日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

忘れ物

一週間ぶりに泳げると思った。昼間には野暮用も多く週末には予定が詰まっていた。いつかそんな日々の中で疲れがたまっている。

レストアが必要だった。水に浸かり全身を使って先に進む。魚のようには行かないけれどなんとか二十五メートルを泳ぐ。何本も重ねたあとの疲労感は充実をくれる。

そう、水泳は全身を使うけれど、実はその後の体が辛いわけでもなくむしろ心地よい疲労に包まれるのだった。

ようやく泳げるな。しかし市民プールの受付で気がついた。かばんの中は着替えと風呂道具だけでなんと水着も帽子も水中メガネも忘れていた。自分のバッグのみならず家内の袋も同様だった。

がっかりしたが取りに戻る時間もなくもうどうしょうもない。袋の中身の準備は家内任せだったが、かといって彼女を責めるわけにもいかない。自分はまったくの丸投げなのだから。しかし忘れ物には腹が立った。何かに当たり散らすというのは自分の醜い癖だった。クソうと大きな声を出してしまった。

気分転換が必要だった。幸いなことにこの町のブールは温泉がついており、水泳をしてもしなくても値段は変わらない。少し遠くの温泉に来たのだ、そう思うことにした。実際にサウナ、水風呂、温泉の湯船と回っていくと疲れが体の芯から出ていくのだった。

大声を上げる必要もなかった。忘れ物はいつも独善的な自分に対して悔い改めよと神様が与えてくれた罰に違いない。

ちょうどしばらくは禁酒しようと思っていたのだから良いタイミングだった。水泳をした後にサウナ、水風呂、温泉と辿ればその次はビールだから。それが今日はノンアルビールで済ませた。運動をしていないのだから飲むべからず、そんな思考が働いた。

明後日にはプールのある街に行く予定がある。水着はそれぞれ自分で用意して、共に確認し合っていくだろう。