日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

良いとは思ったが

彼は自費出版の良いカモだな。そう出版社は思ったのだろう。忘れた頃に原稿の進み具合はどうですか?と連絡を送ってくる。何かをまとめたい。形にしたいという思いはあるが何も具体化していない。それに高額な自費出版が良いかもわからない。辛うじていくつもある投稿コンテストへの応募がよい目標になっている。

自分が高原の地へ転居して通う事に決めた病院は湖の畔にある。フォッサマグナとは中央構造分離帯、大規模な断層。そう地理で学んだ。そんな地殻の割れ目にその湖はある。日本地図を見るならばそこはまさに、へそだった。

病院でのガン検査を終えて湖の辺のベンチに座った。体に放射性物質を投与し全身のガンの有無を調べるという。あまり良い気がしない。その前までに書き上げようと、一晩で原稿を書いた。ある出版社のコンテスト。締切日前々日だった。検査で何かが引っかかり投稿できぬのも嫌だった。

改めて昨日送った原稿を読み直してみた。昨夜は良いとは思ったが検めて読むと著者である自分に訴えるものがなかった。原稿が湖面を渡る風に吹かれたが中身は変わらなかった。また選外だな。そう思う。

良いと思ったんだけどな。また機会はあるさ。それよりも僕は感性を磨き言葉を蓄えなくてはいけない。そしてつまらない事にくよくよしないのだ。この先も断層も多いだろうが何より今自分は日本のへそに居るではないか。ど真ん中だ。動ぜず慌てずに。やりたいことをゆっくりにやる。そう過せばよい。納期の無い世界に僕は居る。

投稿済の原稿はやり直しもきかない。昨夜は良かったが改めて読むとどうも冴えない。まあ焦らずに肝を据えてやればよいのだ。