日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

頑張っているな

80歳を迎えてもステージに立ち動き回る。頑張っているなと思う。凄いと思うが同時に奇跡にも思う。ストーンズザ・ローリング・ストーンズ)について語りだすときりが無くなる。だからあまり書かない。

まぎれもなく世界でも有数の長寿バンドだろう。1962年の結成だから。60年間現役でポップミュージックの世界を転がり続けている。昨年はなんと新作スタジオアルバムまでも出した。メンバーは皆80歳を迎えようとしている。エッジの効いた黒っぽいサウンドは紛れもなく彼らだった。

ブルースやR&Bの模倣から始まるのは1960年代当時のロンドンの音楽シーンだったのだろう。そんなカバーバンドで始まった彼らはやがてミック・ジャガーキース・リチャーズのグリマー・ツインズによる曲が中心となる。が彼らの根っこはやはりブルースとR&Bだろう。1970年代後半からロックシーンにはパンクミュージックが現れた、それは既存の価値観を壊すムーヴメントだった。そしてニューウェイブと呼ばれる新しい音楽も出てきた。70年代初頭までのロックバンドはダイナソーとなり生き残るために産業ロックに手を染めた。しかしストーンズは最新の動きへの目配りを忘れずに産業ロックに走ることなく、自分達の音楽と時代の音をうまく融合させていた。アメーバーのようにも思えた。1990年ごろから彼らは原点回帰し、エッジを効かせたロックンロールに戻ってきた。

彼らのグルーブのエンジンは何か。ネットにも多くの考察があがる。概ねこんな意見になるだろう。バンドサウンドを引っ張るのはキース・リチャーズリズムギターであり、一方でキースは演奏中はただただチャーリー・ワッツのドラムスを聴いていると。グルーブの核はチャーリーのドラムスという結論が多い。ミックのボーカルやダンスにもブライアン・ジョーンズの多岐な才能にも、ミック・テイラーの流麗なブルースギターにも、ビル・ワイマンの寡黙なベースにも触れられていない。

1970年代辺りまでは不良やならず者のイメージの強い彼らだったがそんなパブリックイメージも時代とともに変わる。90年代以降のバンドフォトはチャーリだけが一人三つ揃いのスーツ姿で写ることが多い。ドラッグにも溺れたが彼はジェントルマンを通していた。2021年に惜しくも世を去った。ストーンズのライブは何度も見たがメンバー紹介で最も拍手と声援に包まれるのはこの控えめな英国紳士だった。

ジャズ・ドラマーだったチャーリにはスイング感があるという。しかし自分はドラムスには詳しくない。ただ8ビートを叩く際の三打目にハイハットは抜いてスネアだけを叩く、という独特の叩き方が間違えなくグルーブの核だろうと思うのだった。

動画サイトで見たライブ映像はヒューストンでの先月の物だった。最新アルバムからのナンバーを演奏していた。80歳を迎えようとしているメンバーはみな生き生きしており、80年代や90年代よりもエネルギーに溢れているように燃えた。オリジナルメンバーはミックとキースだけとなった。永遠の新人とも言われていたロン・ウッドの加入は1975年なのでもう50年になろうとしている。そんな三人にチャーリーがいないのは残念だった。代わりに叩いているのはスティーブ・ジョーダンだ。名うてのドラマーだが、驚いた。彼はスネアショットの際にハイハットを叩かないのだった。間違えなくそれはチャーリー・ワッツの叩きかたであり、彼へのオマージュだった。彼はこのユニットではそう叩くようにしたのだろう。

彼らがこの新しいユニットで世界を回る事だろう。来日するなら間違いなく自分もチケットを買うだろう。高校生で彼らを知りその音は自分の中の一つであり続けている。そんな僕も何時か還暦を越えていた。彼らが頑張るのだからリスナーも頑張らなくてはと思う。禿げた頭に帽子をかぶりベロマークTシャツで東京ドームに行きたいものだ。

1960年代のロンドンの熱いムーブメントには憧れる。R&Bやブルースの多くのカバーバンドが居た。40年以上聴いているこの二つのバンドは自分の一部だろうと思う。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村