日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

胸躍る山の計画づくり

友人とファミリーレストランスに詰める。別に食事をするわけでもない。目的は山の計画作りだった。少し長い連休がくる。この時期は例年山スキーと相場は決まっていた。

山スキーとはスキーを用いた登山だ。登る山にたまたまスキーリフトがかかっているならばそれを利用することもあるが山スキーヤーは基本は山麓からスキーを履いて山頂まで登山する。スキーを履いての登山とはなんだか大変そうに思えるがスキーの滑走面には滑り止め(シール)を貼りビンディングは踵があがりプラブーツは曲がるのだから特段世話が焼けるわけもない。登り方は基本「すり足」なのでスキーのトップが雪に埋まらない限り特に重いとは感じない。スノーシューやワカン、ツボ足のように一歩一歩足を持ち上げる必要もない。山頂でシールを剥がすと滑降だ。ダケカンバやオオシラビソ、ブナの林を好きなように縫う。バックカントリースキー(スキー場のコース外滑降ではない)の醍醐味だ。

さて今年は何処に行こうか。コースガイド集と2万5千分の1地形図を持ち寄り検討に入る。打ち合わせの前におおよその山スキーの山域は決めていた。自分でも行ける五月連休がベストシーズンの山スキーエリアは多い。北から岩木山八甲田山鳥海山、月山、吾妻山、会津駒ケ岳、燧ケ岳、至仏山乗鞍岳・・東北から中部山岳の百名山だけでもこれだけ挙がるし周辺の山を含めば行く先は無限だ。中でも八甲田と鳥海山は良い。八甲田は横の、鳥海は縦のスケールの楽しみ方がある。

地形図まで持ち込んで入念にルートを考えるのは、やはり雪崩や迷い、危険な沢などのリスク回避の為だ。斜面の向きから日照時間までも考えてルートを決めていく。概ね、案は出来た。満足のいく打ち合わせだった。

打ち合わせに基づき自分は装備を考えた。我が身長は165センチだ。今回の山はブッシュを滑る事はない。藪くぐりをもスキーでするような例年の山ならば140センチのショートスキーの出番だが今度は大きなターンが楽しめる山だ。160センチの板か172センチの板か迷う。172センチ板はメーカーの手により滑走面はウロコ加工がされていた。今回は元はゲレンデ板の160センチの板を選んだ。キャンバーが弱く滑りやすい。この板も自分の全ての板がそうであるように滑走面には回転砥石をつけたドリルでウロコを刻んでいた。バックカントリーでの機動性を高めるためだ。このウロコ加工は年末に施したばかりで今回のデビューで自作のウロコがどこまで実戦向きかにも興味があった。

今回は更にビンディングの換装を行った。一昔前のテレマークスキービンディングはスプリングで押さえつけ固定するのか、ブーツ先端の三つの穴を挟み込んで固定するのに限られる。いずれもゲレンデスキーやアルペン山スキーのように転倒して外れるようなセイフティもない。踵を固定しないのだからこれまでの経験上、転倒しても怪我するまで足にテンションもかからない。いずれにせよ非常に原始的な道具だがそれが魅力だ。踵がいつも浮いているので登高・歩行・滑走はシームレス。踵を揚げてターンする。テレマークターン、これがなんとも快感で、自分はずっとテレマークスキーの虜だ。いざとなれば慣れ親しんだアルペンターンも出来る。

主にゲレンデ用としていた160センチの板にはケーブルビンディングがついていたが、これを外しより軽量な3ピンに交換した。これだけで左右で800グラムは軽くなる。3ピンはカーブに対する剛性は下がるが軽快さとのオフセットだ。

ついでにスキーのトップにシートラーゲンのための穴を電動ドリルであけた。ルートによってはこの穴にカラビナをかけザイルで我が身と結んで登山になる。スキーをザックのサイドにつけるよりは引っ張るほうがずっと楽だ。

自作のウロコ板とシートラーゲン用の穴開け、軽量ビンディングへの換装。準備は万端だった。160センチ板で一本1.8キロ。これまでの主力140センチ板よりは0.4キロ重くなったが、回転は安定するだろう。

今回は雪上テントで数日過ごす予定だ。フライシートを雪上にペグダウンするためには少し細工が必要だった。準備は入念に。あるものは宅急便で北国のレンタカー屋に送らなくてはいけない。もう何度かの事前打ち合わせが必要になりそうだ。これまで通りに山の計画づくりは胸が躍る。病の後でもこうしてスケールの大きな山を計画できるとはまこと嬉しい。あと何年こんな楽しい時間を持てるのだろう。細く長く楽しめると思いたい。

従来のケーブルビンディング(右、ロッテフェラー赤チリ)から3ピン(左、ロッテフェラース―パーテレマーク)に換装するだけで一本400グラムの軽量化。滑りの剛性と軽快さ、いずれを取るか。

スキーのトップにはドリルで穴をあけリーマーで整える。ここにカラビナを通してザイルで引っ張り上げる事になるがスキーの重さを感じないので楽な方式だ。20分の工作だった。

山スキーのガイド本は何時しか増えてきた。仲間は仲間で違う本を持参し山の特定、ルートの検討をしていく。情報ソースは多いに越したことはない。

 

shirane3193.hatenablog.com

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