子供のころから肥満体だった。結婚後数年間にかけてはさらに膨張した。流石にヤバイ、と甘い清涼飲料やスナックを控えたら少しは減った。しかし概ねBMIは27あたりだった。BMI25が正常体と肥満体のしきいとなる。自分の場合それは体重68.5キロになる。
BMI24あたりまで下がったことがあった。それは2年前のガン治療入院生活だった。治療中も無理ない範囲で理学療法士さんによる体のリハビリは続いた。筋肉が衰えぬよう、理学療法士さんのメニューに加え自分は1階から7階の病室まで毎日階段で登っていた。実際筋力が落ちたという感覚はなかった。しかしBMIがそこまで下がったのはやはり食事なのだろう。
入院生活で食事は楽しみの一つだった。糖尿病などの食事制限が無い自分には普通のメニューが出てきた。病に罹患する前は減量しようと流行りの「糖質ダイエット」をやっていた。炭水化物は摂らない、というアレだ。友人はこれでかなり瘦せたと言うが自分には顕著な効果はなかった。しかしそんなすりこみがあったので、入院中もご飯類を残すようにしていたら、看護師に怒られた。今の自分に必要なカロリー計算して出しているのだから食べないと体が戻りませんよ。と言うのだった。あまりにそんな状態が続いたせいだろうか、栄養士さんがベッドにやってきて「講習」をやってくれた。
炭水化物(糖質)は悪者ではない。繊維、タンパク質とバランスよく摂取すべき。と強く言われた。しっかり食べるようにした。抗がん剤の影響もあり当初は食欲も少なかったがそのうち病院の食事だけでは不足を感じ売店で追加の食べ物を書くようになった。それも当時の自分では良しと言う事だった。最終的に退院時は発病前から体重が7キロ落ちていた。もろ手を上げて喜んだが改めて鏡を見ると頬もこけ貧相に思えた。そんな心配もどこへやら。二年間かけて体重はゆっくり戻ってきて今やBMI値が再び気になるようになってきた。
入力(食事)ー出力(基礎代謝・運動)がプラスと出れば体重は増える。逆になれば減る。さて体重回復が著しい自分はどちらだろう。体はそれなりに動かしているが基礎代謝は下がるのだろう。入力も決して多いとは思っていないが、自己に厳しくある必要があるのは明らかだった。
何かの参考になろうか、と入院時に毎食盆にのせられていた名前入りのメニュー表を手元に残していた。厚さ数センチある貴重なデータベースだ。ためしにメニュー例やカロリーを改めて眺めた。ある日の三食だ。
・朝 ご飯180g オムレツ 青菜とチキンサラダ キャベツとポテトの味噌汁 鯛味噌 631Kcal
・昼 蕎麦150g 銀鱈の照り焼き オクラのソテー 春雨チャプチェ風 ブロッコリーおひたし 537Kcal
-夕 ご飯180g 豚肉のムニエル キノコのデミソース 大根とさつま揚げの炒め煮 ほうれん草のおひたし 572Kcal
合計1740Kcalとは意外に多いように思える。糖尿病食ではないとこんなものなのだろうか。また、炭水化物・たんぱく質・野菜・海藻などバランスが良い。その翌日の三食合計は1818Kcal、その翌日は1764Kcal。いがに多く思えるが糖尿病食は一日1600Kcalと言うので普通食はこんなものなのかもしれない。また三食ほぼ同じカロリーの比率でもある。
さて、今は何処に問題があるのだろう。明らかに違うのは、アルコールだ。今や缶ビール350㏄でも欠かせない。禁酒日は朝から何度も口にする。「今日は飲まない、飲めない日だ」と。しかし運動をハードにすると、今日は動いたからいいか、と都合の良い自己解釈になる。今の食事はできあい総菜を買う事もあるので結果的に揚げ物メニューも多い。病院でも出てきたがやはり煮物・焼物・炒め物が多かったようだ。また朝食を抜かしてしまう事も多い。その分昼食でリカバリーと言うのは血糖値が一気に上がり良くないようだ。結局、日本人の昔からのメニューはなかなか素晴らしいものだろう。
自己に厳しく酒を抜き、三食しっかりバランスよく。それがキーだろうか。生活の中で食の楽しさが占める割合は多く誘惑だらけだ。断ち切れぬか。「もう一回入院すれば良いか」と言うと妻に怒られた。はて今の自分は耐えられるのだろう?
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