日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

二つのカレー

「今夜はカレーよ」。「リンゴと蜂蜜、トローリ溶けてる」

カレーを巡ってのテレビコマーシャルは多くが記憶に残る。カレーはラーメンと並び日本人の国民食と言われている。成人してからは何故か自分は余りカレーが好きではなかった。あれ一皿にせいぜいサラダで、はい夕食です、となる呆気なさ、それに数分で食べきってしまう手短さ。夕食とは楽しいもので時間をかけたい、そんな思いと対極に位置しているように感じたのだろう。やはり夕食は一汁二菜は欲しいし、食べながら食卓を囲んでの会話をしたい所だった。

そんな自分も、出張先の英国で食べたインド料理は好きになった。あっさり食べ終わってしまうカレーライスとは違い。サイドメニューもありゆっくりと食事ができる。インド風カレーは日本で味わう事も出来る。ネパール人がやっている「インネパ」料理店なら様々なところで見かける。何処も自分にはとても美味しい。最近になってスープカレーの人気を知ったがそれも一気にいただくという料理とは違うように思う。スープと名がついているようにソースに含まれる小麦粉の量が違うのだろうか、食事を楽しむ中の一皿という位置づけだと感じた。

インネパ風やスープカレー、自宅で何回も作ってきた。前者はやはり難しい。スパイスの扱いは容易ではない。後者は顆粒コンソメを使えば割と簡単に「それらしく」なった。最近は後者をよく作る。もう少し具はザクザクと大きく切ろう、と、いつも思う。

地域の方の交流センターを兼ねている自分のパート職場では様々な催しがされている。地元ボランティアによる「カレーの日」もそれだった。良い香りが厨房から漂ってくる。たまらずに行ってみるとボランティアさん6名でカレーを作っていて、もう煮込み段階だった。大鍋にたっぷり盛られたカレーには多くの具が顔を出しているのだった。顔見知りのボランティアさんから一皿どうですか?と誘われた。乗らない手はなかった。

これは自分が上で書いた「これ一皿で夕食になってしまう呆気なさ」のカレーではあったが昔から食べてきた懐かしいものだった。とても美味しく二杯目を頂いてしまった。25人から30人分。カレーの箱のレシピを人数分に増やして作られたという。やれクミンだ、カルダモンだ、コリアンダーだ、ガラムマサラだ、という世界とは別の料理がこれほど美味しいのは理由があった。

地元の人に美味しいものを安く食べてもらおう、というボランティアさんの心意気だった。具を切り煮込むだけの料理だが「ワッセ、ワッセ」と皆で作る楽しさもそこに込められている。思いと楽しさが溶け込んでいるのだから美味しいに決まっていた。

二つのカレーがある。あの手のカレーはどうも好きでないとほざいて、スパイスを買い込んで作ったインネパ風やスープカレー風の自作カレー。エプロン姿のご近所のおばさま方がわいわいと作ってくださったカレー。前者は自分と妻の為の料理。後者は町全体の人への料理。込められた思いはどちらが重いのだろう。

二つのカレー、あなたはどちらが好きだろう? 僕はどちらも美味しいと答えるだろう。料理はいつも人に幸せをくれるのだから。

時々作るスープカレー。玉ねぎを各種スパイスで炒める。具材は大振りに切っているつもりでも小さい。コンソメとトマト水煮缶、少なめのカレールーの味付け。茄子とピーマンは別にじっくり焼いて上にトッピングするだけとした。まだまだ改善の余地がある。

こちらはやはり王道なのだろう。ボランティアさんの思いがこもっているから。美味しく二皿頂いた。

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