日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

ジャンボン・フロマージュで

サンドイッチ。日本のコンビニでも売っているが専門店のものが外国人の熱い視線を浴びている。玉子サンド、そして生クリームに果実を挟んだフルーツサンド。この二つは大人気だとよくテレビでも言われている。確かに玉子サンドは美味しいしフルーツサンドに至ってはお菓子なのかデザートなのか分からないがとにかく幸せになる。焼かないふわふわの食パンの美味しさも感じる。

アメリカ生まれのサンドイッチといえばBLTだろうか。焼いたトーストにベーコン・レタス・トマト。似たような外見のだクラブハウスサンドとの違いはよく分からない。ベーコンではなくローストチキンだろうか?いずれにせよハインツのケチャップと山盛りフライドポテトがともに来るだろう。アメリカらしい料理だ。

パニーニも美味しい。ミラノの街角で、ローマで。スナックのように食べられる。今川焼に近い感覚だろう。これを初めて食べたのはパリ・リヨン駅の構内売店だった。具を挟んだパニーニを両面トースターのようなものに挟み込んでその外皮が潰れてひしゃげたラグビーボールのようになるまで押し焼く。カリカリと香ばしくて美味しい。

アメリカの味、イタリアの味。いずれもしっかりした食事でもあり軽食でもある。どれも美味しい。我が家の近くに森のパン屋がある。ここのバゲットは外皮が焦げて硬く、中身も噛み応えがある。空気の穴が沢山開いている。小麦の香りを感じることが出来る。柔らかくない生地が嬉しい。パン屋激戦区のこの高原でここほどフランスを感じるパン屋もない。バゲットを買うときには予約して夕方に取りに行くのでパン・オ・ショコラやパン・オ・レザンが置いてあるかは分からない。あったとしたら美味しいに違いない。

午後三時ごろになるとさて今日の夕食はどうしようか?と頭を悩ませる。昨夜の残りとあと一品、いやスーパーの半額総菜、更に手抜きで半額弁当。果てしなく楽な方向に頭は回っていく。それでは味気ない。すると出てくるのがサンドイッチだった。パンに具材を挟めばおしまいだから。あの高原のパン屋のバゲットに、アメリカのBLTのようにベーコンとレタス、トマトを入れたら美味しかろうと。フランスにももちろんバゲットを使ったサンドイッチがある。只、火を通したような暖かいメニューではない。一般的なのがジャンボン・フロマージュだろう。BLTとの決定的な違いはパンだ。そのまま食べてもバターを塗って食べても美味しいバゲットにそれらの具材を入れる。ジャンボンはハム、フロマージュはチーズ。農業畜産国フランスのハムもチーズもとても美味しい。それらを挟んだ冷たいメニューだがそもそもバゲットとバターが美味しいのだからワシワシと食べられる。程よい塩味がたまらない。他にはトン、プレ。ツナの入った、鶏肉の入ったサンドイッチなど、これまた気楽に食べられて美味しい。エアフランスの国内便や隣国へのフライトでは手のひらサイズのものが機内食として配られる。ジャンボンかトンを選べたように記憶する。いずれにせよこれらがまた美味しい。おなかのすいていない時などは袋に入ったまま家に持ち帰って食べていた。

頭に浮かんだものを作って食べた。ジャンボン・フロマージュで、と行きたいところだったがあたりで手軽に手に入るハムもチーズも残念ながらフランスのものとは遠う。米仏合体の料理となった。ここ半年の野菜価格の高騰でレタスとトマトの購入は気が進まなかったが半額野菜コーナーでくたびれたレタスを求めた。トマトは小さなものがあった。自宅に残っているものは薄っぺらいとろけるチーズだが妥協も必要だった。ベーコンを焼いてすべてを挟んだ。マヨネーズは普段使わないのでこういうときでもないと減らないだろう。

バゲット以外はフランス風でもないが、せめても、と赤ワインを開けた。ただそれも五百円台のチリ産だった。森の高原で一万キロ離れた国を模した夕食だった。二人でバゲット一本。それで充分に幸せになった。

バゲットが美味しいのだからサンドイッチも美味しい。香ばしい表面に歯ごたえ噛み応えのある生地が嬉しい。