日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

192グラムの夢

カメラ、自動巻き腕時計、鉄道模型、自転車のパーツ・・。好きなものを上げていくとわかる。自分は精密なメカが好きなのだと。腕は二本しかないのに幾つ腕時計があるのだろう。父の遺品、叔父の香典返し、勤続二十五周年の記念品、欲しくなかったのに我が手に来たものもあるがそれらはどれも電池で動くクォーツ時計だった。欲しいがどうするか、と迷って買った時計は自動巻きだった。

自動巻きは時刻が狂う。一つは遅れ、一つは進む。がクォーツですら狂う。電波時計はそうはならない。色々個性があって楽しい。狂う時計はその求められる機能を満たしていないことになるが、それも愛嬌がある可愛らしい。

カメラだ。今カメラはスマートフォンで画面をタップして撮影する。絞りは、シャッター速度は、感度は。などど気にする必要もない。しかも機種によっては勝手にレタッチをしてしまう。恩恵を受けて今は自分もそればかりだった。

断捨離でいろいろモノを片付けている。カメラボックスからちいさなカタマリが出てきた。おお、と懐かしくなった。それはミノックスGTEだった。35㎜フィルムカメラだ。ミノックスはドイツの光学機器メーカー。スパイカメラと呼ばれるまさにスパイがマイクロフィルムを使い機密文書などを撮影するといういかにも映画に出そうなカメラを作っていた。こちらは一般的なフィルムん使える35㎜カメラだ。

蓋を開くとレンズが出てくる。沈胴式のレンズユニットにまず魅了される。そこには絞りリングがついている。ファインダーを覗くと右側に針式のシャッタースピード表示がある。絞り優先AEだった。フィルム感度の調整は本体の下にある。バッテリーチェックボタン、セルフタイマーボタンがある。2Xというボタンがあるがこれは露出補正で感度をプラスに振るのだろう。重さを測ったら192グラムだった。レンズ画角は35㎜。今自分は28㎜に慣れてしまったが、35㎜とは写真を始めたころは広角系としては一般だった。使いやすい画角だ。しかもこのMinoxarレンズは開放値F2.8と明るかった。ピント合わせは被写界深度で考えるしかない。それも試されているようで楽しかった。

192グラムに全てが詰まっている。実際それは軽くてレンズが沈むのでポケットにすっぽりと収まった。Germanyと書かれたレンズ縁の刻印がカッコよい。いかにもドイツ、というカメラに思う。リバーサルフィルムを入れて沢山の山に連れて行った。丹沢のヤシオツツジを綺麗に写せて喜んだが、今はそのポジフィルムは何処に行ったのだろう。

ローライ35にも惹かれたが良いタマは高かった。そのうちにミノルタTC1やリコーGR1などのコンパクトで高画質というカメラが出てきた。このミノックスやローライの系統だ。僕はすぐにGR1をメインに使うようになった。

何かに胸をときめかすことは大事だろう。いまこれを手のひらに載せて自分の心には妖しい鐘が鳴っている。好奇心が膨らむことを実感する。同じようにフィルム一眼レフたちも使いたいと思う。撮影枚数が決められているフィルムカメラはデジタルと違い一枚一枚が大切となる。メカ式の腕時計を嵌めて、メカの塊のフィルムカメラを使い頭を使い撮影する。なんと楽しい事だろう。

蓋を開くとレンズが出てくる。そこには絞りリングがついている。被写界深度を考えて絞りを回すとファインダの中のシャッター速度計が動く。なんという精巧な192グラムなのだろう。Germanyという刻印も又、所有欲を満たすのだった。

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