長いようで短かったフランスでの生活から帰国して10年以上経過しました。あっという間です。
帰国直前には中学生だった長女も小学生だった次女もそれぞれ結婚や就職で独り立ち。今は親元にはいません。そんな家族ですが、フランスに住んでいたころの新年の最大の楽しみの一つが「ガレッド・デ・ロア(Galette des Rois)」を皆で食べる事です。
ガレット・デ・ロア、言ってみればアーモンドクリームの入ったパイです。その中に主に陶器で出来た「フェイブ」(小さな人形)がどこかに埋もれています。1月6日に家族でそのガレット・デ・ロアを切り分けてフェイブが出てくればその人が「今年の王様」。王様にはガレット・デ・ロアを買うと共に付属してくる「紙で出来た王冠」を被って頂き皆で祝うのです。フランスの家庭で一般的な行事を、我が日本人家庭でも行っていました。
・・それが楽しかった。今年は誰が王様か。そんなことで新年で一番最初の楽しい催しです。なぜか長女と次女がそれぞれ王様になる確率が高かったのです。
ガレット・デ・ロアは年に一度きりの季節菓子ですので、どの店も腕を振るって商機に備えています。有名店も街のブランジェリーも、それぞれ一世一代の品を作っているのです。
日本に帰国してから、フランスのパンを焼くブランジェリーでも、そして日本に進出していたフランスの有名ブランジェリーでも売っていることが分かり、この日だけは楽しいフランスの新年の行事を続けています。一応1月6日に食べるという事ですが現実には当日以降も1月いっぱい位までは現地でも販売されていましたので、だいたいその時期、としていました。
当時は四人で楽しんでいたガレット・デ・ロアですがいつからかそれが三人になり、そして今年からはこれを楽しむのは自分と家内の二人だけになりました。これでは「今年の王様」争いも熱は入りません。もっぱら美味しいパイ生地にアーモンドのクリーム餡を味わうだけの行事になりました。
皆で目隠しをして切り分けたガレットを「これ!」と言っていた日は遠くなり、「まぁフェイブはどうでもいいじゃん」となっています。
たまたまですが今年は小さなサイズは売り切れで、それこそ4人で食べていたサイズのガレット・デ・ロアしか手に入りませんでした。今日のところは二人でその半分を平らげるのに精いっぱい。その中からフェイブは出ることもなく「今年の王様」は決定できませんでした。
家内との勝負は、明日に持ち越しです。2022年のガレット・デ・ロア。誰が王様? まぁ僕が王様になってしまったら家庭崩壊です。奥さん、今年も王様よろしく、そう思っています。