日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

非課税世帯の憂鬱

非課税世帯。会社勤めの頃は知らない単語だった。細かい定義はあるにせよ平易に言うならば年間の「収入」が100万円以下の世帯、と言う。

35年務めた会社は希望退職に応募して早期退職。3ヶ月後に就職した会社は研修期間中に病に罹患し試用期間で治療も終わらず自己都合扱いで退職。半年ほどしてパート開始。

パートは週に3回で4時間程度。家内のパートも同様。パートは二人してそれぞれ地元社会の為に役立つ仕事をしている。僅かでも地元にためになる、社会とのつながりを持つ、知らない世界に触れるという新鮮さ、そんなためにやっている。そこには小さな楽しみもある。仕事をきちんとこなす事、そこに何かを発見すること。「ささやかなるやり甲斐」という奴だ。

毎年5月に見直される税金や保険類。サラリーマンは見なしで給与から源泉徴収されるが前年度収入に対しての計算なので、早期退職した翌年は苦しいものがあった。

今年の見直しサイクルにて「非課税世帯特別給付金」の申請書とともにその旨の案内が届いた。そこには非課税世帯である旨と、特別給付金の申込用紙が入っていた。こんな我が家にも給付金を頂けるのか、と、ありがたく申請した。近く追加の給付金もあると聞く。

とうとう我が家も非課税世帯か。しかし改めて住民税も所得税も払わない、国民健康保険の掛け金も今年から桁が一つ減って、夫婦で月数千円程度に。そんな事実を前にして、ありがたいけど申しわけないという思いもある。払うべきものを払わない。しかし行政サービスは享受する。

非課税世帯は、働かない以上は年金支給までは当然手元資金の切り崩しが主な生活資金になる。分かっていて、自分なりにキャッシュフローを試算した。

もちろん手元資金は「攻めて増やす」。人によってはそうするだろう。しかし愚直な慎重派としては、株にも外貨預金にも手が出ない。売ってしまった持株会で残った端数株と僅かな投資信託・NISA。いずれも負けても気にならない程度やっているのみ。

スーパーで食材を買い物をしていて思うのだ。色々値上げしたなと。それは気づかぬレベルではなく、誰でも気づくレベルでの値上げだった。

きゅうり58円だろ、いや48円だ、68円だ、ピーマン128円は安いな、98円もあるよ、あと5分でお惣菜半額シール貼られるな、いやまだ20%引き止まりだろう、などと喧々諤々しながら買い物を進めても、結局は麺類や惣菜、肉、魚なども何気に値上げしているのだ。電気代、ガソリン、そんなインフラコストも同様。

燃料高騰、電力不足、小麦不足、外国との間での「買い負け」、円安。様々な嬉しくないニュースがあふれる昨今だ。

生活に関わる費用。つまりは「変動費」くらいは稼ぎたい。「限界利益」は確保したいのだ。小さなやりがいをくれるパートでは収入としては荷が重く、ないよりはマシな程度。嬉しいことにパートの賃金は近く上がると合う通知。時給20円増えるというのだ。ありがたいが全く足しにはならない。もともと少ないバート収入のみでは常に家計は赤字だ。他方物価全般の上昇で「損益分岐点」はジワリと上がる。

「喉が渇きそうだ」と自分は思う。「真綿で首を絞められるようだね」と妻も言う。

そんな中我が家でできることはなんだろう。

・収入を増やす
・貯蓄を増やす
・支出を減らす

収入については、病前のようにフルタイム勤務はとても体が応じることは出来ないとよくわかっている。家内もフルタイムは無理だろう。非課税世帯という少し楽な状態から頑張って再び課税世帯になると「固定費」が増えてしまう。これも頭が痛い。

貯蓄を増やすとは、投資や株、FX等による「攻め」だ。もともと勝負事、賭け事は嫌いなのだ。株をやっている知人のように毎日チャートに釘付けもあり得ない。混沌としている世界情勢を反映してか、いくつかの投資信託商品では「負け」はじめてきた。期待は出来ない。

支出。ここはメスの入れようがありそうだった。家計簿はつけても長続きしない。その辺りにあまりシビアでない夫婦だった。また冷蔵庫の中から期限切れで捨てててしまう加工食品や野菜などもある。これもじわりと効いてくる。

買い物に行く前には冷蔵庫の中身を確認し、二人でそれぞれスマホで家計簿管理をする。そんなことに数ヶ月前から着手した。久々に支出の実態が見えてきたようだ。

そんなある日に付き合いのある証券会社から電話がかかってきた。何かのセールスかと思い切ろうとしたが、「現状でのキャッシュフローを試算し、アドバイスします。」と言われる。いずれはなにかの商品の勧誘だろうがまあ第三者の計算もよいだろう、と、お願いした。真面目に資産内容も伝えることなくオブラートに包んだ。

試算結果は想定どおりだったが、改めて気になるコメントがあった。

・月間支出は「老後2000万円問題」で政府が試算したパラメータである24万円。自分の申告によりそれより少なめで試算しているという事。
・インフレ率はこの試算では年間1%でみていること
・しかしそれでは現状に即さない。すぐに日本は3%に近づくだろうこと。
・それで試算すると全く違う想定になること。
・日本の金利は実質ゼロ。インフレは年3%。すると手元資金価値が実質目減りですね。

それは小学生でもわかる話だった。それでもインフレは海外よりもずっと低いレベルなのだ。

インドなどの新興国の株を中心に投資されたら如何でしょうか。という結論だった。一方でここ数日来、政府(財務・金融相)は「国民の資産所得倍増の為にはNISAを抜本的に拡充し、資産形成上の良い制度としたい」と言っている。非課税枠を増やすのだろうか。

まずは支出を見直して無駄を削るところから。しかし喉の乾く思いは避けたい。難しいさじ加減だ。インド株などへの投資、NISA増額などはすぐには踏み切る気にもなれない。やるにしても火傷覚悟のものだろう。

「足元を見直し、小さく始める」といきたい。

非課税世帯になって憂鬱も増えたが、唯一良かった事は「足元を見直す」ということ、それと夫婦共になりそれらと闘うという「共闘意識」か。二人してのコスト意識の芽生えだ。少し遅すぎたようだが。

まだまだ憂鬱な日々は続くだろう。まるで神頼みだが、どこかでうまくバランスはとれないだろうか。いや、きっといい事あるだろう、そんな思いと共に目が覚めた。朝だから、明るく行きたいものだ。

赤字の原因は低すぎる稼ぎ?3%程度のインフレ?支出過多? 一方でお情けの時給アップでも資産価値は低金利の中増えて行かない。攻めるも守るも厳し。毎月赤字で剰余金が尽きるのを座して待つのみ・・か? 嗚呼、南無三。