日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

楽爪苦髪?シーズー犬カット

もう10年、彼と過ごしている。目を盗んで禁断の食べ物を食べてしまう、腎臓に石が出来る、捻挫してしまう。色々あるが目下健康そのものだ。

ある年から犬の年齢を人間のそれに換算することは止めてしまった。あまり楽しい計算でもない。まぁしかし概ね自分と同年代なのは事実で、これからは一年一年自分と等しく歳を重ねる、そう勝手に決めている。

食いしん坊を除けば、吠えない、毛が抜けない。大人しい。手のかからない犬のほうだろう。毛が抜けない代わりに、このワンコは毛が伸びる。放っておくと毛むくじゃらになる。カット代も馬鹿にはならない。一回6000円はかかる。自分の6回分だ。

そこでもうずっとトリマーさんには3、4カ月に一回と決めている。あとは下手くそながら自分がバリカンと鋏を持っている。間違えて出血をさせてしまったこともある。安い鋏だからうまく切れずに焦ったのだった。バリカンは一本ダメにして、今は少し高いプロ用と言うものを使っている。どうも最近切れ味が落ちている。トリミング台は玄関に椅子と洗濯籠を裏返しにして代用だ。彼は観念してここに乗ると大人しい。

トリマーさんにカットのコツを聞くのは気が引けるが、色々教わっている。最近はバリカンよりも鋏を使う事が増えた。

一番気をつかうのが、目の周りと、生殖器。低い鼻は菊の花のように毛が四方へ伸びる。目にかかるのが厄介でこれを切るのだが、なにせシーズーの目玉は少女漫画の主人公よりも大きくてつぶらだ。気合を入れて息を止めてカットをする。アイパッチのように目を手で覆ってからやるようにしたら気が楽になった。生殖器の毛は間違って御本体を切らないか常に不安で、度の強い老眼鏡を使い毛を引っ張ってそろりそろり。

ほぼ毎月。年間10回程度のカットを10年やって来たことになる。まずは無事故だった。素人仕事でみすぼらしいまま。しかし耳を短くしたり伸ばしたりと自由にできる。やはり一番嬉しい事はカットしながら彼のカラダをくまなく触る事。皮膚の調子、体の張り。色々なことがわかる。仕上げに毛を落としてシャンプー。一緒に入浴するそこは草津か別府が登別。そんな表情を浮かべる。これが見たくて、カットを続けているのかもしれない。

トリマーさんにより整えられた容姿は完璧に消えて、別の犬種になっている。楽爪苦髪。楽していると爪が良く伸び苦労していると髪の毛がの良く伸びる? 彼はどちらも順調に伸びる。言葉通りならば彼なりに楽して苦労しているのだろう。何か不自由があれば、言ってほしい。

さてそろそろ、いつものトリマーさんに来ていただこう。実は知っている。彼はトリマーさんのお迎えの車が来ると尻尾を振って乗り込むことを。やはりあなたも、綺麗になりたいのね。

みすぼらしくなる前に、カットしますよ…

次回はまた迎えに来てもらおう。尻尾振りすぎて、飛ばさぬようにな。