日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

進まぬ工事

建設途上の鉄道。なかなか工事が進まない。工事資金の問題か、技術的な困難に直面したのか。

現実の鉄道ならば工期には利用者さんの期待がかかっている。遅れるわけには行かない。しかしこれは卓上の鉄道「模型」なのだから、遅れようが誰も文句は言わない。

もう十五年以上前になるだろうか、当時住んでいたドイツの街の鉄道模型屋で模型を手に入れた。ナローゲージと言われる通常よりも小型の鉄道、日本ならば軽便鉄道と呼ばれていた類の鉄道を模型化したものだった。ヨーロッパのナローの縮尺は1/87になる。日本であれヨーロッパであれ自分はナローゲージ鉄道が好きだ。小さくてややゲテモノ風な車両と、その狭い線路が走るのどかな風景に惹かれる。蒸気機関車が好きなので小さなC型タンクを買い求めた。欧州のモデルは日本では高価になりかつなかなか入手できないこともあり、ドイツに住んでいるうちに、と、車輌や駅舎など気ままに買い集めた。勢いで、プレカットされていた合板をホームセンターで手に入れてそこに9㎜のフレキシブルレールをオーヴァルに敷いた。そこで工事は終わってしまった。たくさん時間が取れなかったこと、そしてこれは定年後の楽しみ、そう思っていたことが原因だった。

今がその時だ。時間はある。しかし長年のブランクに施設は劣化していた。いつかレールが外れていた。またレール固定の犬釘が台座の合板より少し長くて裏面に釘の先が出ていた。釘のアタマが出た板を机上には載せられぬ、台座の四隅に角材を打ち付けて台座を修正した。レールもジョイナーに入れ直した。機関車を載せパワーパックを回すと、オーストリアかドイツの蒸気機関車はしっかりと動いた。十数年ぶりの試運転だった。

その後入手した模型レイアウトの指南書ではスチレンフォームで土台作り、などと書かれている。川や山の作り方も書かれている。するとレールを剥がすのか、少し頭は痛い。トライアル一号としてはこれで良いのではないか。いや、でも分岐器(ポイント)のデッドセクションと車輛の動輪の位置関係なのか、低速走行では分岐器を通過できずに、加速して慣性で無通電区間を乗り越えるしか方法がなかった。蒸気機関車の動輪が間隔の狭い三軸なのが災っている。レイアウトの構成上あり得ない速度で走行させなくてはいけない。走れば良いというものでもない。長閑な鉄道を目指しているのだ。しかし鉄道線路最大のメカである分岐器をレイアウトから外すことも出来ない。

行き詰まっている。多分分岐器を買い替えるのだろう。ついでにスチレンフォームも買うだろう。

建設途上の鉄道の開通は、事業主の熱意と気力にかかっている。どうも馬力不足で、台座補強の角材購入、切断、釘打ちだけで放電してしまった。再び放置だろうか。…昔地理の授業で習った。ソ連の計画経済なり五ケ年計画なりという単語を思い出した。国家が作った計画通りに経済活動を実行していくという事。そして山登りの心得も思い出した。無理せずにゆっくり登る事、1時間毎の休憩、こまめな行動食と水分補給でハンガーノックダウンと脱水を防ぐこと。 

登山の心得は良いが、あれ、しかし、計画経済は失敗したのではなかったか? そうだ、万人平等で計画経済活動を進める中では市場競争原理が働かず労働者の勤労意欲が無くなり市場は鈍化する。そう習った気がする。それはよろしくない。

限られたエネルギーの総枠。焦らずに、適切に資源配分しかないだろう、何事につけ。

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十数年振りの運行。レールを補修し台座の枠を作るだけで息も絶え絶え。分岐器のプラスチック絶縁部分と機関車の動輪ピッチの相性がわるいのか、ここを低速通過は出来ない。いろいろと悩んでしまう。分岐器を買い直し、スチレンフォームで山谷つくるか。長閑な高原鉄道の先は長い。気力の資源配分が大切だろう。