日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

駅ソバシリーズ(11)本庄駅 本庄ソバ 

JR高崎線。自分の生活圏ではない。高崎線は、学生時代は転勤で富山に住む両親宅への里帰りの路線。特急「はくさん」の車窓風景。籠原で線路は高架になり西に高く見える浅間山は今でも懐かしい風景だ。横川軽井沢の峠越えも楽しかった。そんな両親も富山に居たのは数年で、横浜に戻った。縁の少ない路線になった。

しかし最近は何かと高崎線に乗ることは多い。友人がいる事もありゴルフに、そして登山やサイクリングにとよく使うようになった。友人の住む本庄駅で下車することも多い。

サイクリングのために久しぶりで本庄で下車。ここで待ち合わせている自転車仲間と朝食。この駅には立ち食いソバがある。そこが目当てだ。この「本庄そば」店は何故か上りホームだけにあるのだが、その店は店の表と裏にカウンターがあり、駅構内を表とするならば裏のカウンターは駅の構外、バス停前だ。ホームで東京方面に行く客と、構外でバスを待つ客が同時に食せる。しかも厨房はオバサマ一人のワンオペレーション。

当然ながら彼女のスキルは磨かれており、時間のはざまを追うホームの客と、少し余裕の構外の客をうまくさばく。しかし登校時間帯になると外の客は高校生ばかりとなる。ホーム上で時計を気にする会社へ向かうサラリーマンと、通学バスを待つ凶暴なほどの空腹集団が相手になる。どちらも難敵だ。もしかしたらこの時間帯は厨房は二人かもしれない。

今日の様な週末ののんびりとした朝は、千手観音のごときであろう厨房のオバサマの手腕を拝見するところまではいかなかった。しかし狭いカウンタに立って食べる、という「せわしない感」が味を増幅してくれたのは毎度の通りだった。

味はいつもの通り。駅ソバのリトマス紙である「かき揚げソバ」(この店では天ぷらそばと呼ばれており、他にゲソ揚げそばというのもある)は、小麦粉多めなのか、他店の様に途中で汁に崩壊して溶出することもない。最後まで「俺はかき揚げだ」という矜持と実態感を維持した。つまり、食べ応えがある。

腹に落ちる朝食となった。これからは群馬県へのサイクリング。まずは県境を越えて、ゆっくりと山岳地帯へ向かう。一杯の麺に幸せ一杯。エネルギーチャージは、満タンだ。

少し暇な土曜の朝。平日の朝ならば千手観音の様に左右の客をさばくであろうオバサマの手腕は見られずに残念。しかし小麦どころ北埼玉のかき揚げは汁に溶けずに最後まで矜持を保った。あっぱれ也!

東京方面のホームから、構外からアクセス可能。小さな店ゆえ「せわしなさ満点」で、それだけでやられてしまう。この店はいざ知らずとも、昭和40年代には地方の駅ソバならばよく見た光景だが丼を持ったまま電車に乗ることが出来たられたらさぞや旅情は増えるだろう。今ではただの迷惑行為だが・・。