日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

ウロコがあると快適だな。無ければつければ良いんだな・・。

といっても魚になったことはないのでウロコの本来の必要性はわかりません。体の保護、海水と体との間の浸透圧調整、泳ぎの抵抗緩和、色々魚にとっても役に立っているのでしょう。

ここで言うウロコは、それではなく「ウロコ状の滑り止め」です。スキー板滑走面に施した滑り止め。順方向に滑り、逆方向は雪を嚙む。「シール」と役目は同じですがこちらは板そのものに加工します。「シール」ほどの登坂能力はありませんが緩いアップダウンはこなせます。山スキーヤーの間では「ウロコ板」「ステップソール板」などと呼ばれています。

ウロコ板は余り市販品は多くありません。ワンデリングの為のクロスカントリースキーは多くがウロコ板ですが、滑走も視野に入れた板でウロコ板は稀です。実際にウロコ板は滑ってみると下りで「抵抗」を感じて純粋に滑走を楽しむとしたら不要、むしろ邪魔です。登るときは「シール」を貼ればよいので、やや中途半端なのでしょうか。しかしピークハントとワンデリングを主体とする自分にはとても目的にフィットする板です。等高線の間隔が広く谷と尾根が続くような箇所はいちいちシールを貼るわけでもなくウロコ板は簡単に踏破してくれるのです。ビンディングを歩行モードと滑走モードで切り替える必要のないテレマークスキーには特に良くフィットする板だと思います。

山スキーの入門は175センチほどのクロカンの用途に近いウロコ板でした。そしてすぐにテレマークの滑りをきちんと体得すべく手に入れた板は山スキーでも扱いやすいゲレンデ板、としてガイド本にも紹介されていたものです。その後ステップソール板も新たに手に入れてその快適さに感動し、更に友人のショートスキーの藪山での「高い戦闘力」に影響を受けリサイクル店で入手した140センチのスキー板も入手。これに自分でステップ加工をしたのです。自作のステップソールは見てくれも悪いですが、走破性能はなかなかで市販品と大差なく感じます。

そこで、最後に「買ったままの姿」で残っていたゲレンデ板にもステップ加工をすることにしました。本格的な山スキーシーズンインを迎えるし、寒気も緩み外で作業する気になりました。

● 準備
・ウロコを掘る区間は「キックゾーン」。板の中央です。実際に加工する箇所はメーカー品のウロコ板を参考に比率で求めました。160センチの今回の板はトップから50センチは未加工。真ん中の60センチにウロコ加工。テールの50センチは未加工としました。ウロコを掘る部分の開始点と終了点をマーカーで印をつけました。
・自分はビットの大きさから一列5個のウロコとしました。
・列間距離は前回は印をつけましたが、約1センチ程度の間隔として感覚で掘っていく事にしました。どうせ不器用なので、綺麗に作ることは初めから放棄です。前例があるので、それにならうのです。

● 加工
・道具:必要なのは電動ドリル。刃は穴をあけるためのモノではなく棒状の「やすりビット」に換装します。これはホームセンターで数百円で入手できます。自分が使っているのは直径25㎜のビットです。
・あとは「やすりビット」がついた電動ドリルを持ち、雪を嚙む方向でウロコを「掘る」だけです。段差が逆目になるようにビットの歯をあてます。板のテール方向から斜めにビットをあてるだけです。
・ワークベンチなどに板をしっかり固定しないとビットの回転につられ板が暴れます。

● 仕上げ
・バリがかなり出ますので、カッターナイフで個々に削り取ります。
・やすり掛け。鉄のやすりを粗目、細目でかけてから紙やすりもあてました。
・ついでにエッジの錆も紙やすりで落としておきます。

加工時間は2本ペアで1時間もあればおしまいです。自分の場合ウロコの列間は「感覚」でやりましたが、その結果、右板51列。左板50列になりました。さすがに不均等は不愉快なので左板にもう一列の加工を追加しました。いずれにせよ左右併せて510カ所にビットをあて、バリを取り、やすりをかけたことになります。モノズキというか、暇人というか・・・。真昼間から電動ドリルの音で少し近所迷惑でありました。

さて新生したこの板のデビューは何処の山にするか・・・。ウロコがあると快適です、「無いからつけた」のです。ウロコ板で「水を得た魚」のようにスイスイ・チョロチョロと雪原を雪山を動きまわるのです。考えるのも楽しみです。

f:id:Gonta7LKF3:20220227214655j:plain

電動ドリルに「やすりビット」を装着。カッターナイフとやすり、ワークベンチ、それに500カ所以上掘る忍耐力(というか暇)があれば出来ます。右に立てかけてある市販のウロコ板(Fischerバウンドレスクラウン)を参考にウロコ位置を決めました。

f:id:Gonta7LKF3:20220227214700j:plain

左右併せて510カ所の「ウロコ掘り」。やっている自分もつくづく呆れます。