素敵な花のワルツ
今年は桜の季節は戸外でじっくり見ることはかなわなかった。そんなこともあり花に対する憧れが例年よりも多いのかも知れない。
教会の日曜礼拝に顔を出してから近所の公園へ。素敵な花々がその美を競っていた。
登山を通じて、やはり高山植物含め山に咲く花に興味は多い。イワギキョウ・チシマギキョウ、ハクサンフウロ、シラネアオイ、トリカブト。そして、シャクナゲやトウゴクミツバ、アカ・シロヤシオ。ヤナギラン、ニッコウキスゲ、マルバタケブキ、バイケイソウ・・、このあたりは季節を通じて、場所や標高にもよるが、出会う機会が多い。そんな彼らが今日は地元の公園に居た。
え、ヤナギランとシャクナゲ? こんな低地の公園に? こんな出会いがあるならまともなカメラを持ってくれば良かった! ヤナギランと言えばやはり南アルプスや北アルプスの谷あいの広闊な地形で見ることが多いし、シャクナゲはまさにこの季節の奥秩父の代表的な花。しかしこんなところにねぇ・・。
ついでに、これはこの時期らしいアヤメがすでに美しい。アヤメとはいえやはり山の記憶に結び付く。山中湖北岸あたりの山々では稜線に多かった。どうしてもヤナギランとシャクナゲはピンとこない。公園内のビオトープに管理事務所があった。早速聞いてみる。
● ヤナギランと思いきや? これは「シラン」という花とのこと。でも名前からしてもヤナギランの仲間だろう。(帰宅後調べてやはり違うと気づく。シラン=紫蘭。蘭の中でも人気の花。ヤナギランは花のカタチが蘭ににているだけのことであり日本ではやはり亜高山帯の湿地を中心に咲くという。)
● シャクナゲとは思いきや? なんとこれは 「タニウツギ」 という花という。え?ウツギ?ウツギですか? ウツギと聞いたら山好きは黙っていられない。そう、中央アルプスの中間にそびえる立派な2864mは「空木岳」。「空木岳のウツギとはやはり落葉灌木であるウツギからその名をとったのだろう」というのが「日本百名山」において著者の深田久弥が述べていることでもある。だからこそ自分が、中央アルプスの縦走で木曽殿越から空木山頂までの長くて急峻な登りに喘いだ時もお目にかからなかった花でもある。あなたが、「ウツギ」でしたか・・・、ご高名はかねがね存じておりました。
そんな素晴らしい花々に出会う事が今頃になって思いがけずに出来た。
しっかりと植物はそのサイクルにより生きて花を咲かせる。そんな当たり前のことが妙にうれしい。それは、桜を見逃した今年だからこそ、強く感じた花への邂逅の証なのだろう・・・。浮き浮きするこの気持ち。これから毎年味合うのだ・・・。今日の出会いは、本当に嬉しい。ありがとう。
頭の中に、こんな出会いだからこそ勝手に浮かび上がる素晴らしいワルツがある。それを思い浮かべながら高雅な香りある初夏の装いの公園を後にした。
● 頭にうかんだそんな素敵なハーモニーの再現にはやはりカラヤンに頼むことになります。Youtubeにて、カラヤンの録音でも自分が好きな1964年のウィーン・フィルとの録音盤が、それもLP音源でアップされていたのでリンクを張ります。こういうのを貼っていただく方がいらっしゃり感謝です。
https://www.youtube.com/watch?v=BSDeWvJev_A
● 写真上左から シラン、タニウツギ、アヤメ
(2021年4月25日・記)