日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

サイクリング・自転車

レジェンドとアルチザン

御年90歳近いご主人に会うのは二度目だったが相変わらずのお話し好きで自分達の自転車を見ては楽しそうだった。いつものようにまずは店内に自転車を入れて、と言われた。古いブレーキ用のワイヤーを買おうと思っていたので、それでは、とお店に入れた。彼は…

まぶしい草野球 

♪ 風の外野席 手のひらかざして 青い背番号 確かめてみる♪ エラーの名手に 届けるランチは クローバーの上に転がしたまま・・ きっとこの歌は、この場所を描いたのだと思った。なによりも作詞・作曲者の家から近いのだから・・・。 自分の人生の中で東京都民…

ラチェットの唄

ラチェットが心地よく鳴る道は心地よい。その音をオノマトペで再現を試みるが良い表現もない。低速はカタカタカタ?チリチリチリ?中速以上はザー、ジー、ジャーッ?どれも違う。 それがよく響く道とは何処だろう。サイクリストなら問うまでもなくそれを知っ…

季節外れの北帰行

北関東へ向かう列車だからだろうか?列車に乗り込み自転車の入った輪行袋を固定して椅子に座って気づいた。椅子にスチームが通っていた。いやそれでは昔の客車列車だ。今はヒーターだろう。 朝6時半の長距離列車だった。新幹線も通っているが各駅停車で行け…

筑波山を見て走る・茨城サイクリング

サイクリングをしたルートを頭の中の地図で広げて見る。とぎれとぎれだと間を結びたくなる。またある点から全く違う点まで伸ばしてみたくなる。自分のサイクリングルートの決定はそんな過程を経る。JR宇都宮線古河駅から常磐線の土浦駅、いやその先の霞ケ浦…

使わなかった輪行袋

山歩き会の会合の為に港区高輪のアウトドア店に行った。一階がアウトドアショップで地下に同店が経営するナチュラル・ダイニングカフェがある。一階で山道具などを見て気分を高め階下のダイニングでゆっくりと山の計画を練るのだった。 折角アウトドアの計画…

休日列車「楽しみの国」行き

宇都宮の駅に居た。夏も終わりで夕暮れは決して暑くない。そんな中、同駅始発の列車を待っていた。日光の2400m級の山に一泊二日かけてでじっくり登った自分は疲労感に包まれながらも無事に終えた山の余韻と満足感、下山後の立ち寄り湯、それに駅前で手早く食…

雨宿り

驟雨だった。陽炎が漂うような空にもくもくと雲が盛り上がり急に降り出した。 自転車の小さな旅で街道沿いを走っていた自分は本能的にひさしを探した。上下とも速乾ウェアのいで立ちで土砂降りでも晴れればすぐに乾くだろうが、やはり濡れたくはない。雨宿り…

源流の旅

川の源は小さな雫。岩の割れ目から落ちる一滴。いや地面から滲み出るシミかもしれない。 山歩きをしていると有名無名、本流枝流の多くの川の源に接するだろう。沢を詰めて稜線に上がるというルートが多いからだ。日本一長い川は信濃川だがその源流には水源を…

調整の美学

なにもそれが美しいからではない。その本質を見極めようとしているわけでもない。そうしなければならないから、微細に調整するのだった。自分にも何処かで似た風景があったなと考える。思い出した。リニアアンプの調整だった。リニアアンプと言ってもオーデ…

目一杯の向こう側

延々と続く上り坂。行く先を見れば滅入るばかり。肩にしたザックはますます重くなる気がする。登山靴が妙に重い。地球の重力に反して上に向かう事は楽ではない。そんな事をいつも感じている。早く尾根が平坦にはならぬか。気をつかうが脚は楽になるトラバー…

少しづつ、変わってほしい

2023年4月1日から自転車でのヘルメット着用義務が課されることになる。その一報に接し口に出た。「ああよかった。しかし実現まで遅かったな」。 18歳の時から乗っていたオートバイ。転倒は3度ある。急制動によるものが2回、カーブで後輪を取られて転倒が1回…

武蔵野逍遥のサイクリング

武蔵野と言えば何を思い浮かべるだろう。学校で習ったものといえば玉川兄弟が作った玉川上水。太宰治の入水自殺くらいだろうか。学生時代の一年間をそんな武蔵野の一部ともいえる狛江で過ごした。通っていた病院が調布にあり、また、自動車免許を取得したの…

爆音と弾痕

時代が時代だった。多かれ少なかれ太平洋戦争や第二次世界大戦の戦記物やメカものに惹かれた。それが自分の小学生の話だった。当時の自分のヒーローは王でも長嶋でもなく坂井三郎氏だった。旧帝国海軍の戦闘機搭乗員、ゼロ戦を駆っての64機撃墜は海軍のトッ…

ユーミンの歌世界を自転車で・天気雨と相模線

相模線という鉄道路線を知っている方はやはり「鉄分豊富」な人だろう。神奈川県では数少ない単線の鉄道は相模原市の北部から湘南の町まで相模川に沿って南北に走っている。今でこそ電化はされたが自分が学生の頃はディーゼルエンジンをガラガラと唸らせた気…

