が一目でわかるものか?

そんな他愛もない夢想は先住犬の時にもした。彼には目の下に黒い毛が生えていたので特徴があった。子犬から共に過ごしたのだから間違えるほうが難しい。僕には自身があった。しかし今の二代目クンは付き合いだして日も浅い。はたして判別できるか自身がなかった。

妻は出来ると言うのだった。絶対わかると自信満々だった。二代目クンと過ごしたのはまだひと月だ。妻は彼のためにセーターを編んでいる。そしてマメに面倒を見ている。僕は多少でも手抜きをする。その差だと思った。じっくりと顔を見るからだろう、それは脳裏に刻まれる。

ブリーダーで五年過ごしそこから保護された彼。里親になった以上僕もひと目で見分けをつけねばならぬ。それは彼にとっても僕にとっても良いことに違いない。穴のあくまで彼を見よう。言われてみれば自分も無様な団子ッ鼻だった。お似合いではないか。飼い主と犬とで鼻ぺちゃ天国だ。

公園でコンニチハ。皆さんお鼻を何処かに忘れたのかな?

鼻ペチャ犬に良いところはあるのだろうか? え?貴方が僕を飼うでしょ、それだよ!

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