日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

パタカラ体操

職場の二階は高齢者デイサービス施設だがそこに「パタカラ体操」と書かれたポスターがある。職員の手作りだがお爺さんとお婆さんが並んで大きく口を開けてパ・タ・カ・ラと言っている絵が描かれている。なかなかに可愛い昭和のご老人のイラストだった。入れ歯が外れぬか心配だった。

さて一体何の体操なのかは自分で口を大きく開いてパ・タ・カ・ラと動かすとすぐにわかる。腹筋トレーニング?ちょっと違う。顎が外れるまでの勢いで口を開けると何故か目もその都度見開かれるのだから人間の顔をというのは不思議に連係プレーが出来ているな、と妙に感心するのだった。

だんだんと、いや毎日自分は感じている。それは9.8メートル/秒二乗の速度、そう重力加速度的に劣化している。恐ろしい速さだが、どこかで緩まないかと願っている。老化だろうか?歯磨き・いや最近の用語では口腔ケア、それが下手なのか不足しているのだろうか? 

さしすせそ・たちつてと・らりるれろ、それを早く繰り返すことなど日常生活ではないが、引っかからずにはいられない。昔はどうだったのか覚えていない。そんな事を気にかけたことなど無かった。

家庭で、仕事先で、友人とのつどいで、そして買い物などで。日常会話をしていて、いつからこんなに喋りが悪くなったのだろうと思う。何かに引っかかるような話し方だ。滑舌という単語を知ったのは数年前だろう。我ながら気にかかる。相手に不快感を与えぬかと。また、英会話力を維持したく自分の日常的な独り言や書いたブログを声を出し英語で言い換えたりする。現場を離れて久しい為単語も出ずに文法も崩壊しているがそれ以前にまず舌が回らない。街で困っている外国人をみると英語で「お困りですか?」と話しかけてしまうが、昔は無かった返事が来るようになった。「ソーリィ」や「パードン」と。日本語に加え、元から下手くそだった英会話も含め喋る事全般がますます劣化していると自覚せざるをえない。

滑舌劣化の原因はネットで見ればすぐにわかる。成程、加齢により舌や口周りの筋肉が硬化し動きが悪いのか。更にはこうある。加齢により唾液が減少し口の中の潤いが減り舌が動かしにくくなる・・・。「加齢」・「加齢」・「加齢」。「かれい」は犯罪者なのか。しかし「かれい」と入れて漢字変換をすると「華麗」とも出るではないか。

パタカラ体操はそんな時に役立つ。大きく口を開けて口蓋や奥に舌先を付け、また巻き舌にしてしっかり発音する。口周りの筋肉を使う。滑舌改善もあるがさらには加齢につきものの誤嚥の防止にもなるというからありがたい。実際昨年末に、僕はクラッカーを嚙み砕いた粉を誤嚥してしまい大変な目に遭った。ひと月の間咳が止まらずに実に辛かった。もうこの体操のお世話になる時が来たのか、と思った。

この年齢になって思うが、口から空気が抜けてうまくしゃべれないのも困る。そして入れ歯は避けたい。初めて父が入れ歯を入れるのを見て、母が入れ歯を洗浄しているのを見た時はたまげた。あれは困る。そして誤嚥も避けたい。口腔ケアは大切なのだ。

何とか詰まらずに喋りたい。口の健康をも維持したい。誤嚥にもご遠慮願いたい。やはり体操。パ・タ・カ・ラと顔をゆがめて何度も僕は唱える。これからを「加齢」に怯えることなく「華麗」に楽しみたい。

赤紫色の小さな実、ムラサキシキブだろうか。早口で言えるようにしたいところだ。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村