私の「とある」サイクリング計画実現に向けての第三弾。自転車による自宅からの自転車軌跡一筆書き、その軌跡を西に伸ばそうという計画で前回の軌跡を引き継ぎついに甲府盆地を視野に入れることが出来ました。
前回の終点である上野原駅が今度は始点。ここでランドナーを輪行袋に入れて、下り「松本行」の客となります。笹子駅でおりて、ランドナーを組み立てて上野原駅に戻るだけですので訳ありません。今日は楽をさせてもらいました。
この道は思い出が深いのです。
甲州街道を西に向け250㏄のバイクで初めて通ったのは19歳だったと思います。
親のいる富山市に帰省するのに、バイクで、アパートのあった座間市からから相模湖を抜けて甲州街道をひたすらたどり、松本から安房峠(当時は旧道のみ)経由で岐阜に抜けて、神通川に沿って富山に下りた。あれが本格的な長いツーリングだったのでした。
相模原あたりから笹子峠まで雨でブーツもグローブもびしゃびしゃ。ラーメン合羽だったから体も寒かったのです。だけど笹子トンネルを抜けると甲府盆地は嘘のような晴れで、僕の心も軽くなったと、よく覚えています。走りながらみるみる濡れたものも乾いたのです。
今思えばあれが自分にとって何かのきっかけになったと思うのです。あれがなければ今の自分は違っていたかもしれません。
今甲州街道自体はその後バイクでも車でも幾度となく走っていますが、今日はそのかつてびしゃびしゃになった道を逆に向けて、これ以上は文句のつけようのない秋空の下を走ったのです。
これで僕はもう甲州街道の、笹子峠東側にこだわることも無いだろう、そう思うのです。そう思うまでが、長い時間の旅だったと思うのです。
笹子峠は21年前に歩いて超えて初鹿野駅(今は甲斐大和駅)まで繋いでいます。つまり、今自宅で足を延ばしたならば、自転車という人力装置を使ってですが、自宅の布団の先から甲府盆地の端まで自分で作った軌跡がつながっているというのは痛快な事です。北は宇都宮までつながっています。
なんだか楽しくて仕方がないのです。
19歳の時と全く変わっていない自分。何をしていたんだろう、と問うても答えはないのです。ただ、好きなことをしていたと。甲府盆地を視野に捉えた今も、まだ続けるのだろうと。
写真
●秋の暖かい陽を受ける笹子駅に、軽いタイフォンとともに松本行鈍行が西へ去っていった。
●有名な酒造メーカー。立ち寄ることもなく東進する
●初狩は好きな駅。しかし寂れ行くスイッチバックの大きな構内に時の流れを感じたのだった。
●扇山に百倉山。関東の岳人にはお馴染みの風景をランドナーで切りとって走った
(2021年11月12日・走行)