日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

回れ回れ、ぶんぶんコマ

紐の両端を思い切り引っ張ると真ん中のコマが回り始める。あとは両手をリズミカルに動かしてコマを回し続ける。

ブーン、ブーン

コマが鳴る。ぶんぶんコマだ。その風きり音は大きさによっても音色が異なる。蓋の端に切れ目を入れたりと、子供ながらに試行錯誤だった。子供の頃、小鼻に汗でも浮かべて作ったものだ。コマは「ギュウブタ」。牛乳の蓋だった。コーヒー牛乳やイチゴ牛乳の蓋は人気だった。

ここ数日の仕事で、勤務時間の空き時間にずっと作っている。さすがに今や貴重な牛乳の蓋でもなくケント紙を切って、紐を通した。持ち手にはストローの輪切りを通した。

別に玩具屋の内職をしている訳でもない。勤務先の「お祭り」が近い。地元住民のための施設。年に一度はお祭りと称して催し事がある。地元の老若男女が見える。コロナでここ数年は開催を自粛して今年再開と言う。さすがにコロナ前にはあったともいう模擬店などはない。

子供たち向けに「スーパーボールすくい」など。そしてこの「ぶんぶんコマ」も出し物だ。職員が作るのは参考用に100個ほど。残りは来館した子供たちが作る。

ひとつ3分程度で出来る。試運転だ。しかしなかなか思った通りには行かない。まず、両手を並べて蒸気機関車のピストンが付いた転輪のごとく動かして紐を巻いていくがそこでも、あれ?となる。上手く巻けて左右の手で紐を引っ張っても、コマは変則的に回り音も出ない。

巻き方が悪い? 手の動かし方だよ。後ろから前?前から後ろ?
紐を通す穴の間隔が狭いほうがいいのでは?

男性職員も女性職員も、大の大人が数人集まり大ごとだ。喧々諤々とはこのことを言うのだろう。

あ、回った!音が鳴る。 誰かが言い始める。ええ、何故?と、鳴らない自分は焦る。

さてこんな事で、来館したお子様に作り方から遊び方まで教えることが出来るのだろうか? しかし子供は「発明王」。試行錯誤を重ねてすぐ成功させるし新しい事を見出す。子供に手作りの遊びを味わっていただければよいのだが、教えてもらうのは実は自分達だろう。

ゲーム世代の子供達。ここ数年来はコロナで公園遊びも減った子供達。一人遊びの世代かもしれない。そんな彼らにこの手作りのコマはどのように映るのだろう? ♪回れ回れ、ぶんぶんコマ♪ 適当な鼻歌が出てしまう。

何色ものケント紙を切り、風切り穴をあける。真ん中にひもを通す。作ったのは50年ぶりかもしれない。思ったより上手くコマは音を出さない。しかし子供たちはすぐに体得するに違いない。彼らはいつも遊びの「先生」だ。老いた子供も現役に教わらなくてはいけない。