計画通り、新春佐野厄除けラン

三十年以上も昔、皆がまだお気楽な社員だった時代。四人のマウンテンバイク野郎どもは秩父の河原で自転車に興じ、焚き火をしてテントで寝た。小綺麗なたくさんの用品に囲まれて非日常を野山に求めるキャンブブームが後に来るとも想像できない頃だった。 当時…

脛に傷あり・Wレバーの締め増し

Wレバーで変速する自転車に魅かれて長い時間が経った。小学生の頃の電飾のついたセミドロップハンドル自転車は今思えばトップチューブに今の自動車のATレバーのような変速レバーが付いていた。せいぜい5段変速だったのか。社会人になってからブームに乗って…

旅の風景・カンで走る楽しさ

カーナビは便利で、単なる現在地を示すものから最短ルート表示、渋滞回避。そしてテレビを見て音楽を聴く機器として多機能化した。しかしそれもスマホに駆逐されつつある。カーナビにせよ、スマホにせよ、現在地は直ぐにわかるし目的地へのナビもストレスな…

旅の風景・廃線跡にて

自転車を降りて手で押しながら歩いている。足元の錆びついたレールが目に留まる。 細いレールだ。間違えなくそれは一日数本しか走らない支線のレールだったろうし、それが使われなくなり半世紀は近いのではないだろうか。 枕木は割れ、レールは赤く錆びてい…

革サドルの唄

随分とお世話になったものだ。これに跨り走った距離はどれほどか。 ライン川沿いを下り国境を越えてドイツからオランダに出たのもこのサドルだった。シャンパーニュやブルゴーニュそして古城が美しいロアール川沿いを走ったのもこのサドルだった。日本に帰国…

旅の風景・分岐線

ゆっくりとランドナーを走らせる。目的地の港町は近いのか潮の香りがする。一時停止、踏切だ。 それは目を奪う風景だった。単線のレールがまっすぐに伸びていく。そしてそこから一本の単線レールが頼りなさそうに分岐していくのだった。 単線とはいえ前者の…

旅のカバン

旅が好きな方ならば、だれしもがお気に入りの旅行鞄を持っているだろう。ヨーロッパの空港などで無造作にルイ・ヴィトンの大きなトランクケースがターンテーブルを回ってくるのを見ると、ああ、鞄冥利に尽きるのだろうな、と思う。そう、まさに旅の数だけ傷…

鳥居に導かれる 上信電鉄サイクリング

見事な秋空の演出だった。晴れていたはずの空もいつしか日が傾きかける。「秋の日はつるべ落とし」と言わんばかりに急速に暗くなってきたがそれは太陽が一時流れてきた雲に隠されたせいもあった。しかし思わぬ光景にブレーキレバーを握っていた。雲の隙間か…

「旅がらす」の想い

何かに熱中していて、ふと我に返る。「あれ、なぜ自分は今こんなことをやっているのだろう?」と自問自答が湧いてくる。そんなことが無いだろうか? 好きなことに取り組んでいるはずでもその思いは時々不意に顔を出す。取り組んでいることが肉体的に厳しけれ…

旅する本

書棚を整理していたら、一冊の古びた本が出てきた。 1990年発行のガイドムックで「MTBフィールドガイド・関東甲信越編」とある。 ああ、ここにあったのか。懐かしい本だな。この本を見て、いくつかルートの参考にさせてもらったな、と即座に思い出したのだっ…

谷戸の奥へ。鶴見川源流のサイクリング

谷戸。谷地。響きが良い。何か惹かれるものがある。 丘陵地から複数の枝尾根が発生する。その間にはいつしか水が湧き、谷が形成される。沢の誕生。深山ならばそれは深い谷になりやがて大きな川になる。神奈川県の下末吉台地や東京都の境、多摩丘陵あたりでは…

駅そばシリーズ(10) 三島駅 爽亭

転勤で新幹線通勤をしていた静岡県三島駅。記憶もやや曖昧だがこの駅には4軒、いやもしかしたら5軒の立ち食いそば店があった。 新幹線ホーム。東海道線ホーム、南口改札横、そしてこの駅を始発とする伊豆箱根鉄道駿豆線の開札内。これでは4軒だが、東海道線…

懐かしの駿東を巡るサイクルツーリング

サイクリングの楽しみ方は人それぞれだろう。 自分は「走りヤ」でもなく「峠ヤ」でもない。「ロングライド」にも関心がない。峠もロングライドも結果であり目的ではない。一人で走る気ままな小さな「旅」に興味ある。気心の知れた仲間と走るのならニ・三人ま…

旅の風景・風の匂い

旅をする人なら誰も、「風の匂い」を知っているだろう。 その旅とは勿論、徒歩や自転車などによる人力の旅の話。バイクや車、鉄道やバス、飛行機などの旅行では残念ながら「風の匂い」を自分は感じたことがない。唯一バイクでは感じるが、その匂いは徒歩や自…

相棒みがき

コロナにかかり10日間の外出禁止。最初の3日で熱も下がり、あと一週間は何をしよう。読みかけていた本をよんだり、書きかけていたものを書き足したり。しかし納期も何もない、縛りが無いと人間ここまで堕落できるのか、といった具合に怠惰になる。家の中に居…