日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

県形のピンバッチ

形だけ出して「はい、この県は何処でしょう」という質問。テレビのクイズ番組で時々出る。子供のころから地図と鉄道が大好きだった自分には簡単な問題だと思うと、あにはからんや、分からない県が多い。海に面している県でも特徴ある半島が在ったりポツンと離れて島が属している県はわかりやすいかもしれない。それ以外はどうだろう。さらに内陸県は?

内陸県は間違えなければ8県。栃木、群馬、埼玉、山梨、長野、岐阜、滋賀、奈良だろう。島国だけあってやはり8割以上が海に面していることを知った。しかし意外に、岐阜、奈良以外は内陸県もわかる。これは山登りやサイクリングでまめに出かけている事と滋賀には琵琶湖があるからだろう。逆に臨海県でも熊本、佐賀、長崎あたりは自分にはお手上げだ。これは九州に行った事が無いことからだろう。

そんな47都道府県のピンバッチが全国住宅地図で有名な出版社から売り出されて人気が出ているという記事が新聞に載っていた。おなじく地理がお好きだという職場の同僚女性と誌面を見て盛り上がった。自分の住んでいた・かかわりのあった県、友人がいる県、何度も行った県はわかるね、と話したのだった。

職場の同僚は大阪府のご出身だった。その形のある個所をこのあたりよ、とすぐに指さした。自分は大阪府の中部や南部、京阪線沿線や南海電車の沿線の市の場所までは憶えていない。神奈川県民としてのほうが今は長いのと言う事だが彼女は新聞に書かれた大阪のピンバッチを懐かしそうに指で辿るのだった。

出生してから基本的に県外に出たことが無い人はどのくらいいるのだろうか。高度成長の頃は誰もが東京を目指したかもしれない。しかし今は物流・商流もボーダーレスでありあえて東京でなくとも生活に事足りるようになった。リモートワークで通勤地獄とは縁が無くなった人もいるだろう。サブカルチャーSNSで発信できる。しかし未だに首都圏一極集中の構図は変わらない。このピンバッチの上に仮に人口に応じたおもりを付けたらどうなるだろうか、と例によって馬鹿馬鹿しい空想が浮かんだ。間違えなく、東京都と神奈川県はまず先に沈んでしまうだろう。中京圏京阪神圏には住んだことが無いので実感が無いが、きっと続いてブクブクと沈むに違いない。

その重さは便利さの意味かもしれない。便利なところには人が集まる。人が多いから便利になる。アメリカの上空を夜間飛行する飛行機に乗って下界を見ると、真っ暗な闇がずっと続いて不安になる。オレンジ色の街が時折眼下にポツンと出てくるとホッとする。あそこにも生活があるのか、と思う。不思議な事に、不便だろうなとは思わず、むしろ空気も綺麗できっと住みやすいのだろうな、という安堵感につながるのだった。

県の形のピンバッチ。自分が自然に手が伸びるのはまずは香川、神奈川。つづいて広島、富山、山梨、静岡、長野、栃木あたりだろうか。生まれた県・一番長く住んでいる県。住んだことがある県、ゆかりがある県、馴染みがあり好きな県ということだ。

これからの人生を実りあるものにするのなら、やはり重量の軽いピンバッチがよいな、と思う。狭い日本ではよほどの山間部や離島でもない限り都会のような利便性を求めなければ差は無いだろう。せかせかした生活、渋滞の待つ生活はストレスをくれるだけだ。先を考えると、さて、何処のバッチを自分は手に取るだろうか。

47都道府県のピンバッチ。市区町村界まで書かれているという。自分は何処を手にしようかと悩む。(日刊スポーツ2023年5月20日記事より)

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