日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

乗り遅れた烏合の衆

ふるさと納税が話題になったのはもうかなり昔だろう。なんだか手続きが大変そうで、結局一度もやっていなかった。居住地の地方自治体に収めるべき住民税や所得税。しかし会社勤めならば源泉徴収されるので、それをどうやって他の行政の物として申請するのだろう。源泉徴収を蒸し返すのか?よくわからなかった。

確かに本来の地に納税をしないで何処かの行政体に納税して魅力的な返礼品が貰えるのだから悪くない話だと思う。牛肉、お米、海産物・・。しかし自分の住む横浜市ではこれで本来得るべきの住民税の内272億円がふるさと納税で他の自治体に流出してしまった、そんなニュースに接して驚いたが、同時に相変わらずだなと思った。本日のコロナの罹患者が〇〇〇人で過去最高です、そんなニュースは良く報じられたが、肝心なことに分母の数を報道しないのだから、全体の中に占めるその数がどのくらいのマグニチュードかが分からない。分母を報じない、これがコロナのニュースで感じるジレンマだった。今回の272億円も全体が分からないからそれがどの程度の物か分からない。

あらためて分母を調べてみた。横浜市が公表している令和5年度税収入見込み(*1)がWEBにある。市税総額見込が8,639億円。うち個人市民税見込が4,172億円で全体税額見込みの48%を占める。そこに272億円が他の行政へふるさと納税で流れたという。この税収見込みがふるさと納税による流主前後かは分からないが個人市民税の6.5%、市税全額の3.1%に該当する。単なる272億円の立ち位置がこれでわかった。分母も分子も個人のレベルでは天文学すぎて、この流出のインパクトがいかほどのものかはすぐにはピンとこない。しかし日本のGDPの伸び率が対前年0.7%(*2)という資料があるので市税の3.1%が流出しているとすると横浜市にとってはとても痛い話なのか、と想像できる。日本全体では良いが個々の自治体では事情が異なる。全体最適にはなれど個別最適には必ずしもならないという好例だろう。

選挙権を持っている以上為政者を選ぶのは自分の権利だが、自分は余り政治がどうしたこうしたという世の中の憤りには関心が無い。口角泡を飛ばしてもなるようにしかならないと諦めているとするならば、世界的にはもはや「負け組」とされているらしい国の、ただの「烏合の衆」に過ぎない。しかし自分もブームだったらしい「ふるさと納税」を一度はやってみるべきだったかもしれない。ブランド牛を食べて地元の美味しいお酒でも飲みたかった。しかしもう遅い。早期退職し非課税世帯と認定され、固定資産税や自動車税以外は納税すべき稼ぎもなく、政府から時折「特別支援金」を頂戴してる身だ。

二人の娘たちはそれぞれの家庭でしっかり「ふるさと納税」を行っているらしかった。自分は自身のアンテナの低さと実行力の無さで「乗り遅れた」事を悔いた。しかし時々そのおすそ分けを彼女達から頂いている。次に納税する機会がやってくるのならば、自分もやってみようと思う。市の税収入も大切だがまずは自身が大切だ。烏合の衆とて個々の人生があるのだから。

 

(*1)横浜市WEBサイトより https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/koho/hsunyu/R05mitooshi.files/05mitooshi.pdf
(*2)ニッセイ基礎研究所資料より https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=75273?site=nli#:~:text=1%E2%80%95%E5%86%85%E9%9C%80%E4%B8%BB%E5%B0%8E%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9,%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E6%88%90%E9%95%B7%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82

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