日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

追加の皿・ワカモレとチキンファヒータ

近所に何故かメキシコ料理店がある。そこは色々なテナントが出たり入ったりしていた。無理もない、高齢者が多い住宅地の交差点。駐車場もなく近所の高校生で登下校時は狭い道が鈴なりになる。レストランとしてはなかなか定着しない場だろう。

メキシコ料理店の開店は2年ほど前だっただろうか。ああ、またここに出店か、続くかな。と思っていた。店先でテイクアウトメニューを配っていたので店内に足を入れてみると張りのある明るい声で迎えてくれた。若い女性二人で回している店だった。メニューは本格的だった。店の雰囲気も落ち着いていた。今度家内と行ってみるか。散歩がてらに。

メキシコ料理に初めて触れたのは出張先のテキサス・ダラスだった。それはアメリカナイズされた料理で、メキシカンではなくテックス・メックスと名乗っていた。テキサス風メキシコ料理だった。本場とは異なるのかもしれないがテックス・メックスはとても美味かった。真っ青な空、ドライな空気。オースティンあたりのFM局からはブルースギターが流れてくる。そこでライムを沈めたコロナビールを瓶のままぐいっと飲み、頂くスパイシーな料理は最高だった。その後アメリカに行くと必ず食べた。西海岸のシリコンバレーには数多のテックスメックス店があった。お気に入りもすぐに出来た。仕事なのかテックス・メックスが楽しみなのかよくわからなかった。エンチラーダ、チリコンカン、ブリトーワカモレ、タコス。豆と挽肉、唐辛子。レタス、アボガド、トマト・・・。顔なじみの食材なのに目新しく美味しいのはやはりスパイスなのだろう。それにトルティーヤの食感もなんとも新鮮だった。

開店して日浅なくだんのメキシコ料理店のドアに、つい先日「月末で閉店します」の張り紙を見たのだった。やはりここでは無理なのか…。メキシコ料理に挑戦しようという世代もそう住んでいないし…。営業最終日に家内がテイクアウトを買いに出かけた。何と大盛況で、テイクアウト含め1時間近く待ったという。閉店の理由は、「これから海外に出ていろいろ料理を知りたいと思う。そしていつかここで「多国籍料理店」を開きたい」と書かれていたそうだ。

その夜、近所のメキシカンを初めて食べた。家内はエンチラーダとブリトーを選んだようだった。懐かしのテックスメックスと変わらない味は、真面目な料理でとても美味しかった。お店で食べたかった。二品では不足ではないか、と自作で二皿追加したのだ。メキシカンに欠かせないのは色合い的に黄緑色のワカモレか。それにやはりグリル料理が欲しい。エンチラーダ。この二皿を作った。実はチリコンカンが一番好きなのだが少し手間がかかる。ワインは安いチリのロゼをあわせた。冷やしたそれはとても良く似合った。

追加の二皿が無くとも彼女たちの料理で十分だった。丁寧に巻かれたブリトーの中からは溶けたチーズに肉・野菜がたくさん詰まっていたのだ。

余った食材はこれから数日間の「自己流メックス」でたちどころに消費するだろう。次回の「多国籍料理店」はどうなるのだろう。あの二人の女性は様々な国の料理のエッセンスを取りいれてフュージョンさせていくのだろう。若さと熱意があった。素晴らしい店になると思う。これからも「自己流メックス」を作るならばあの店の光景が浮かぶことだろう。作り方のコツでも教わればよかった。きっと明るく丁寧に教えてくれた事だろう。

お店から取り寄せた二品。右下ブリトー・トルティーアチップス付き、右上挽肉のエンチラーダ。クリームチーズとライスをここに投入するそうだ。左には手製のチキンファヒータワカモレ。冷やしたロゼがよく似合った。

・チキンファヒータ:サラダ用チキン使用。玉ねぎ、ピーマン千切り。オリーブオイルでを炒めてパプリカ、クミン、チリパウダー、塩。ここまではインドカレーになってしまうが、気楽な事にメキシコ料理用の調合スパイスも入手できる。それを入れて「らしく」なった。トルティーアに載せて頂いた。

ワカモレ: アボガドを剥いて種を取り、クラシュしたもの。レモン汁をかけるだけの手抜き皿だ。