日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

結婚した年のグラン・クリュ


結婚して家を出た長女から、何の前触れもなく届いたクール宅急便

開けると、「内祝」ののしがついたワインの箱です。スペイン産の白のスパーリングに加えて、もう一本。なんとボルドー

お、あいつボルドーくれるなんて、俺の好み知ってるな。「俺はとにかく赤。料理を問わず赤。そしてブルゴーニュより、やはりボルドーの、出来るだけ重いやつ。」、と常に言っていたから、それを覚えていてくれた訳だね。。

エチケットを見て驚きました。なんとグラン・クリュ(Grand CRU)。あまりワインには詳しくありませんが、自分のフランス駐在員時代でもグラン・クリュは本当に重要な来客時に開けるものでした。庶民のディナーには凄く頑張ってもクリュ(CRU)止まり。普段の食事ではせいぜい10ユーロのワインでしたので、グラン・クリュもクリュも、もう別世界でした。

しかもそのワイン、1991年です。自分がフランスに居たころに、一番手頃でかつ出来高の良いワインと言われていたのが2005年、2006年あたりでした。20世紀のワインなど飲んだことがありません。娘に電話して真意を聞きました。

自分の治療が終わったという事での内祝いと言います。また「1991年って、あなたたちの結婚した年でしょ、だからそれにした」と言われて、感極まりました。

なるほど、いかにもその遠り。アンパンマンが好きだった奴ももう30歳が近いもんな。なんか、育児初期には病気もあったりして気をもみもしたけど、そうか、いつしか奴は、家内が奴を生んだ年齢になっている。それを超えて進むのも時間の問題だ。だから、当たり前なんだな。いつしか親の手元からも出て行ったし。

感慨深いものです。1991年のグラン・クリュ、いつ飲めばよいのか? また、加齢と病のせいか、自分はお酒に急速に弱くなっています。量が飲めない。だから、「今度お前ら夫婦が来たら、開けよう」と伝えました。 速攻で否定されましたが・・。

長く生きていると、色々なことがありますね。辛いことも嬉しいこともある。でも、少なくとも嬉しいことの背景には、相手の人間に対する「感謝」があるのですね。奴にもそんな気持ちがあったようです。そんなこと、自分は奴には教えもしなかった。しかし、どこかで身に着けている。自分から、奴に何かを伝えることは、もう何もないのです・・。何もないのに、いったい何を返してくれようとしているのか。何をすればよいのか、自分にはわかりません。

日本へ帰任する際に、24本は買ったボルドーブルゴーニュの赤ももうワインクーラには数本レベルでした。頂き物もあり、数は戻りつつあります。ありがたく、感謝しながら、頂きます。それができるというは、やはり、嬉しいことです。

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頂いたGrand CRU