日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

北杜市の名物焼きそば

つい数週間前に栃木県栃木市のジャガイモの入った焼きそばと衝撃の出会いをしてからは、自作の昼食では焼きのそばのヘビーローテです。今回、また新たな衝撃に出会いました。

山梨県北杜市に住むトランぺット奏者でもある友人が属する吹奏楽団の定期演奏会で同市へ。午後からの演奏会に備えて会場に近い駅(JR中央本線・長坂駅)の老舗・N駒屋にて昼食。 ご主人高齢化による引退・閉店を考えられたという、北杜は長坂の地元に長く愛された店という事です。しかし味を絶やすまいと地元の若い方が場所を変えて近年引き継がれたといいます。家内と二人で看板メニューである「名代やきそば」と「中華そば」を頂きました。「名代やきそば」は焼きそばと言うよりは汁そばに近いです。その点では同じくローカル焼きそばで人気の青森県の「黒石やきそば」に近いかもしれませんが、汁気は少なめです。

美味しいものはすぐに自分でもトライです。待てば海路の日和あり。しかし気の短い自分です。再会のチャンスは待つのではなく、自分で作るわけです。あの料理の再生は出来ないので自己流で「それらしく」作ります。今回も栃木焼きそばと同じく、味のベースを作るこの店のソースも同様に独特なものでとても手に入らない、配合できない、とすぐに白旗です。そこでソースの代わりに麺つゆベースで作ってみます。作り方のプロセスはカウンタ越しに眺めたご主人の所作を出来る限り記憶して、自己流に。しかも、先日の栃木市の焼きそばの具材とエッセンスをも取り入れました。そうそう、フュージョン音楽が好きでした。ならば料理もフュージョンで。もはや、山梨・栃木合体版です。甲斐・下野連合軍の味や、いかに?


・具材と下ごしらえ

- 野菜:キャベツ・もやし、他にしめじ、えのきなどで。栃木のニュアンスはジャガイモ。皮をむいてカットしてから電子レンジで2分程度加温し火を通しやすくします。
- 軽く煮込んだ豚小間切れ:豚小間切れを醤油・酒・みりん・チューブ生姜(少々)、水で軽く煮込みます。この煮汁、使います。肉が固くならぬように煮過ぎには注意です。
- 麺: 太麺の中華生めん
- 調味料: 出汁(3倍濃縮)、酒、みりんを予めボウルに混ぜておきます。味の好みによって配合は異なります。(必要に応じて、水、粉末だし、塩・胡椒も適宜。)

・作ってみよう

-野菜類を強火で一気に炒めます。僅かの塩とうま味調味料を一つまみ。もやしのシャキシャキ感を残します。ラードで炒めると美味しいでしょうが、お腹周りのラードが気になる自分はサラダ油に少しだけごま油を加えます。(ごま油は炒めた後風味付けで少し回す程度)
-肉とその煮汁少々を投入し、フライパンごと弱火で煮る感じです。
-茹で上がり湯切りした中華麺を上記「炒め・茹で肉野菜」の上に蓋をするように被せます。麺はこの後に煮る(蒸す)感じですので、固茹でとしました。また湯でたての麺の「ぬめり」を取り除きたいので真水でぬめりを覗くように洗います。これによって麺も「締まる」ようです。そこに残った煮汁と上記調味料をジャーっと回して、フライパンに蓋をします。この「麺で蓋をする」あたりがN駒屋さん風です。

・盛り付け

-N駒屋さんでは、小さなフライパンを用いて一人前づつ作っていき、そのフライパンからお皿にするりとスライドさせるように盛り付けていました。我が家ではそんな一人用フライパンもありません。又、一回で家内の分も含めて作りますので、普通のフライパンで作りました。もちろん中華鍋もアリです。麺で蓋をした形は残したいので、まずはフライパンの下面から具材を中華お玉で取り出して皿の上に敷きます。麺はその上にサイバシで蓋をするように盛りました。

・賞味

製造工程と材料に於いて、甲斐・下野連合軍が出来上がりました。液体出汁をつかった和風ですから一応、紅ショウガ位かけてみましょうか。

ソースが違うので比較にはなりませんが、この味付けは、これはこれでアリでした。今度はさらさらとしたウスターソースをベースに試してみましょうか。とりあえず、今日の実験は終わりです。審査員からもこれはこれで「グー」!というお許しが出ました。

・感想

改めて感じますが、麺の味がダイレクトに楽しめます。小麦感があるのです。なにせ麺は固茹でして水で締めたものを調味料と肉のだし汁でサウナのように周囲から湯気で煮るだけですから、そうでしょう。そしてそんな麺がしっかりした味付けの具材とともに口に入るのが、好いハーモニーに思えました。栃木流のジャガイモも異なる食感をくれ、とても似合います。

成程、この作り方。さすがに地元の老舗ですね。このカタチとそれをつくるプロセス、充分考えられた料理だと思うのです。もちろん、味付けは最初から異なるし、作り片も見よう見真似。老舗の味とその味を引き継がれた方と同じように行くわけもありません。しかも今のご主人は、出来上がった一皿を味見して、意にそぐわないとそれを潔く「ボツ」として、捨てていらっしゃいました。味への拘り、職人魂を感じたのです。

ランチタイムの「アマチュア職人」、このあたりで許していただきましょう。甲斐・下野之国連合軍は無事に一仕事を終えたようです。満足です。また軌道修正のために、訪問する事でしょう。


余談ですが、N駒屋さん、「中華そば」も大変美味しいです。味も外見も自分の好きな「支那ソバ」フォーマットがそのまま出てきます。幅広くなるように斜めにカットされたナルト巻きも嬉しい所。メンマもチャーシューも好みでした。こういうさりげない味がさらりと出てくると嬉しい限りですね。

追記: 正規の店名は、長坂、やきそば で検索をかけるとすぐに表示されます。

老舗の一皿、見様見真似。味付けも違えば作り方も何となく似せただけです。まぁこれもアリでしょう。本家には軌道修正でこれからも行かなくては、と思うのです。

本家の一皿。改めて見ると焼きそばも汁が多いですね・・。このあたり次回の自作では考えなくてはいけません。中華そばも大変好みの味でした!