日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

ランドナーの輪行袋

自転車を列車に載せる。輪行。スポーツサイクルに興味がない方には大変なことに思うのだろうか。しかしバラした自転車を輪行袋に入れて車両の端に固定してしまえば、サイクリストの背中には羽が生え、旅の扉は開かれる。鉄道が未知なる遠い世界迄運んで行ってくれるのだ。週末の車内で大きな袋を抱えて乗ってくるサイクリストを見るたびに、うらやましくて仕方ない。どんな旅をするのだろうか、他人事ながら想像もする。

折り畳み自転車も良いものが出てきたが、ゆったりと長距離を走るのだから自分は26インチ(650A)ランドナーと700Cの80年代のフレンチロードに乗っている。なによりも地面と平行な細身の鉄のホリゾンタルフレームとステム、後ろ出しブレーキワイヤーと言うシルエットに惹かれているのだ。

輪行袋に自転車を入れる手順としては

・前後輪を外す(ブレーキをリリースしクイックを外す)
・外したタイヤをバンドでフレームに固定する
・エンド金具をフロントエンドとテールエンドに嵌める
輪行袋に入れる

こんな手順だろう。

自分の車は泥除けのついたランドナー。袋に入れるには上に加えて泥除けも外さなくてはいけない。しかしランドナーには「フロントフォーク抜き」というワザがある。ハンドルをステムごと外し前輪の着いたままフォークを抜いてしまう。クイルステムに加えて簡単にフォークが抜けるような専用ヘッドを使っているのだ。現在主流のアヘッドステムならこれは出来ない。

「フロントフォーク抜き」のお陰で自分は抜いた前輪のついたままのフォークとハンドルをフレームに固定して袋に入れるだけという輪行スタイルにしている。これにより泥除けも外す必要もなくなった。エンド金具も不要になる。その重量は前後輪で200グラムくらいだろうか。旅先で何かあれば頼れるのは自分だけ。そんな旅する自転車には最低限の荷物は必要だ。予備チューブ、パンクキット、携帯ポンプ、工具、ミシン油。ここで更なる200グラムとは目くじらを立てる重さでもないが持たなくて済む荷物は持ちたくない。旅は身軽が身上だ。荷姿は多少大きくなるが、この輪行スタイルでもメーカー品の袋には「ほぼ」収まる。

これまで使っていた輪行袋は縦型で、パッキングした自転車を若干持ち上げてから袋に入れる必要があった。良いのだがサイクリングを終えた時など、腰にこたえる。縦長になるので肩にかけて歩くのも階段などでは引っかかる。楽な解を探していたら横置きのまま上から被せるだけの輪行袋モンベルから製品化されていた。同じコンセプトの輪行袋を持っていたがそれは後輪も外さなくてはいけなかった。

メルカリで中古を入手。早速試してみると使い勝手は良かった。巾着袋を上から被せ接地面のドローコードを引っ張るのだから簡単なのだ。自転車を袋に入れるのにわずか数センチでも持ち上げるという事から解放された。

実測したら分解収納に16分。輪行袋を解いて組み立てには8分、ともにこれまでの所要時間より3分程度は短縮されたようだ。慣れれば少しは縮まろう。輪行袋の重量はコード類含み300グラム。これまでより70グラム軽くなった。荷姿については縦置きにしても横置きにしても、後輪を外さない自分の輪行スタイルでは大して変わらなかった。きっとランドナー愛好者の諸先輩方には怒られるだろう。「後輪もしっかり外して、「アルプス式」でもっと小さくまとめてよ」と言われそうだ。

こちらもロートルになってきているし、一応肩身を狭くして休日の列車に載せているのだから、まぁ諸先輩方にはお許しいただきたいと思っている。

さて、「自由への袋」がより便利になった。これではいつでも羽が生えてしまいそうで「いつしか鳥になるのだろうか」と、愉快な夢想は後を絶たない。


追記: 
・購入したのは モンベル コンパクトリンコウバッククイックキャリーM
・究極はやはりアルプス式輪行・・ランドナーならこれが理想と、わかっていますが。https://summercold13.net/archives/1249

左・従来の輪行袋(オーストリッチ)、右・新調したもの(モンベル)。どちらもよく考えられた商品。

バラシてコードでパッキング。ここはこれからの試行錯誤。あとは巾着袋を被せるだけ。リアブレーキワイヤーをレバーから外すのも手間なのでこれまでハンドルはぶらぶらしているものを無理に固定。しかし動きやすく不快だった。今回は外したしたフロントフォークに刺し直してみた。ひと手間増えるが一安心。

結構横に広がる。しかし担ぎやすくなった。諸先輩には顰蹙だろう。

従来の袋では縦長で、フレームヘッドが収まりきらなかった。