日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

●脳腫瘍・悪性リンパ腫治療記(16)「リハビリテーション」

リハビリにも種類があるという事を入院を通じて知ることが出来た。

理学療法作業療法、言語聴覚療法 の三つだった。それぞれに専門の療法士がつく。理学療法士(PT)、作業療法士(OT)言語聴覚療法士(ST)だ。

理学療法
集中治療室を出る前から始まった私の歩行訓練はリハビリさんの手を借りることになった。自分の場合全く歩けないわけではなくふらつきを懸念してのもので、それは介助に近いものだった。しばらくしてから手すりにつかまっての運動などもメニューに加わった。関節の動き。筋肉の動き。これらが

リハビリと一般的に言うとまさにこれが頭に浮かぶ。整形外科で骨折治療の後に待っているリハビリだ。これが理学療法で、調べると、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう*、とある。しかしこれはリハビリテーションの一部分に過ぎないことがわかったのだった。この体の運動機能の回復を図るリハビリは、理学療法であり理学療法士(PT)さんが司ってくれる。(* http://juzankai.com/rehabilitation/patient/pat_abt_pt.html

残り2つ。それは作業療法と言語聴覚療法。それぞれ作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)さんの領域となる。

いずれのリハビリさんも入院生活の中にすっと入り込んできた。

作業療法
作業療法とは、からだや心に障害のある方、またはそれが予測される方に対し,身の回りの動作や家事動作、仕事への復帰を目指し練習を行う*とある。(*: http://juzankai.com/rehabilitation/patient/pat_abt_ot.html

私の治療は簡単なものから始まった。大きな玉を。右手から左手に渡す。そして今度は左手から右手に。次にバラバラに置かれた小さな玉をこれまた小さな板の穴に嵌めていく。今度はそれを入れ替える。基本的な手や指の動きの確認、そんな当たり前の動作も脳外科手術をした身には検証必要なようだった。

やがて少し厳しくなる。マッチ棒のようなものを並べてテキストに書かれた形にしていく。複数枚のカードに書かれた漫画をみながらそのカードを漫画のストーリー順に並べ替えていく。最初は4枚。次に8枚、12枚、とカードが増えるに連れ難易度も高まる。結構きついのだ。考えているとあっという間に頭の中の酸素が足りなくなってくる、そんな気すらする。思考と動作が結びつくか、そんなことを調べるのだろうか。

様々なバリエーションのリハビリが待っていた。問題が複雑になると対応は簡単ではない。難問攻めにギブアップを言いたくなる。そんな難問を次から次に出してくる作業療法士さんが段々と憎たらしくも思えてくるのだった。

・言語聴覚療法
言語(言葉)に障害を持つ人に、その障害にある機能の評価に基づき、それによって生じる社会生活上必要とされるコミュニケーション、嚥下(飲み込み)の障害に対して行うリハビリテーション* とある。(* http://juzankai.com/rehabilitation/patient/pat_abt_st.html
 
作業療法同様に、自分の場合これも簡単なメニューから始まった。

ここはどこですか
病室は何号室ですか
この街はどこですか?
そこは、何県ですか?
いま季節はなんですか?

そんな質疑応答から始まる。

そして療養師さんはランダムに数字を言う。それを覚えてリピートする。簡単です。と、今度はそれを逆から言って下さい、と来る。4桁なら良いけど6桁、8桁。難しくなる。

今から言う5つと単語を覚えてください。3つ目は何でしたか?

これから言う5つの単語の中で、一つだけ異なるものがあります。それは何で、なぜですか?(犬、猫、鳥、りんご、牛)

今から言う単語を書き取って下さい。

こんなふうにこれも又色々なバリエーションのリハビリが待っていた。

これも目で見て耳で聞いたことと思考の関連性の確認を主眼に置いたもののようだった。

関節や筋肉のの機能を回復させる理学療養しか知らなかった自分は、このように、言語や、思考の機能の回復を目指す治療があるとは知らず、全くの驚きであった。しかし脳に対して外科手術をした身には、よく考えればその脳機能がきちんと動いているか、それを元に戻すかが大切なことはよくわかるのだった。

以降、この3つのリハビリが毎日待っていた。作業療法と言語聴覚療法はともに頭を使うので、かなり疲れるし、だからこそできない自分がふがいないし、負けたくないという気持ちもあった。

今振り返ってみれば、いずれの療法もプロの作業であり、それぞれの療法士さんは医師や看護師に負けないほど重要な役割だった。そう、人間は病に打ち勝った後は社会への復帰が待っている。それは医師・看護師だけではなく、プロの手を借りなくてはならない。そのプロフェッショナルがこの3エリアの療法士さんだった。