日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

年末年始大活躍

お買い物。師走も半ばを過ぎるとクリスマスソングが流れて慌ただしくなる。それを過ぎると流れるものは雅樂「春の海」に代わりお正月ムードが一気に高まる。年末は流通業から始まるようにも思える。彼らがそうもり立てるのかもしれない。アメヤ横丁には年末に行ったことはない。いまならだぶん群衆に押し倒されるだろう。煽られてるかもしれぬがそんな師走の風景は何故か好きだ。慌ただしければ慌ただしいほど嬉しくなる。

普段使いのスーパーも艶やかなデコレーションが彩る。さて、ここに彼が登場すると一気に買い物熱はブーストする。

♪ピピーピペポポ、ピーピピペポポ、ピピピピプーペポーポー、という軽快な旋律をバッグに「いらっしゃいませいらっしゃいませ。本日は年末寒ブリ切り身大売り出し」などと野太いナレーションが流れる。すると人々はほほうブリが安いのか!今日は寒いから鍋にするか、とこう色めき立つ。

彼は影武者のように売り場の目立たないところにいるのだ。「呼び込み君」と呼ばれる音楽POP機だ。群馬県の会社が作っているそうだ。年中彼は働いている。音楽は数種類あり、販売ナレーションはお店で必要に応じて録音できる。彼のいないスーパーは画竜点睛を欠く。寂しくて財布の紐は緩まない。彼の姿を見つけるといつも駆け寄り写真に撮ってしまう。いままでいくつの呼び込みくんの写真を撮っただろうか?実は彼のファンなのだ。テントや避難小屋での登山の際は地元のスーパーで買い物をする。結果わかった。東京埼玉千葉はもちろん、山梨県でも栃木県にでも彼は生息していた。じわりじわりと勢力圏を広げているようだ。

年末は色々と力を出さなくてはいけない。クリスマス用品を仕舞って正月用品が出てくる。年賀状は出来る限り出さない。ラインやメールで済ませる。特に今年は喪中なので更に減るだろう。そしてラスト三日で大掃除。小さな家だがそれなりに面倒だった。

いささか疲れるその三日間。何故か大晦日に買い物に行くのが好きなのだ。あらかたものは買っているのだが買い残しでもないか?いやあの雰囲気を味わいたいのだ。

お節料理が美味しいと持ったことはなかったがここ数年、三日間かけてお重の中に残ったものを突くのは酒の肴としては悪くない、と思うようになった。栗きんとんや伊達巻あたりは苦手だが煮しめ、田作り、数の子などがあれば朝から冷や酒がいくらでも飲めてしまいそうに思える。また普段は百円台で手に入るかまぼこも十倍近くするのだがやはり質が違うのか美味しい。しかしそんな怠惰を戒めるかのようにがんじがらめの用事が準備されている。初詣、実家訪問、期せずに来た年賀状への対応、人によっては駅伝応援、などだろう。のどかさも許されない定例行事、それも年末年始の風景だろう。

さてスーパーの「呼び込み君」の努力も虚しく我が家は特売らしい寒ブリ切り身の引力圏を脱した。しかし彼は縁の下の力持ち。今度は冷蔵だなの上から攻撃してきた。軍門にくだらなければこの店を出られぬように思えたし彼の努力に報わなくてはならぬと思う。おすすめ通りお刺身盛り合わせを籠に入れたのだった。最後の一台は寒風ふきすさぶ店外でホカロンを宣伝していた。効果ありだろう。しかしこれは何とかスルーした。

晦日まであと一週間。何とか財布の紐を締め呼び込みくんの攻撃に耐えねばならぬ。そう、僕はとても楽しんでいるのだった。年末の年始の慌ただしさは独特で、元旦になり始めて目を合わすご近所さんとは丁寧に腰を折る。しかし近年高齢者施設に通われているお隣さんにはもうすこし楽なご挨拶も必要だろう。そう考えるとこの季節は悪くない。呼び込み君が季節感をくれる。今年は罠にかからないぞ、貴方なしでも良い年にしちゃる、と思うのだった。

なかなか可愛い呼び込み君。気づかずうちに彼の魔術にかかってしまう。

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