日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

ロールキャベツ

挽き肉をこねて作る料理はあまねく好物だ。多少中身が異なるにせよどれも美味しい。ハンバーグに餃子など好きな二大料理だ。それぞれが七変化する。ハンバーグはピーマンに椎茸に詰めればそれぞれの肉詰めに。あるいは蓮根に挟めば挟み揚げに。小さく丸めたら肉団子に。鶏肉でやれば串に刺されつくねに。餃子は料理法では負けていない。焼く、蒸す、茹でる、揚げる。餡の量と皮を変えれば雲呑になる。

我が家の庭は十平米もない小さなものだ。酸性の赤土だったので土壌改良をしてもらった。培養土を埋め三列の畝を作った。畝作りも防草シート敷きもトンネル支柱を立て寒冷沙と呼ばれるビニールを被せるのも、初めてだった。全ては家内の指図で自分はただ従うだけだった。ともに初めての経験だが興味があるとはすごい話で彼女は色々な情報をネットで調べている。知らない単語がでてくるのでこちらはあまり面白くない。つまらないところで見栄を張るくだらぬ男だ。

さてそこに種を入れるのかと思いきや市販の種を水耕栽培してある程度成長してから植えなおしていた。そんなに手間を掛けるのかと感心した。またポットを買ってきて植えなおしたものもあったり、種を素直に埋めたものもあった。

種から芽が出てくるとやはり嬉しいものだ。あのただの粒が地面に入れて水を掛けると発芽する。自然科学の苦手な自分はそのメカニズムを調べたくなる。

種に水分が入ると膨張。皮の破断。酸素の吸収。エネルギーへの転換。根と根毛の発生。ということか。まさに自然の脅威だ。自分がやってもそうなるのだから平等でありがたい。水耕栽培もポットもすでに葉の形まで行っているので発芽の喜びはないが、土に植えて大きくなっていくのもまた嬉しい。

トマトのポットは観光案内所からもらったものだ。職員さんが自分で育てボットに分けたものだった。これは赤土に肥料とともに埋めたが見事に実ってくれた。二つ三つとサラダに入れている。お礼を言いに行ったら彼はとても嬉しそうだった。

寒冷沙を開くとなんと緑が生い茂っている。ぐるりと巻くように広がった葉のその真中には花芯のような塊があった。それは塊ではなく小さな葉が幾層にも丸まって重なったものだった。

「ねえ、キャベツが出来てるよ」

だから出来てきた、って言ったでしよ、と怒られてしまった。

もう少し寒くなるともっと大きくなるだろう、この緑の塊。なるほどセーターを着る頃にはちょうどよい大きさか。するとおあつらえのメニューがあるではないか。そう、あの好きな挽き肉を使って。

ひき肉に、あっ玉ねぎ入れてニチャニチャと!
音は悪いが味は良い
キャベツを一枚取り出してぇ
くるくる巻けば
出来上がり
あとはスープに入れるだけ

頭の中には適当な歌詞と即席の旋律が浮かび、体はリズムを取ってしまう。

それはロールキャベツの歌だった。これも好きな料理だった。我が家で採れたキャベツで作る温かい料理。美味いといいな。いや、そうに決まっている。素敵な挽き肉料理の出来上がりだ。

数枚の葉の中にまたはが生まれやがて球となる。我が家のキャベツ。捏ねた挽肉を入れて巻いて、スープに入れて煮てみよう。ロールキャベツは美味しいだろう。