日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

豊作ゆえに

庭に作った家庭菜園。わずか八平米という狭いものだが、そんな畑が出来たのはちょうど一年前辺りだった。庭木を植えるために造園屋さんが小さなユンボで敷地の奥に入ってきた。ユンボはまずはこちらが注文していたブナの樹を二本、そしてコナラの樹を一本を植える場所に穴を掘った。根包みは大きなもので直径一メートル程度だろうか。各々を穴に入れてから四周に堰堤状の土盛りを作りそこに沢山の水を入れた。あたかもそれは樹が根っこごとプールに浸かったような状態だった。

次のユンボの仕事は家の前に2x4メートルの長方形を掘る事だった。深さは約五十センチ、いや一メートルほど掘ったのだろうか。そこにしこたま培養土を入れてくれた。これが我が家の畑だった。葉物野菜を中心に植えた。冬にはキャベツと白菜、チンゲンサイが収穫できた。鍋物に、炒め物にと食卓を彩った。ミニトマトとバジルも出来た。これらはパスタに使う。無農薬の採れたて野菜。美味しいものだった。

庭の樹々は目には見えないけれどゆっくりと成長している。ブナとナラの樹、とりわけブナが大好きな自分はそんな樹に名前を付けて呼んでいる。ブナタロウの樹皮の紋様はブナらしく美しいし、ブナジロウは二回りほど背が伸びたように思う。兄貴格のナラニイはますます東へ枝を伸ばしている。畑ばかりは季節が終わると一旦冬じまいとなり、雪の下に埋まってしまった。春を迎え畑に鍬を入れて肥料を加えた。鶏糞、有機石灰、色々入れて混ぜたのだった。キュウリ、ナス、ピーマン、インゲン・・・。続々と実がなってきた。茄子とキュウリが特に豊作だった。キュウリなど一日に二、三本は収穫する。まだまだ人差し指サイズのものから小指サイズのものが膨らんでいる。下手を分けて鋏で切る。収穫物は、二人しかいない我が家には充分すぎた。

サラダ、ヌカ漬け、キムチ、浅漬け・・そんな風にして使っているけれどなかなかキュウリが減らない。良い方法はないかと考え、炒め物にしてみた。ゴーヤーやズッキーニの炒め物もあるのだから、やってみよう。そんな所だ。

乱切りのキュウリ、インゲンにピーマン。すべてが自家製。唐辛子だけはまだ実がつかないので市販品を。蛋白質にはシーフードミックスにご登場願った。これらを炒めて、醤油・酒・みりん・僅かのオイスターソースで炒めた野菜類はほぼ我が家の庭から。瑞々しくて美味いのだった。

豊作ゆえに炒め物になってしまったが、キュウリの味を十分に引き出したと思う。充分ではないか。また炒めるだろう。いや、どこかで今年の収穫は終わってしまうからそれまで沢山楽しめる。また違う食べ方が生まれるかもしれない。

七月の後半戦。陽が落ちると気温は二十五度を下回る高原は虫の音に包まれる。そんななか湯上りの自分は冷えた缶ビールを手にしてデッキの椅子に座り、樹々の成長を見て畑の実りを見ている。今年は異常気象がひどく農家さんは大弱りとも報じられているが、目下我が家は豊作だ。ありがたい。