日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

図書の旅15・素晴らしい人体(山本健人)

・素晴らしい人体(山本健人著・ダイアモンド社・2022年)

普通に生活しているなら手足や臓器の役割を改めて感じる事もないだろう。当たり前に考え、動いているのだから。しかしそのバランスが崩れる。「病気」になると色々な事が見えてくるのだな。それがこの書の読後感だった。人体のつくり、何故病気になるか、医学史、健康の常識、現代医学 そんな視点でコラムが書かれていた。

目下のところ自分が最も懸念する病は、ガン、生活習慣病だろう。生活習慣病の際たる糖尿病が如何に恐ろしい病気かはよくわかる。実際自分の父も糖尿病に罹患していなかったら今は違う生活をしていたはずだ。彼は過度のヘビースモーカーだった。仕事柄接待飲食も多かった。運動不足だった。それで心筋梗塞になり後に糖尿病へと定まったコースを辿った。喫煙・欧米型食生活・過度の飲酒・運動不足。すべてが糖尿病や動脈硬化生活習慣病に直結する。喫煙歴ゼロの自分でも、残りは該当する点もある。目下良好ではあるが毎月の血液検査データは気になるところだ。

ガン細胞は正常な人間の体内にも必ずある事。毎日細胞分裂をする過程でガン細胞は現れる。しかし体が本来持つ免疫力がそれを駆逐する。駆逐できずに臓器を破壊し命を脅かすポテンシャルを持った時点で初めて病とみなされる。その記載には膝を打った。…ガンと免疫力アップが昔は即座につながらなかったのだ。しかし実際ガンになってみると、ははあ、免疫力が減っていたのだなと思うと納得がいく。しかし何故減っていたのか。体力減か、ストレスか・・。ここは自分も解らない。振り返るならば発病時期は会社生活でメンタルをむしばまれ、早期退職を選んで、半年後だった。ダムが満水で決壊するように、それまでにたまった何らかのストレスが一気にガンに抗う抵抗力を奪っていたのだろうか、そう思うと腑に落ちるのだった。するとストレスのない生活を送ることがいかに大切か、見えてくる。

さらっと読み流すだけでも人体は何とも精巧につくられているものだ、と感じた。主だった臓器の役割も書かれているが読んでもすぐに忘れてしまう。そんなことがすべて頭に入っている医師とは実に凄い方だと思う。また、医学史も興味深かった。感染症研究、病理学などを通して抗生物質・ワクチンの開発。免疫破壊のウィルスHIVも今や死の病ではなく、薬により発病を抑える慢性疾患となったこと。

現代医学の進歩も著しいと改めて知る。子供の頃はレントゲン写真しかなかった。いまやCTもMRIもある。内臓の外科手術も開腹もあるにせよ、今や内視鏡が中心。術後ダメージをへらしつつ進化し続ける医療技術は頼もしいものだ。実際自分が受けた脳外科手術など、どんな器具を使い周辺にダメージを残さずにどう腫瘍を切除したのか想像もつかない。

さて最新医療に自分も救われてきたが、これからはどうなる事か。自然現象である以上、老いから逃げる手段はない。自分の場合は、ストレスを減らし免疫力を上げていき、毎日誰の体内にも生成されているがん細胞を駆逐していく事。そしてこちらも怖い生活習慣病を防ぐために日々の生活を見直していく事だろう。しかし人間である以上、楽しみが欲しい。食べることはその最たるものの一つだろう。コントロールとはいえ容易ではない。

日々が自己との向き合い、静かなる戦いと言う事だろうか。

副題に「あなたの体をめぐる知的冒険」とある。人体とはまこと不思議なり。

 

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