港にあるアウドドアショップに来た。一通り揃ってしまいもうアウドドア用品など今更買うものは無いのに、なぜかこの店は胸が弾む。もう四十年近く前にその商品を買ったブランドだが今では人気店で日本中全国展開だろう。今日では街着として人気のブランドに思える。しかし創業者はアパレルに無縁なアウトドアマンでありアウトドアに適した商品は何かを考え世に出してきた。実際のアウトドアマンならわかる痒い所に手が届く的な商品が多く、どれもが単なる街着以上だ。自分の初めてのテントもゴアテックスの雨具も、そして自分が持っているアウドドア用品の三割はこのブランドのものだろう。
今日の店は横浜港の山下埠頭そばにあった。ビルの中にあるだけではなく港の波音がいつも聞こえる平屋の店はいつにもなくアウトドア心が湧いてくる。店内に展示されたカヌーの横にカヌー講座のパンフレットがあるのが場所柄だった。つられて思うではないか、やってみたいと。
そのブランドのウインターシェルを物色していた。アウトレットコーナーがあるがなかなか良い値段がしていた。くたびれたゴアテックスの今のものはもう三十年近く使っている。内側のシームテープが剥がれ一度この店で張り替えてもらったが、それもまた剥がれていた。
このシェルの相手は雨ではなく雪と風なのだ。視界の利かない降雪時は基本行動しない。ならば縫い目からの浸水も余り神経質にならなくともよい、今の物を使い続けよう、と考えた。気に入った商品もあったが予算オーバーだった。あと一万円安ければ買ったかもしれない。
何も買わずに店を出たがなぜか心が沸き立ちうきうきした。アウトドアはいくつかある自分の趣味の原点のひとつだろう。個々の趣味への入れ込み度合いには周期があるがいつも心の中ではアウトドアマンでありたいと思っている。体調の低下、気分の浮き沈み。色々言い訳をつけるが実際体は動かずにここ一月はアウトドアから遠ざかっていた。これではいけないと思うのだが気力は正直だった。
いい夢を見せてもらいました。そう口にして店を後にした。寒い季節だ。この時期でないと楽しめない事もある。どれ、野山に向けて足を踏み出してみるか、と少しばかり背中を押されたように思えた。
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