日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

しつけ 福之記3

十二年前、初めての犬・ゴン太が我が家に来た時、あまりトイレのしつけで苦労したことは無かった。ごく初期から彼は家の外、散歩をする際に大小の排泄をするようになった。それは特にそう躾けたわけではなく気づけばそうなっていたのだった。もともと犬は綺麗好きで自分のテリトリーが汚れるのを嫌がるという。そんな本能を利用してトイレを覚えさせるという。自分たちが望んだ場所でトイレをしてくれればご褒美の「餌」が貰える。そう関連付けていくようだ。だから飼い主は挙動を見ていなくてはいけない。オシッコの時はたいがいクルクルと歩き回るしウンチの時は鼻を地面に近づけて歩く。「あ、やるのね」とすぐにわかる。体勢にはいり無事排泄したらご褒美だ。ペットシートでしか排泄をしないようにしつけられた犬もいればゴン太のように外でしか排泄しない犬もいるだろう。

ゴン太もたまには失敗した。散歩に出るのが遅れると家の中ですることもあった。どうしてもと言うときは吠えて教えてくれた。脳の痙攣を発症してからは彼は人が変わったようになり、排泄の制御は出来なくなった。仕方ないよな今までありがとう。しっかりとオムツをつければ済む話だった。

福太郎はまだ家に来て数日。保護犬預かりボランティアさんの話ではペットシートを認識すればきちんとそこで排泄する事、外の散歩はこれからであること、目下散歩ではすぐに人に寄って行ってしまいトイレどころではないとの事だった。ゴン太はとうとうペットシートで排泄をしなかったので室内定位置で排泄が出来るとは信じられなかった。家に迎い入れた時はオムツだった。しばらくはそれでオシッコをしてもらい、ペットシートにその匂いをつけるという方法にした。翌朝その通りにした。

午後遅くに初の散歩だった。新しい環境、新しい刺激。ある電柱で左後ろ足を上げた時は期待で胸がはじけそうだった。コイツ、出来るな!すぐに餌を上げた。ご褒美だった。その夜の散歩でも片足を彼はあげた。さらに歩くと彼は路面を嗅ぐ体勢になった。すぐにウンチもした。排泄で大喜びするというのは傍から見ればおかしいのだろう。やったねーすごいぞ!と小躍りしているのだから。

翌日以降も彼は外で排泄をするようになった。しかし嬉しい事に居間に置いたペットシートにも小用をしている。確認取れ次第ご褒美を上げる。保護犬預かりボランティアさんはご自宅ではペットシートをL字型に折って壁と床に貼っていると言われた。自分も簡単に段ボールを折るだけの排泄板をつくりそこにペットシートをクリップで留めるようにした。そんな手製のトイレでしっかりシートを黄色く汚してくれるのだから、大喜びだった。

まだ関門がある。小一時間家を外したら上の階にあがりそこの部屋に彼はそこでウンチを残していた。これは先のゴン太にもあった話だ。「家を外したからきっと怒ったんだね」と家内と話した。これもペットシートでやってくれれば満点なのだった。驚きは階段を登らぬように立てていた柵を彼は容易に突破して階段を上下した事だった。ゴン太の若き日にもない運動能力だった。そんな失敗は経験になる。シーズーは大人しいというこれまでの概念を捨てねば、と思った。

とまれ、気になっていた大小排泄も、屋外でも室内のシートの上でもやってくれればいう事もない。徐々にゴールに近づくし出来なければオムツをしてやりさえすればよいだけの話だ。まだまだ自分達の生活は始まったばかり。どうぞ汚してくれ、と話しかけた。

よくぞやってくれました!トレーニングを兼ねているので散歩セットにはオシッコ流し用ペットボトル水、トイレットペーパーに加え、「無事排泄・ご褒美」の餌を忍ばせるようになった。定着したのか、もう少しかだろうか。焦る必要もないのだ。

散歩デビューは野外排泄デビューの日でもあった。よくやった。天晴れ!