家内は自分よりも犬の散歩に行く機会が多く、自分の歩きたいように犬を歩かせる自分とは違い、彼女は犬の歩きたいルートを尊重するのです。従って家内の散歩ルートは長距離で思いもかけないルートを辿ります。
「蕗が生えているから今度抜こう」そう家内に言われました。ほう、蕗の自生地か! 家内と犬で朝の散歩です。なるほど、この道に行くのね。これは木の生えた斜面におりて行き止まりだよ・・・。そう言うのですが、どうやら蕗はこの丘陵地の斜面のようです。
ここだよ、と言われた場所、宅地造成の斜面の壁が土に覆われていてちょっとした草木が茂っています。辺り一面が蕗の斜面でした。それをビニル袋一杯になるまで摘み取ります。指先に蕗の香りがたっぷりつきました。よく見つけたな‥こんなところに。
さて、これをどう戴くか・・。鉛筆のように細い茎です。スーパーのような立派なものではないのです。これは煮物にするほどもないな・・。フキノトウなら天婦羅もいいが、これは・・。「そうか、素揚げ!」
そう頭に明かりがともり、やってみました。まず今日はトライだから10本未満で。筋を取り切りそろえた蕗を、唐辛子とニンニクで香り付けしたサラダ油に投入。火は強くしておきます。ジャーっという心地よい音と、春の香りが登ってくるのです。弱火に変えてから火が通るのを待ちます。キッチンペーパーで余分な油を取って盛り付けは同じ素揚げの赤唐辛子を載せて、軽く塩を振りました。
これは、最高のお酒のお供でした。見事な蕗の香り! ビールでしたが、焼酎にも会うこと、受けあいです。早速明日、もう一度あの斜面に出かけて太めの茎をもう少し摘んできましょう。そして、又素揚げです・・。限りなく酔ってしまいそうです。 路傍の蕗、美味しく頂きます。鉛筆代の太さでも、強い生命の香りは野生の証。いつもの様に、万物にお礼です。見事に「一本」取られました。