日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

♪ドナドナドーナ

♪ある晴れた昼下がり。何処かへ続く道。
荷馬車がゴトゴト ワンコを載せてゆく♪

♪ドナドナドーナ、ドーナ 売られていくよ

思わず出てきた替え歌を手で払いのけた。童謡として広く知られたこの歌は寂しい。元唄は市場へ続く道で載せられたのは子牛だが、何故売られるのだろう、その後どうなるのだろうと考えると嫌な歌だった。そんな歌が思わずよぎってしまうのは、子供心にもよほど印象的だったのだろうか。ありがたくない話だ。

しかし今日は心配はいらない。何よりワンコは荷馬車ならぬワンボックスのケージの中に入っても、不安がるでもなくむしろ尻尾を振るのだから。バタンとカーゴルームが閉じられて車は去っていった。

彼は今日は少しの我慢でさっぱりすることを知ってるのだ。行き先はトリミングハウス。優しいトリマーさんの手で身綺麗になるのだから尻尾も振ろう。

飼い始めたときから同じトリマーさんに通っている。細かいことを言わなくても好みにまとめてくれるのでありがたい。

しかしマメにトリマーさんに出していたのは初めのうちだけで、直に年に数回となった。自分でカットをやり始めたからだ。

バリカンを買いハサミとすきバサミ、櫛があるとまあ少しはできる。顔は6ミリのアタッチつけたバリカンで形作り、胴体は3ミリでカット。バリカンは逆目にかけると良くカットできる。下腹部と手足の爪周りは慎重に。

しかしもう何十回とやってもやはりうまくならない。顔の形。そして前後の脚のカット、特に後ろ脚。

顔はキツネのようになってしまうし、脚は長い毛がちょろりとたくさん残る。

出来上がったワンコを迎えに行くと、彼はケージの中で自分を見つけては取れんばかりに尻尾を振り、ケージの中で飛びついてきた。いつもの光景だがこのときほど愛らしく思える事もない。

これまでもトリマーさんにカットのコツを都度教わってきた。シーズー犬は、丸くてふわりが魅力ということで、顔の形はハサミで仕上げるという。まずは特徴的な菊の花のような鼻周りをカットして、顔の形を仕上げていく。ハサミてカットした線はすきバサミでぼやかしていくそうだ。

脚ははじめはバリカンで取ってから取りそこねたところやはやりハサミでカットしていくということだった。

自分もそれなりに経験を重ねているので我ながら良いな、と思うこともあるがやはりプロの手には敵わない。しかしまずは今日教わったハサミでの顔カットを次回はやってみよう。

何よりも我が愛犬。自分で触り櫛を通してあげると皮膚の調子も体調もわかるのだ。

つぎのドナドナドナは三ヶ月後かな。それまでは3回、トライできるな。目標はトリマーさん無しで済ますことだが、するとやはりひど貧相な顔立ちの犬になりそうな気がする。やはりプロの手は必要だろう。それをできるだけ減らしてこれ迄と同様に、いやもっと自分で彼の面倒を見てあげたいものだ。

ピカピカに可愛くなった我が犬を触りながら思う。悲哀のこもるこの歌詞も、軽やかな替え歌にしたら次回も彼を楽しく送り出せるな、と。

なんであんな歌が出るのかな。哀しい歌詞は良くないね。次回までにはキミにふさわしような楽しいものに変えておくからね。

車に揺られてトリマーさんへ。見違えるほどの身綺麗なオジサンになって帰ってきた。良かったね。これから次回までは、僕がカットするからね。いつも通りのトラ刈りは何とか避けるよ。