日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

履きつぶしましたね

靴もいい加減歩くとソールが減ってくる。自分はどうも右足外側踵側が早く減る。歩く癖だろう。ビジネスシューズでも良いものだったら踵部分の張替が出来る。スニーカーは履きつぶしたら終わりだ。ナイロン軽登山靴などはペロリとソールがはがれる。登山の最中にソールが剝がれて大慌て。かつて三度か四度あった。いずれも日帰りの山だった。手持ちの細引きをぐるぐる巻いてしのいだ。突然来るから困りものだった。ペラペラのソール部分の張替は出来そうで出来ない。メーカーによって多種多様なデザインだった。一方ノルウェイジャン製法やステッチダウン製法でつくられた手作りの皮の登山靴はソールは何度も張替えが効く。ビブラムソールの形はある程度決まっているのだろう。

靴ではないが、先日三度目の張替をした。それはノルディック・ポールだった。このポールは決して高齢者の歩行補助用ではなくノルディックウォーキングというスポーツの為のポールだ。その先端部分のゴムが減ってしまいポールの先端のジュラルミンが地面に触れるようになってしまったのだった。

ノルディックウォーキングはクロスカントリースキーの動きのようにポールを使う。スキーではなく運動靴で良いのだが、手で推進力をつけるさまは確かにクロスカントリースキーに近い。普通のウォーキングよりも運動効率が高い。このスポーツを知ったのはドイツに住んでいる頃だった。自宅裏手のライン川の土手には豊かな森があり、市民がその中をこのポールを手にして軽快に歩いているのだった。当時オーストリアインスブルックからドイツ・デュッセルドルフ迄鉄道旅行をしたが、バイエルン南部のガルミッシュ・パルテンキルヒェンあたりで列車に並走する様に雪の森の中を疾駆しているクロスカントリースキーヤ―を見て「さすがノルディックスポーツの国だな。やはり森の民だ」と思ったのだった。ドイツやオーストリア、ノルディック諸国はクロスカントリースキーの強豪だ。こうして市民レベルに浸透しているからだろう。

さっそく自分も近所のスーパーでポールを買った。ポールを手にして歩くライン川の土手は新しい風景に見えた。その後住んだフランスでも帰国した日本でも地道に続けている。もっとも最近はスポーツ要素は減り、どちらかというと転倒防止と、わずかな効率向上が狙いとなった。ポールのソールがみるみる減って来たのは日本に帰ってきてからだった。舗装されていない場所、森。それは自宅の近隣にはなく仕方なく自宅からは舗装路を歩くのだった。森を歩くように設計されているのだからゴム底の減りは早かった。このポール専用のゴム先は売っていないが登山用ポールが一般化してきたのでそれ用のものを再び買った。

カッターナイフで先端についているゴムを切り離してそこに新しいゴム底に合成ゴム系の接着剤を塗り、被せるだけだった。出来た、これでしばらくジュラルミンのカラカラという不快な音から解放される。

すり減ったポールのゴム底はまた新しくなった。かれこれ十数年使っている。20~30ユーロ程度で買った安物だがまあ少しは自分の健康維持に役に立っているだろう。出来る限り舗装路でないところで使おうと思う。そこは一体どこだろう。まぁいい。「履きつぶしましたね」とポールに話しかけた。いったい何歩だったのだろう。履きつぶした分だけ健康に近づいたと思う。「次もすり減ったら交換するからな」と思う。

張り替えたポールの底。丸くて真新しい。しばらくはこの底がお友達だ。

 

今では彼と同じ速度で歩いている。とても森の民にはなれない。

shirane3193.hatenablog.com

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