日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

お手抜きボンゴレビアンコもどき

週末休日の昼食担当は結婚してからずうっとだから30年以上経つ。いったい何食作ったのか計算する気にもならないが、果たして何を作って来たのかと言うと、これは簡単だ。ラーメン、うどん、そば、焼きそば、パスタ。おおくくりではこの5種類になる。これに具材や味付けにわずかなバリエーションを加味しているだけなので、麺類ばかり全く想像性もなく同じものを延々と拡大再生産しているだけだ。

幸か不幸か、それらに対する家族の評価はなかなか良く、美味しいと言ってくれたから作って来れたのかもしれない。それも今思えば子供たちなどは味覚の未熟な時だから、美味しいというよりも味に馴れたというべきだろう。

パスタ料理は気軽に作れるが、クリーム系のパスタは余り作らない。バターと牛乳、卵、時に生クリームを使うようだが栄養過多に思えてしまう。牛乳も生卵も苦手だから全くオコサマだ。家族はクリーム系パスタは好きなのだから悪い事をしていた。最近は料理を評価してくれていた娘たちも家を出てしまったので家内と自分の二人前だ。妻は判で押したような反応ばかりなのでいつしか熱意も消えていく。しかしエネルギー補給は必要なので仕方がない。

雨のけだるい日々が続くこの数日。気軽に作ろうと家にあった具材でボンゴレビアンコ(もどき)を作った。ドイツに住んでいた頃、毎月1回はミラノに出張に行っていた。出張先でのランチは近所のトラットリアが多かったがそこでいつもボンゴレビアンコをスパゲティで食べていた。たまにはトマトベースのボンゴレロッソも食べていただろう。そのうちに「シニョーレはボンゴレビアンコだったね」と底抜けに明るい店員に注文時に言われるありさまだった。デザートは、アフォガートだよね、もお決まりだった。シンプルなアサリのパスタ、バニラアイスにエスプレッソをかけたデザート、ともに信じられない程美味しいのだった。

ボンゴレのパスタを真面目に作るにはアサリの砂抜きから始める。塩水のボウルに入れてしばらくすると貝がパカッと開いて、ああ嬉しい、とばかり塩を吹きだす。やれやれ散歩でもするか、とシェルの外側に出てきて深呼吸するやつもいる。まさに生き生きと生命の息吹を感じるのだが、数時間後には白ワインやパスタの茹で汁でサウナ地獄になるとも知らずにすこし気の毒になる。これがこの料理のネックで、優しい心情では作れないだろう。

幸いな事にアサリはむき身があった。もう昇天しているのだから罪悪感はない。実際これを使うと、罪悪感もさることながら下ごしらえが不要になるので気軽な料理になってしまう。しかし貝の殻が無いので見栄えは落ちる。まぁいつものようにペペロンチーノアロ・オリオの手順だ。唐辛子とニンニクを低温オリーブオイルでじっくり風味出しをする。今日はそこにピーマンを加えて、焦げる前に取り出して出来上がった皿にトッピングしようと考えた。いろどりと苦みだ。

一旦それらを取り出して、玉ねぎ千切りとセロリ微塵切りを加えた。火が通ったらアサリを加えて白ワインとパスタの煮汁を加える。煮すぎると身が固くなる。汁を乳化させるのがコツだとは友人に教わった。右と左のゴトクが大活躍する。味付けは塩・胡椒だけだ。アサリからなんとも言い難い潮の味がにじみ出てくる。これがこの料理の美味しい所だと思う。

まぁいいんじゃないの、と家内は再び判で押した反応だったが、一応今日はおいしいと言われた。パスタソースが少なすぎたか。いや、ソースに比べて茹でるパスタの量が多すぎたのは知っているがこれは沢山食べたくなるので仕方ない。殻つきではないお手抜きなのだが。これがあると料理を作る喜びがある。さあ次回は、ともう散々作ったレシピを考えている。ありがたい話でもある。

我が家はパスタに関しては大盛りになってしまう。いつもパスタソースの汁が足りない。このアンバランスはもちろん是正しなくてはいけない。ソースの増量でではなくパスタの減量によって・・・。

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