日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

600円の後悔

山歩きはなかなかハードな運動で、行動中に水分摂取が少ないと足がつるし、空腹もある程度を過ぎるとハンガーノックをおこしてして急に動けなくなる。だから自分は山歩きに関しては一日三食というパターンをいつしか止めて、塩分タブレットと水分補給は随時、そして食料も行動食を50分おきの休憩の際に小分けにして食べるようにしている。その50分おきも時にはより小刻みになる。若い頃は馬力で一切気にせずに一気に歩いていた。しかし最近は足がつるし力が萎える事も増えてきた。こうして水分・栄養分補給パターンを変えると幾分、良いようだ。

日帰りの山は総菜パンやサンドイッチ、それに大福、饅頭。その程度が行動食に向いている。おにぎりは寒い季節になるとザックから取り出してもご飯に含まれる水分が冷え切り、時に凍り付き、これっぽちも美味しくなくなり体も冷える。登山には不向きなようだ。

コンビニがあまねく広がったおかげで、その日の山の行動食は行程中のコンビニで調達をする。だいたい、前夜の検収かもしれぬが朝8時前には新しい食材が入荷されている。電車であっても自家用車であっても何時もコンビニで食料を調達し、トイレを借りてから登山口に向かう。さて、登山口で靴ひもを締めて、ザックを背負おうとして気がついた。1時間近く前にコンビニで買った行動食一式をその店のトイレに忘れて来たのだった。幸いに水分と塩分タブレットは前夜にザックに入れておいていたが、行動食なしでは登り三時間半、下り二時間半、標高差900mの行程には耐えられない。

谷の奥に分け入った林道で途方に暮れた。最寄りのコンビニに戻るしかなかった。まずは林道をUターンした。往復すれば1時間では済まないだろう。少しタイトな時間だし、最近の自分はコースタイムより早くは行動できないので下山時の不安から山頂の滞在時間をミニマムにしたい口だ。山頂でのアマチュア無線運用は自分の山歩きの楽しみの一つだが、それを行っても山頂総滞在時間は15分から30分と決めている。それ以上の長居はイライラするだけた。

そうやって時間を短縮したとしても、これからの食料調達を終えて戻ると、今日の目的の山は時間切れだった。楽しみにしていたが、何よりも同行の友人に申し訳なかった。登るのだ、というやる気も萎えてしまった。急遽登る山を変えた。幸いに友も自分も山のインデックスは豊富で、頭の中の目次から行きたい山を引っ張り出すだけだった。 代替の山はそれなりに楽しかった。海抜は三分の一以下になってしまったが、自然林、適度な岩場、展望、一等三角点、と抑えるべきところが抑えられていた。

下山して、忘れてしまった行動食を取りにくだんのコンビニに戻った。ご利用者さんがトイレの袋に気づいて、レジに返してくれていた。レジでは中身を見て、中のサンドイッチは冷蔵庫に保存されていた。トイレでの親切な対応をされた見知らぬ方と、コンビニの丁寧な気配りが嬉しかった。しかし僅か600円の品だった。それで今日一日は大きく変わってしまった。

レジ袋に入った商品は目の前にある。わずか600円の後悔だった。しかし人の温かさも教えてくれた。ありがたい出費だったと思うようにしよう。あとは、忘れ物をしない習慣づけだ。しかしこれからの年齢、実はこれが一番の難敵だと思っている。

忘れ物は見つけられ、サンドイッチは冷蔵庫で保管されていた。ありがたい。しかしこれを忘れて今日の行程は変わってしまった。再発防止が一番の敵かもしれない。

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