まあるいお月さま。明るい月の中でうさぎが餅つきをしているとか。
なぜ餅つき?そんなことを考えたこともなかったが、子供の頃は信じていた。唄もある。「ウサギウサギ、何見て跳ねる?十五夜お月様を見て跳ねる。」
十五夜とは中秋か。九月かもしれない。しかし近年の九月は八月の延長のような陽気で、のんびりと月を愛でるという気持ちにもならない。エアコンも欲しいし、外に居たら蚊に刺されそうだ。今ならそれは秋らしさが味わえるのも十月かもしれない。
そんなここ数日は秋どころか早くも初冬の寒さだ。たまらずに数日前から夜具に毛布を加えた。それでも今朝などは肌寒さと窓を打つ雨音で目が冷めた。昼間など外に出る気もしない。午後からの職場への出勤のためにそうも言ってられない。
加齢で体温調整が衰えたのかとも思い妻にも聞く。娘にも聞く。職場の若い人にも聞いてみる。やはり今日は寒いらしい。良かった、体は正常のようだ。冷たい雨の中雨具をつけて歩くと寒さも和らいだ。体は動かさないといけない。
十五夜に餅をつく。それは実りの秋の産物を美味しく戴くという昔ながらの行いか。いやその前に、実りへの感謝。五穀豊穣への感謝だろう。
実りの季節のお米。どれ僕も今夜はご飯を炊いてみよう。実りの季節だからさぞや美味いに違いない。おかずはおでんにしてみるか。なにせ今夜は芯から冷える。湯気吹く鍋は美味しそうだ。帰りがもう少し遅くなる家内も喜ぶだろう。
篠を突く雨の中、これでは餅をつくウサギどころか中秋の名月すらも見えない。しかし今年もこうして秋がきた。季節が来れば毎年のウサギは心の中にやってくる。今日などは彼らも巣穴にこもって暖を取っているだろう。木の葉を敷いてフカフカかでいかにも暖かそうだ。そこで餅をついて団子にして食べてるのだろう。
月面に餅つくウサギを見るのは来年の楽しみとしよう。来る年がこれからもあるということは、ありがたいことだ。