さて取りいだしたるは下仁田のコンニャク。下仁田と言えばコンニャク、いやネギ? どちらもでしょう。いずれも有名な群馬の味。下仁田のコンニャクは知名度の点で全国区でしょう。ホームラン王だな、なんて、勝手に思っています。
さてそんな「群馬のホームラン王」、普段の出番はおでんと煮物ですかね。あと、おかずがないときなどは唐辛子とニンニクと挽肉、ごま油で炒めたりもします。醤油・酒・少しにみりんで味付け。ジューっとフライパンが唸ったらメインたりえます、これはなかなかイケます。
寒い冬ですから鍋ものが増えます。今日はこの王様をうどんの温かいつけ汁に鳥団子やシイタケ・シメジなどと共に入れようと狙ってます。暖かいつけ汁で冷たいうどん。これは美味しいですね。香川県人の自分はこの手の出汁はイリコ粉末ダシです。(今回は冷凍讃岐うどんを硬めに茹で戻し、冷水でしめました。)
そんな鍋系料理に立ち向かい何時も悩むのがこの王様の下処理の仕方。①単純に切る。②あるいは切ったら真ん中に切れ目を入れてそこに半身を通しねじる。③あるいは指でちぎる。
自分の中では①から③にかけて、数字が上がるほど美味しく感じるのです。つまり切っただけではイマイチ。ねじりこむとまぁ美味しい。指でちぎるととても美味しい、そんな感じです。同時に下処理の面倒くささも比例します。冷たいコンニャクを指でちぎるのはいつも指にくるのです。
さて今回の煮物は自分だけの味覚や食感だけでなく、第三者の意見も聞いてみました。①は別として、②と③、どちらが美味しいか。出来上がった鍋から②と③を取り出して目をつぶって第三者(家内)に食べてもらいました。
アツイ!
・・文句言わずに食べてよ・・。
食べ比べました。私と家内の共通の答えでした・・。③。指でちぎったコンニャクが一番おいしい。
指ちぎりはトゲトゲ感がありそこに出汁の味が染みこむし、絡むね。たとえねじりを入れても包丁で切ったものは出しが絡まにくいよね・・・。
珍しく意見の一致を見ました。
ではなぜ筑前煮には②ばかりなのかな?・・・多分みてくれ、外見重視では? 指でちぎったコンニャクだったら煮物も下品だよな・・・。そんな感じで、意見の合致があり争いの無い食卓は友好的なムードなのです。・・名を取るか実をとるか? もちろん実です。しかしコンニャクは独特の匂いもあるし、それを指でちぎるのだから指も臭うし。何よりも冷たいよね。でもその分味は沁みますよね・・・。
余りにもなごやかなな食卓の雰囲気に居心地が悪くなりました。
ねぇ、仮にコンニャクが知性体だとするでしょ。するとさ、彼らにとってはどちらが幸せなのだろうね?すっぱり包丁で切ってもらうのと、ねちねち手でちぎられるのか・・。痛いけどすっぱり切ってもらったほうが幸せかな?ちぎられるのは痛いよねー。
家内は早速この質問に興味を失ったようで返事はありませんでした・・・あたりまえです。バカバカしすぎる話題ですから。
しかしコンニャクの身になっても作る側になっても、なかなか悩ましい問題であります。綺麗な料理か、見てくれ無視だけど美味しい料理か。指でちぎったコンニャク、見てくれは冴えませんね。・・勝手な解釈ですがコンニャクとしても美味しく食べてもらいたいので、多分手前かけさせたいのでしょう。ならば今回は指で・・・・。そんなところで、決めるのはやはり作り手のようです。
「ホームラン王」さん、あなたはもう胃の中です。ご馳走様。