妻のプレイリスト - 日々これ好日

すまないけどこの曲をスマホに入れてくれない？

そう言って紙切れに書いた曲の一覧が手渡された。どれもが自ら好んで聞く曲ではないので手持ちのCDも無かった。結婚した頃妻が買ったCDを引っ張り出した。自分はCDの入れ替わりが激しいので昔の盤で残っているものはよほど気に入ったものだけだった。残りは全てＰＣに入っている。流石に妻の持ち物は捨てるわけにはいかない。ケースの埃を払って取り込んだ。

多くは1980年代の日本のポップスだった。今ではシティポップと言われなんと海外にも注目を浴びていると聞く。アレンジが画一化されて、どれもオーバープロダクションに思うのはそれが当時流行っていた音作りだからだろう。が演奏は当時のそして今も現役で活躍する米ウェストコーストを含む内外の名うてのスタジオミュージシャン達の手によるもの。キャッチーなメロディと隙のない演奏。今でも流行るのもわかるように思う。

テレビドラマの影響もあったのだろう、2000年代のポップスも紙のリストには書かれていた。こちらはますます自分には馴染みのない音楽だった。それらは動画サイトからダウンロードした。

リストの曲はすべてスマホに収めた。妻はそれを編み物などしながら聴いている。せいぜい２０曲だろう。それでは飽きまいか、とも思うが自分には全くストックもないのだった。他にないの？と聞いても特にでてこない。かと言って自分の趣味の押しつけも嫌だった。

リストを増やしたら良いと思うがそれも本人次第だった。人の幸せを他人の尺で測ってはいけないのだろうと思う。彼女もこれからの生活を楽しむのだ。音楽は何時も人に幸せをくれる。するとまたきっといつかプレイリストを更新する日も来るだろう。喜んで揃える。楽しみにしている。